老後の住まいは賃貸・持ち家どちらを選ぶべき?両者のメリットを比較
2021.05.13老後の暮らしを考えたとき、問題になってくるのが、「賃貸に住むか、持ち家で暮らすか」いう選択です。60代・70代になっても元気に活躍する高齢者は増えていますが、残念なことに、働き盛りに建てた住宅は老後の段階で無視できない劣化や傷みを持っているケースが少なくありません。このまま同じ家に住み続けるのか、賃貸に引っ越すのか、それとも持ち家を買い換えるのか、どの選択肢を取れば快適な老後を過ごせるのか悩んでしまうのは当然のことでしょう。
そこで今回は、「終の棲家として見た場合」の賃貸と持ち家両者のメリットを比較していきます。
終の棲家に賃貸を選ぶメリット
●維持・管理の費用や手間がかからない
終の棲家として賃貸物件に引っ越すメリットは、住宅の維持や管理にお金と手間がかからないことです。持ち家だと、定期的なメンテナンスや故障した設備機器の修理を全額自費で行うことになりますが、賃貸住まいならこうした費用をすべてオーナーが負担してくれます。また、共用部の掃除も必要ありません。特に、外壁や庭の清掃といった負担の大きいメンテナンスをしなくて良いのは、高齢者にとって大きなメリットです。
●気軽に引っ越したり退去したりできる
賃貸物件は、持ち家に比べて気軽に引っ越したり退去したりできます。家族の状況が変わってお子さんと同居することになったり、老人ホームなどへ入居することになったりしても、「持ち家をどうするか」に悩むことなく引っ越しできるのです。資産に余裕があれば、定期的に引っ越しをして様々な都市で過ごすといった暮らし方もできるでしょう。敷金や数カ月分の家賃、そして引っ越し代さえあれば住居を移れるため、持ち家を買い替える余裕がない場合にも効果的な選択肢です。
●利便性の高い場所・物件を選べる
賃貸物件の中でも、マンションは特に老後過ごしやすい環境となっています。駅などに近い物件であれば、車がなくても生活できますし、エレベーターがあれば階段で転ぶ心配もありません。一戸建てよりも狭いマンションに引っ越せば、部屋の掃除も最低限で済むため、生活自体の労力も節約できるでしょう。
認知症になり、家族に止めても車を運転して事故を起こしてしまうといったリスクを考えると、早目に車のいらないエリアに引っ越し、車を運転しない生活に慣れておくのもおすすめです。
終の棲家として持ち家を購入するメリット
●終の棲家として持ち家を購入するメリット
現在の住居を売却する、または現在住んでいる賃貸物件を退去して持ち家を購入すると、マイホームという資産を家族に残してあげられます。薄情だと感じるかもしれませんが、築40年50年の古い住宅より、築10年20年の物件を相続させた方が、遺族には喜ばれるでしょう。比較的きれいな物件であれば、そのまま住むことはもちろん、事情に応じて売却する際にも買い主を見つけやすいからです。
また、地価の高い土地を所有している場合、土地をそのまま渡すより、家を建てて自宅として相続させた方が相続税を節税できます。
●住宅購入が資産整理や終活のきっかけになる
不動産の購入は、人生を左右する非常に重大な事件です。家を買うにあたって現在の資産や今後の収入見込み、生活費等を見直すことになるため、住宅購入をきっかけとして資産整理や終活を始められるというメリットもあります。特に、夫婦間で相続対策や終活についての意識にズレがある場合、住宅購入という話題を使うことで意見のすり合わせをしやすくなるため、終活を検討しているなら一度住宅購入の計画を立ててみると良いでしょう。
●老後の生活に適した間取りや設備を選べる
老後に備えた家づくりをするメリットとして、非常に大きいのが間取りや設備面の最適化です。子育てを視野に入れた住宅は、多くの場合老夫婦にとって広すぎます。階段のない平屋やバリアフリー対応、廊下や浴室でも冬の寒さを感じづらい全館空調と高い断熱性能などが手に入りますし、以前建てた住宅の不満点も改善可能です。
賃貸・持ち家を選んだ場合のデメリットと注意点
老後の住まいに賃貸を選んだ場合、入居審査と契約更新が年齢によって通りづらくなってしまいます。孤独死等のリスクもあり、年金で収入も現役時代より低いといった事情から、高齢者は大家に契約を拒否されてしまうというケースも少なくありません。特に、夫婦の片割れが亡くなった場合、残された側の生活が不安定になりやすい点には注意が必要です。
一方、持ち家は持ち家で、高齢になるとローンを組みづらいというデメリットがあります。賃貸で暮らす場合でも持ち家を選ぶ場合でも、終の棲家選びは早めに動くことが重要です。
まとめ
老後の住まいを賃貸にするか、それとも持ち家で過ごすか迷った場合は、両者のメリットを比べた上で、より自分たちのライフプランに合っている方を選びましょう。ただし、年齢を重ねれば重ねるほど、賃貸物件の入居も住宅ローンの契約も難しくなってしまいます。初動の遅れが老後の後悔にもつながりかねないため、老後の暮らしに興味があるなら、住居選びについて真剣に考える時間を取りましょう。