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住宅ローンは誰でも組める?

2016.11.28

住宅ローンは誰でも組める?

住宅ローンを利用するには、金融機関の厳正な審査に通る必要があります。
審査基準は金融機関によって異なりますが、借入時や完済時の年齢、年収、勤続年数、健康状態、担保評価などの要件があり、これをクリアした人のみが利用できます。

住宅ローンの審査で落ちないためには、どのような対策をすれば良いのでしょうか。
一般的にいわれている審査のポイントや、通りやすくするための方法について紹介しましょう。

住宅ローンの審査に通りやすい職業と通りづらい職業がある

住宅ローンの審査には仮審査と本審査の二段階がありますが、いずれの場合も金融機関は借り入れる人の返済能力を重視して審査を進めます。

金融機関からすれば数千万円ものお金を貸し出すわけですから、「長期間にわたって滞りなく返済できるか」が重要なポイントになるのです。
このため、安定した収入がある人は住宅ローンの審査に通りやすい傾向にあります。
一般的には、公務員や会社員として長年勤めている人であれば問題なく利用できるとされています。

一方で、審査に通りづらいのは収入が安定していない人です。
自営業やフリーランス、契約社員や派遣社員などは審査のハードルが高い傾向にあります。
プロスポーツの選手や芸能人のように、現在の年収が高ければよいのではなく、長期にわたって安定した収入が見込める職業かどうかが審査に大きな影響を与えるのです。

もちろん、自営業やフリーランスでも過去数年の確定申告書を見て安定した収入があると判断されたら利用できますし、不安定な人でも単年で要件をクリアできていれば利用できる住宅ローンもあります。
収入に不安がある方は、比較的に収入の要件を重視しない金融機関や商品を選ぶと良いでしょう。

勤続年数や年齢、信用情報も審査のポイントに

●勤続年数と年齢について

安定した収入が見込める公務員や会社員であっても、住宅ローンの審査に通らないケースがあります。

勤続年数が短いことも、その一つです。
住宅ローンの審査では、一つの会社で長く勤めていることも安定した収入があるとみなされます。
一般的には、勤続年数が3年以上だと審査に通りやすいといわれており、転職したばかりの人など勤続1年未満だと難しいとされます。

また、借入時や完済時の年齢も審査に大きな影響を与えるポイントです。
多くの住宅ローン商品は80歳までに完済するよう求めていますが、実際には安定した収入が得られる定年を迎えるまでに完済するのが望ましいとされます。

たとえば、50歳の人が30年で完済する住宅ローンを利用する場合、定年が65歳だとすれば、その後返済できる収入があるかどうかに金融機関は注目するのです。 よほど特別な事情がない限り、定年までに完済できるように計画しましょう。

●ほかの債務状況や返済履歴も重要なポイント

住宅ローンの審査では、債務状況や返済履歴など個人信用情報もチェックされます。
その情報に事故記録があると、審査に通らないケースもあるので注意が必要です。

具体的には、消費者金融やクレジットカードなどの支払いで、延滞が2~3ヵ月以上続いていたり何度も延滞を繰り返したりする人は要注意。
こうした情報は、個人信用情報に事故記録(いわゆる「ブラックリスト」)として残され、たとえ収入が安定していても「返済に難あり」とみなされます。

審査が厳しいといわれる金融機関では、消費者金融からの借り入れがあるだけで落とされるところもあるようです。

また、債務状況だけでなく、税金の滞納履歴も個人信用情報の事故記録として残りますし、債務整理や自己破産などの記録も残っています。
住宅ローンの審査では、過去の一定期間をさかのぼって、こうした事故記録を確認します。
延滞や滞納の経験がある方は、注意しましょう。

住宅ローン審査が通らないときに考えられる理由

収入、年齢、勤続年数、そして個人信用情報のほかにも、住宅ローンの審査が通らない理由はいくつか考えられます。具体的にどのようなケースがあるのかを紹介します。

●返済負担率が高い

収入に見合った借入可能額以上の額を希望して、住宅ローンの審査で落ちる人もけっこういらっしゃいます。
金融機関では、住宅ローンを利用する人の年収に対して「これくらいなら返済できるだろう」という返済能力を見極めるための指標を設けています。その指標を、返済負担率といいます。

返済負担率は「年間返済額÷年収」で求めます。
たとえば、年収400万円の人で年間返済額が100万円なら返済負担率は25%、120万円なら30%になります。
つまり、返済負担率を高く設定している金融機関ほど、借入希望額も高く設定できるわけです。

金融機関にもよりますが、返済負担率は30~35%に設定しているところが多くみられます。
なお、年間返済額には自動車ローンやカードローンなど他の債務も含まれます。
こうした債務を減らすことも返済負担率を下げることにつながりますので、まずは借金を減らすことから始めるのが得策です。

●健康状態が良好ではない

住宅ローンを契約する際に、団体信用生命保険への加入が求められます。
この保険は、加入者が死亡または重度の障害で返済ができなくなった場合に、保険会社が残債の支払いを肩代わりしてくれるというものです。

住宅ローンの審査では、団体信用生命保険に加入できる健康状態も重視しています。
何らかの持病があって団体信用生命保険に加入できないとわかれば、住宅ローンの審査に通らない場合もあります。

●購入物件の担保価値が低い

抵当権の設定も、住宅ローンを利用する条件の一つになります。
もし自己破産などにより住宅ローンの返済ができなくなった場合、金融機関は抵当権を設定した物件を差し押さえて処分し、資金を回収します。
このときの回収額がローン残高よりも少ないと、金融機関は債務を抱え込むことになるため、住宅ローンの審査時に物件の担保評価を行うのです。

評価基準は金融機関にもよりますが、銀行の融資基準を満たさない物件だと住宅ローンの審査が通りません。具体的には、狭小地の家、築年数の古い中古物件などを購入する場合は、注意が必要です。
また、再建築不可などの建築条件が付いている土地、容積率や建ぺい率の制限を超えるなど建築基準法に抵触する建物などは、評価額が低かったり担保価値がないとみなされたりする場合もあり、住宅ローンの審査にも影響を与えます。

住宅ローン審査を通りやすくするため行っておくこと

これまで紹介した住宅ローンの審査に通らない理由から、具体的にどのような行動をとれば審査に通りやすくなるのかを考えてみましょう。

●転職する前に住宅ローンを申し込む

住宅ローンの審査基準の一つに勤続年数がありますから、転職を検討されている方は、いまの会社に勤めているうちに住宅ローンを申し込んでおきましょう。
転職するタイミングは、住宅ローンが実行されてからが無難です。

転職を繰り返して、いま勤めている会社の勤続年数が3年未満の方は、勤続年数の要件が厳しくない金融機関を選ぶのも一手です。
勤続年数が半年や1年でも借りられるネットバンクもありますし、フラット35のように勤続年数を求めない住宅ローン商品もあります。

なお、キャリアアップのための転職であれば、勤続年数が短くても審査に影響がないこともあるので、借入先金融機関に相談しましょう。

●頭金を多めに用意し、完済年齢は定年前に設定する

住宅ローンの完済は、定年までに設定しましょう。
65歳が定年とすれば、35歳の人なら借入期間は30年、40歳の人なら25年が最長となります。

借入期間が短くなると、借入可能額が減ることも考えられます。
その場合に備えて、自己資金(頭金)を増やすことも検討したいところです。
一般的に自己資金は、物件購入額の2割あれば審査に通りやすいといわれます。
ただし、返済期間が短くなるとそれ以上の自己資金が必要になることもありますので、40歳以上の方はできるだけ多くの自己資金を用意することをおすすめします。

家を購入する年齢が若いほど、返済期間を長く設定でき、借入額を増やせる可能性もあります。親などからの支援も受けやすいでしょうから、できるだけ早いうちに動き出す方が得策といえます。

●債務をできるだけ減らす

消費者金融や自動車ローンなど、他から借り入れてしている債務がある人は、返済に努めましょう。新たな借金をつくらないことも大切です。
これを機に不要なクレジットカードを解約するなど、カードを整理するのも有効でしょう。

支払いが滞るなどの延滞経験がある人は、個人信用情報の事故記録に残っていることが考えられます。
住宅ローンの審査では、過去5年前後(最長7年)の支払いについての事故記録をチェックする金融機関が多いようです。
延滞の経験がある人は、チェックされない期間になるまで待つか、さかのぼる期間の短い金融機関を選ぶしかありません。
自身の支払管理をしっかり行い、滞らないよう計画的に進めることが重要です。

●返済負担率を30%以下にする

他の債務を減らせば、住宅ローンで借り入れできる額を増やせることにもつながります。
金融機関の多くが返済負担率を30~35%くらいに設定していますので、債務が多い方はこれ以下になるよう努めましょう。

また、自分の収入で借入可能額をシミュレーションすることも大切です。
借入可能額は、年収や返済負担率のほか、返済期間、他のローン借入額、審査金利によって決まります。

一例として、年収400万円で他のローン借入のない人が、返済負担率30%、審査金利3%の金融機関から35年ローンを借りる場合、借入可能額は約2,600万円、毎月の返済額は約10万円になります。
同じ条件で、ほかのローンの支払いが毎月3万円ある場合、借入可能額は約2,200万円になり、400万円もの差が出てきます。

返済負担率がどうしても抑えられない場合は、自己資金(頭金)を増やして住宅ローンの借入額を少なくするしかありません。
年齢が若ければ親から支援してもらうなどの方法もあるでしょう。

●健康的な生活を心がける

団体信用生命保険に加入できるよう、健康な状態を保つこともポイントです。
食生活の見直しや、運動する習慣をつけるなど、健康には十二分に配慮しましょう。

高血圧や糖尿病などの生活習慣病の方は、審査が通らないケースもあります。ただし、こうした人でも入れる引受条件緩和型の保険商品もありますので、借り入れを検討している金融機関と相談するのもよいでしょう。

また、現在は完治しているが過去に大きな病気を経験している人は、加入できないおそれがあります。
これは、団体信用生命保険の加入の際に過去3年にかかった病気について報告する必要があるためです。
大病を経験された人は、報告する必要がない期間になるまで待つことをおすすめします。

●金融機関の融資基準に見合う物件を購入する

金融機関は、購入する建物にも住宅ローンの審査基準を設けていますから、借り入れできる物件を選ぶこともポイントです。

狭小地の物件や中古物件は、融資基準から外れるケースもありますし、違法な物件は担保価値がないとみなされ審査に通りにくくなります。

他にも、隣地へ越境していないか、接道の幅員が2m以上あるかなど、土地探しの段階から違法物件の回避策はありますので、くれぐれも違法な物件を選ばないよう注意してください。

他行で審査が通る場合もある

仮にA銀行では住宅ローンの審査に通らなくても、B銀行だと審査に通るといったケースは、よくある話です。
住宅ローンの審査基準は金融機関ごとに異なりますから、他行なら借り入れできることは十分にあります。

たとえば、収入が不安定な自営業やフリーランスでも相談にのってくれる地方銀行や信用金庫はありますし、フラット35のように前年の収入しか必要のない商品も利用できるかもしれません。
また、ネット銀行には契約社員や派遣社員でも、勤務期間3年以上などの要件を満たせば借り入れできるところもあります。

住宅ローンの申し込みを、複数の金融機関に掛け持ちしている人も意外と多いようです。
ただし、複数同時に申し込んだ場合、キャンセルをするタイミングには注意が必要です。
たとえば、本審査の結果が出た後にキャンセルをすると、不動産会社によっては手付金が戻ってこないケースがあります。
複数の金融機関に申し込む場合は、不動産会社の契約書にその旨が記載されていないか確認したうえで行いましょう。

●ペアローンや親子リレーローンを使う場合の注意点

共働き世帯が増えていることから、金融機関ではペアローンという住宅ローン商品を提供しているところも増えています。
ペアローンとは、夫婦それぞれが住宅ローンを契約し、互いに連帯保証人となる商品です。
夫婦どちらか一方の収入では審査に通らない場合など、二人の収入を合算することで審査に通りやすくなる際に使われます。

ただし、ペアローンには注意点もあります。
たとえば、妻が育児休暇中で収入がない時期でも返済額は変わりませんから、夫がその分を負担しなければなりません。
また、どちらかが亡くなった場合に団体信用生命保険で保証されるのは亡くなった方の分だけで、残された方のローンはそのまま支払いが続きます。

夫婦ではなく、親子で使える親子リレーローンという商品もあります。
中高年の親と成人した子が申し込み、親が定年退職をしたら子がローン返済を引き継ぐという商品です。
なかには、親の年齢が借入時に70歳であっても申し込める商品もあります。

利用の注意点としては、親が予定返済額を支払う前に亡くなった場合、予定外の債務を子が背負わなければいけないリスクがあること。
また、兄弟がいる場合は相続について事前に話し合っておかないとトラブルが生じることもあります。

ペアローンや親子リレーローンは、一部の人には人気のある商品ですが、将来を見据えて検討しなければ後悔するケースもありますので、注意が必要です。

まとめ

住宅ローンは、金融機関の定める条件を満たした人だけが利用できるものです。
多額の資金を長期にわたって貸し出すわけですから、信用のある人しか借入できない点は認識しておきましょう。

とはいえ、金融機関としては「できるだけ多くのお金を貸したい」という心情があります。
それは長く続く低金利の影響で、多くの融資をしなければ利益が得にくいという背景があるため。
こうした事情から、以前と比べれば低金利で借りやすい住宅ローン商品が増えているのも事実です。

もし審査に落ちたとしても、金融機関によって重点を置く項目は違いますから、あきらめず複数の金融機関で相談してみましょう。

 

 

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