column 166. 買う&売る

離婚をするときに家は売るべき?離婚時の財産分与で家を売却するタイミングとポイント

2016.09.02

離婚をするときに家は売るべき?離婚時の財産分与で家を売却するタイミングとポイント

何事も、始めることより終わらせることの方が難しいとされるのは、後始末があるからでしょう。
離婚の場合、結婚後に築いた財産を夫婦で分割する、財産分与という後始末が必要になります。

ただ、不動産は物理的に分割するのが難しいため、基本的には売却してその代金を夫婦で分けるケースが多いです。

そこで今回は、そもそも離婚をする際に家を売る必要があるのか、財産分与のために家を売る場合はいつ・どのように売れば良いのか等をアドバイスします。

離婚時の財産分与とは

●結婚後に得た財産を分配する手続きのこと

財産分与とは、結婚後に夫婦が手に入れた現金や資産を、お互いの寄与分に応じて分配する手続きのことです。
財産分与は夫婦の両方に認められた権利なので、たとえ不倫などの有責行為が離婚の引き金になっていたとしても、お互いがお互いに要求できます。

なお、夫婦になってから得た財産の何%を分配するかは、夫婦の事情や離婚の理由次第です。
原則としては婚姻期間中に得た財産を半分ずつ分けますが、不倫や家事の放棄、お金の使い込みといった有責行為を働いていたり、お互い話し合いの上で納得できたりしているなら、分配する財産の比率は変わります。
極端な話、一方的な事情で離婚をする場合、婚姻中の財産に関しては家具・家電・金融資産・不動産などをすべて相手側へ分配しても構いません。

話し合いによって分配割合が変わるからこそ、財産分与は揉め事になりやすいです。
離婚を決意した段階で夫婦仲が冷え切っているケースは少なくないため、感情的な理由や長年のうっぷんから財産分与の話し合いがうまく進まないという事態も出てきます。
適切な知識がないと、強引に押し切られて財産分与で損をする可能性もあるのです。
特に、住宅のように高額で換金するのが難しい資産の扱いは難しいので、離婚を考えているなら財産分与について学んでおく必要があります。

●財産分与の対象になるもの・ならないもの

財産分与の対象になるのは、「結婚してから手に入れた財産」です。
現金や預貯金はもちろん、家具・家電・貴金属・アンティーク・土地・建物・株式といった何もかもを適切に分配することになります。
ポイントは結婚後に得た財産であることなので、相手に黙って購入した車や不動産も、相手の給料の一部からこっそりと貯めておいたへそくりも財産分与の対象です。

一方、

  • 結婚前から持っていた個人の財産
  • 相続によって手に入れた遺産

に関しては、財産分与の対象になりません。
婚前の資産も遺産も、「結婚したから手に入ったもの」ではないからです。
そのため、「元々妻が相続によって手に入れた土地に、夫名義の家を建てた」といったケースだと、土地は財産分与できません。
話し合いの結果にもよりますが、妻側が建物分のお金を払って家を引き取るか、夫側が土地分のお金を払って土地ごと自分のものにするか、建物を売ってそのお金を財産分与することになります。

財産分与の方法

●財産を売らずにお互いに好きなものを引き取る

ある程度金額の少ない財産、たとえば家具や家電、趣味の品といったものに関しては、話し合ってどちらか好きな方が引き取るというかたちにするのが一般的です。
たとえば、「家具はすべて妻が、家電は夫が引き取る」「離婚後に車を使う予定がないため車は相手に譲るが、その分預貯金を多めにもらう」といった話し合いを行い、資産を分割します。

●財産を売って現金にしてから分配する

不動産や車のように物理的に分割するのが難しい財産に関しては、売却してそのお金を分配するケースが多いです。
土地・建物という金銭的な価値の分かりづらい財産を一旦現金にしてから分けるため、「相手の取り分が多い」という不公平感が生まれづらいというメリットがあります。

また、住宅の場合はローンで購入するのが一般的です。離婚に合わせて不動産を売却し、ローンを精算してしまえば、離婚後に住宅ローンの滞納を始めとしたトラブルに巻き込まれる心配もありません。

●相手側が納得するお金を払って共有財産を自分のものにする

「相手の土地に家を建てたので、土地代に相当するお金を払って土地を買い取る」といったやり方です。
相手側の持っている資産や権利の額に応じたお金が必要になるため、資金的にかなりの余裕がある方でないとなかなか利用できません。

ただ、相手側の権利や財産を買い取る形で財産分与をした場合、名義を一本化できるので権利関係・金銭面のトラブルになりづらいです。
どうしても相手側に渡したくない財産がある場合は、この方法を取ると良いでしょう。

住宅ローンの返済状況で売るかどうかを決めよう

●売却額>住宅ローン残高なら売却がおすすめ

住宅ローン残高よりも売却額の方が高く、家を売ったお金でローンを完済できる場合はマイホームを売却した上でその代金を分配することをおすすめします。
不動産を現金化すれば、自宅の扱いに関するトラブルが起こりません。
また、ローンを完済して残ったお金を分配するため、「相手の方が得をした」という気分になりづらく、感情的な揉め事に発展しづらいのもポイントです。

●売却額<住宅ローン残高の場合は保留しよう

家を売る場合、金融機関からローンの完済を求められます。
そのため、家を売ったお金や手持ちの資金を使ってもローンを完済できない場合は、そもそも自宅を売却できません。
また、何とか返済資金を用立てられる場合でも、無理をしてお金をかき集めると離婚後の生活費がなくなってしまいます。
売却額でローンを完済できない場合は、一旦売却を保留し、夫婦のどちらかが住み続けると良いでしょう。

マイホームを財産分与するときの流れ

マイホームを売って財産分与するときは、以下のような流れで手続きを進めていきます。

  • 家や土地がどちらの持ち物か、共有している場合何%の持ち分があるかを調べる
  • 不動産業者に査定をお願いし、不動産を売るか考える
  • 財産をどう分けるかを書面で取り決める
  • 不動産を売却
  • 離婚届の提出
  • 不動産を売ったお金を契約書の通り分配する

重要なのは、権利関係を明らかにすることです。
たとえば、夫が60%・妻が40%権利を持っている家を売った後、お金を50%ずつ分けると「元夫から元妻へ10%分の贈与をした」と取られる場合があります。
また、売却代金を離婚前に分配すると、夫婦間での贈与として贈与税等がかかるので、家やお金は離婚後に分けましょう。

離婚前と離婚後どのタイミングで家を売れば良いの?

家を売るなら、離婚する前がおすすめです。
離婚後に家を売る場合、別れた相手と何度も連絡を取ることになります。
離婚後に音信不通になったり、遠方に引っ越したりする可能性があることを考えると、不動産の売却は離婚前に済ませておいた方が楽なのです。
あらかじめ家を売って売却代金を確定させておけば、売却代金をごまかせないのでお互い納得のいく財産分与の額を決められるという理由もあります。

家を売却するときは「仲介」「買い取り」どちらが良い?

●売却金額を高くしたいなら「仲介」

家の売却金額をできるだけ高くしたいなら、仲介による売却を選びましょう。
仲介とは、不動産業者に物件を預けて買い主を探してもらう売却方法のことです。
成功報酬で手数料を支払う必要はありますが、不動産を市場価格で売却できるので売却価格は高くなります。
ただし、仲介での売却は、買い主が見つかるまでにおおよそ3ヵ月から半年の時間が必要です。離婚届の提出を待てるかどうかも、仲介を選ぶ基準にすると良いでしょう。

●早く売りたいなら「買い取り」

一刻も早く財産分与を終わらせたい、離婚手続きを終わらせたいと考えるなら、買い取りの利用をおすすめします。
不動産の買い取りとは、家や土地の買い取りに対応している専門業者に直接物件を売る手続きのことです。
市場を通さないため買い主を探す必要がなく、短期間で成約できる一方、売却価格は仲介での売却よりも30%前後安くなってしまいます。

離婚時の財産分与における注意点

●離婚後2年以内に財産分与を終わらせる必要がある

財産分与の請求ができるのは、原則として離婚届を役所に提出してから2年間です。
たとえば、身の回りの荷物や貴重品だけを持って自宅から出て2年以上経ってしまった場合、家や家に残した家具・家電の財産分与を請求できなくなってしまいます。
離婚から時間が経てば経つほどお金の話は上手にまとめるのが難しくなるので、財産分与は離婚と同時に終わらせましょう。

●扱いの決まっていない財産は勝手に売却しない

マイホームに限らず、夫婦の共有財産をどちらか一方が勝手に売ると、権利侵害の問題に発展してしまうので注意が必要です。
家庭内の盗難は刑事事件として扱われないケースが大半ですが、夫婦共有の財産や相手が結婚前から持っている財産を勝手に売ったり持ち出したりした場合、損害賠償請求をされる可能性があります。
財産分与に際して感情的なしこりの残る行動を起こすと、まとまる話し合いもまとまりません。

●共有名義・連帯保証人は離婚をしても解消できない

離婚をしても、住宅ローンの返済義務や連帯保証人としての義務は残ります。
たとえば、妻が連帯保証人のまま離婚し、離婚後にローンの契約者が返済を滞納した場合、連帯保証人である妻にローン残債の一括請求が行われてしまうのです。
家や土地のローンを夫婦連名で組んでいたり、夫か妻がローン契約者の連帯保証人になっていたりする場合は、離婚する前に権利関係を整理しましょう。

まとめ

結婚後に家を買ったら、家も財産分与の対象です。

ただ、不動産をお互いが納得できる割合で分けるのは難しいため、基本的には離婚するときに家を売ってそのお金を分けましょう。
家を現金化すれば、ローンも権利関係も整理できるので揉める心配はありません。

また、売却のタイミングは離婚前がおすすめです。
「高く売って離婚後の生活資金を確保したい」「早く売って離婚を成立させたい」など、不動産の売却や買い取りに関する要望や相談を不動産業者に伝えて、スムーズに財産分与と離婚を成立させましょう。

 

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