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一物多価って何?不動産売却に備えて知っておきたい基礎知識

2020.12.29

一物多価って何?不動産売却に備えて知っておきたい基礎知識

一物多価って何?不動産売却に備えて知っておきたい基礎知識

ただし、不動産の知識がないと、査定結果が適切なのかを判断できません。
そこで役立つのが、不動産の価格設定を支える「一物多価」という概念です。

この記事では、不動産売却に備えて知っておいて欲しい、一物多価について解説します。

一物多価とは

●一つの不動産に複数の価格が存在すること

一物多価とは、ひとつの物品に対して複数の価格が存在することです。
日常生活ではなかなか意識する機会のない概念ですが、同じ食品がコンビニよりスーパーで買った方が安いといった状態が、一物多価だといえば理解しやすいでしょう。

ただし、不動産に関しては少々内容が複雑です。
人件費や輸送費などのコストカットによって価格に差がつく食品や日用品と違って、不動産は用途によって異なる価格設定をするという性質を持っています。

●不動産は用途に合わせて価値計算の求め方が違う

  • 国が決める土地の基準価格「公示価格」
  • 都道府県が調査する土地の基準価格「都道府県地価調査」
  • 相続税の計算に使う「路線価」
  • 市場での価格を示す「実勢価格」

といった用途ごとに、異なる方法で資産価値を計算するのが不動産の一物多価です。
まったく同じ不動産でも、実勢価格を見ると1,000万円になり、公示価格で考えると700万円になるといった複雑な状態が発生します。

では、どうしてわざわざ用途ごとに違う方法で不動産の金額計算をするのかといえば、不公平な不動産取引を防いだり、課税の負担や手間を軽減したりするためです。
たとえば、最低限の基準となる公示価格がないと、不動産業者が結託して土地の価格をつりあげ、高く売りつけるといった手口が発生する可能性があります。
また、不動産の課税額を決める際、毎日のように金額が変わる時価を参照してしまうと、納税額が毎年変わるので税額計算や課税の手続きが面倒です。
しかし、用途ごとに価値計算の方法を作っておけば、「1月と6月の価格変動を考慮して納税額を調整する」といった手間がなくなります。

●不動産売却では「地価公示」と「実勢価格」を知ることが大事

不動産売却に限っていうと、不動産の基準価格である地価公示と、時価に当たる実勢価格を知っておくことが重要です。
最低限両者を理解していれば、不動産業者に出してもらった査定を見て、査定価格が適正かどうかを自分で判断できるようになります。
不動産売却のトラブルや失敗は業者側と売り主側の知識差によるものが少なくないので、信頼できる業者選びをするという意味でも一物多価への理解が必要です。

地価公示(公示価格)

地価公示(公示価格)は、国が毎年公表・更新している土地の基準価格のこと。
不動産の価格は需要と供給で決まるため、基本的に定価がありません。
ただ、何か一つ基準となる価格がないと、各種取引や手続きを適正に進められないので、客観的かつ公平な土地の資産価値を地価公示として一年に一回公表しているわけです。
複数名の不動産鑑定士に依頼を出し、1月1日時点の地価を毎年3月の下旬頃に発表しています。

都道府県地価調査

都道府県地価調査は、国が行う地価調査の都道府県バージョンです。
地価公示とは違って、「7月1日時点」の都道府県地価を調査し、公表しているという違いがあります。
2020年に関しては、新型コロナウイルスの関係で1月以降に地価が落ちてしまいましたが、地価公示と都道府県地価調査は似たような金額に落ち着くのが一般的です。
なお、都道府県地価調査ではなく、基準地価と呼ばれることもあります。

路線価

路線価は、国税庁が調査・公表している地価のことです。
土地そのものの利便性やブランド価値で金額が決まるため、「広さ」や「人気」などで価格が上昇する地価公示や都道府県地価調査と違って、「駅チカ」「知名度の高いエリア」の土地ほど路線価が高くなります。

そんな路線価は、相続税や贈与税の税額計算をする際に利用される数値です。
価格は時価の8割程度になるため、路線価があるからこそ相続税や贈与税が安くなるというメリットがあります。

実勢価格

いわゆる時価、つまり実際に取引される不動産の売却価格です。
「住みたい街ランキングで上位に入った」「子育て支援が手厚い」など、景気の動向や需要によって金額が変動します。
とはいえ、公示価格や都道府県地価調査といった基準がありますし、多少番地が違っていても土地の利便性等は変わらないので、地域の取引相場からかけ離れた価格になるケースは少ないです。

まとめ

定価の存在しない不動産を適正価格で売るためには、不動産業者の査定を利用する必要があります。
ただし、査定を行う業者の中には、不動産を買い叩くために地価公示より安い査定を出したり、契約を取るために実勢価格の相場より高い査定を出したりするところもあるので、すべての業者を無条件に信頼できるわけではありません。
怪しい業者を避けるなら、売り主が一物多価について理解するのが一番です。
不動産を売るときは、知識を付け、信用できない業者との契約を回避しましょう。

 

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