相続不動産売却の豆知識!不動産売却時に知っていると助かる税の特例
2020.12.08
両親や祖父母から相続した不動産を売却すると、売却額に応じた税金がかかります。
このとき、税の特例を知っていれば、大幅な節税が可能です。
ただ、税の特例は、自ら適用条件を満たしていることを調べ、確定申告時に必要書類等を揃えて申請しないと利用できません。
そこで今回は、相続した不動産を売却した場合に利用できるお得な税の特例を、全部で4つご紹介します。
税の特例に関する知識を深めて、できるだけ多くのお金を手元に残せるようになりましょう。
相続した不動産を売ると手数料以外に税金がかかってしまう
●売却結果が黒字なら相続税を納めていても「譲渡所得税」の対象に
相続した不動産を売却し、売却額から「買ったときの金額と諸経費」を差し引きして黒字が出ている場合、「譲渡所得税」という税金の納税が必要です。
譲渡所得税は、資産を第三者に譲って利益が出たときに課税される税金のことで、給与や事業収入に対して発生する「所得税」の一種となっています。
そんな譲渡所得税の税率は、
- 所有期間が5年以下:譲渡所得税30%・住民税9%
- 所有期間が5年超:譲渡所得税15%・住民税5%
です。
「不動産を何年所有しているか」によって税率が変わります。
●売買契約書の作成時には「印紙税」が必要
印紙税は、売買契約書を作る際に発生する税金です。
税金を納める代わりに取引内容や契約上の取引金額を国に保証してもらうために納めるもので、売却金額によって金額が変わります。
なお、印紙税の納税方法は、「課税額に応じた収入印紙を郵便局などで購入し、売買契約書に添付する」というやり方です。
●相続時に手続きしていない場合「登録免許税」もかかる
相続時に、不動産の法的な所有権である「登記」を自分のものにしていない場合、相続登記という手続きをして登録免許税を納める必要があります。
なぜなら、不動産を売却する場合、「自身が法的な不動産の所有者である」ことを証明する必要があるからです。
そんな登録免許税の納税額は、「相続した不動産の固定資産税評価額×0.4%」となっています。
相続不動産の固定資産税評価額が1,500万円なら、納税額は60万円です。
空き家を相続して売ったときに使える3,000万円控除
親族から空き家を相続して売った場合、3,000万円の控除を受けられます。
特例を利用できるのは、以下の条件を満たしている場合です。
- 元の持ち主が住んでいた空き家である(投資用物件などではない)
- 住んでいたのは持ち主だけである(だれかと同居していない)
- 1981年以前に建てられた物件であること
- 区分所有(店舗兼住宅や二世帯住宅などの登記)ではない
- 相続してから3年以内に売却すること
- 売却額が1億円以下
- 後で紹介する取得費加算の特例などを利用していない
- 親子間・夫婦間といった身内への売却ではない
条件は細かいですが、控除額が3,000万円と非常に大きいので、利用できると大幅に節税できます。
相続した家に住んでいると使える3,000万円控除
相続した不動産でもそうでなくても、「住んでいる自宅」を売ったら3,000万円の控除を受けられるという特例です。
家族間や親族間での取引だと利用できませんが、「家を出てから3年後の年末まで」に売却手続きを終えていれば、特例を適用してもらえます。
なお、実際に相続した家に住んでいるという証明ができれば、居住期間が短くても問題はありません。
取得費加算の特例
譲渡所得税は、不動産の売却価格から「取得費(不動産の入手時にかかった費用)」と「譲渡費用(不動産売却時にかかった費用)」を差し引き、残った金額に税率をかけて納税額を求めます。
取得費加算の特例は、上記の計算を行う際、相続税の一部を取得費として使える特例です。
不動産を相続したときに納めた相続税を差し引いて納税額を計算できるので、譲渡所得税を節税できます。
ただし、取得費加算の特例を利用できるのは、
- 相続した本人が売却している
- 相続税を納めている
- 相続から3年10ヵ月以内の売却である
場合です。
所有期間が10年を越えている場合の軽減税率
譲渡所得税の税率は、所有期間によって税率が変わります。
相続後、所有期間が5年を越えている場合は税率が約半分になりますが、所有期間が10年を越えている場合は、軽減税率の適用が可能です。
具体的には、取得費や譲渡費用を差し引きした黒字部分が3,000万円を越えている場合、
- 所得税:15%→10%
- 住民税:5%→4%
になります。
軽減税率が適用されるのは6,000万円以下と制限はあるものの、自宅を売ったときに使える3,000万円の特別控除と併用できるので、利用条件を満たしている場合は積極的に利用しましょう。
まとめ
相続した不動産を売却した結果、利益が出たら譲渡所得税や印紙税、登録免許税といった各種税の納税が必要です。
ただし、人によってはお得な税の特例を利用できます。
利用条件を満たしていても、確定申告の際に自ら申告しないと特例は適用してもらえません。
相続不動産を売るときは、「利用できる税の特例がないか」を調べて、できるだけ納税額を抑えられるように工夫しましょう。