不動産広告づくりの落とし穴!売却広告のルールとは
2021.06.02ポスティング用のチラシや新聞の折込広告を含め、不動産の広告は内容を法律で規制されています。不動産広告は基本的に仲介を頼んだ業者が作ってくれるため、売り主が自ら触れることはありませんが、「少しでも良い条件で不動産を売りたい!」と広告を自作したり内容に口出ししたりした結果、法律に違反すると面倒な事態に。そうならないためにも、最低限のルールを知っておきましょう。
ここでは、不動産広告づくりのルールについて解説します。
不動産広告は2種類の法律と規制を守って作る必要がある
●不動産広告を管理する2種類のルールとは
不動産広告の内容は、
- 宅地建物取引業法
- 不動産の表示に関する公正競争規約
という2種類の法律・規制によって広告内容が制限されています。厳密にいうと、不動産の表示に関数公正競争規約は、あらゆる商品・サービスの広告に関する規制を定めた「景品表示法」に引っかからないように制定された自主規制です。どちらにせよ、上記のルールを守らずに不動産広告を作ってしまうと罰金等の罰を受けることになったり、広告そのものの信頼性が損なわれて宣伝してもらえなくなったりしてしまいます。あらかじめ、不動産広告は自由に作って良いわけではないということを知っておきましょう。
●ルールを破った場合はどうなるの?
不動産広告に関するルールを破った場合、広告を出した業者が行政から「指示」や「業務停止」等の処分を受けたり、最悪の場合宅建業の免許取り消し処分を受けたりすることになるため、注意が必要です。宅建業法違反の不動産広告に対しては、6ヵ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性もありえます。
売り主に関係ないと思うかもしれませんが、仲介を頼む不動産業者もビジネスである以上、法律違反の可能性がある不動産広告を依頼しても応じてもらえません。しかし、売り主側にある程度の知識があれば、広告について意見を出しやすくなりますし、何らかの事情で広告の修正を断られたとしても、「なぜ断られたのか」を判断できるようになるため、業者ともめるリスクを減らせます。
「宅建業法」の広告規制
●誇大広告の禁止
宅建業法だけでなく、多くの宣伝広告において「誇大広告」は厳禁です。不動産の場合、
- 住所地
- 大きさやデザイン
- 何らかの制限
- 価格
などについて、「実際の状態よりも良いものだと見た人に誤解させる表現」は禁止されています。
- 駅のすぐそば(所要時間が記載されていない)
- 格安・最高・ナンバーワンなど具体性のない表現
- 売却済み・成約済みの物件をあたかも売り出し中かのように広告すること
- 売却するつもりのない物件を格安価格で広告して集客すること
といった表現は誇大広告やおとり広告として規制の対象になってしまうため、安易に使わないよう気をつけましょう。
●広告開始時期の制限
広告開始時期の制限は、原則として新築住宅の広告を行う際に適用されるルールです。簡単にいうと、新築住宅の場合、設計等に関して自治体のチェックを受け、「建築番号」をもらってから広告を始めようという内容になっています。「広告と実際の住まいの仕上がりが違う」といったトラブルが起きてしまうと困るため、工事が始まる前に広告を出す場合は、最低限建築許可を得て図面が決定してから手続きすることを義務付けているわけです。
ただし、中古物件の場合は原則建築時に建築許可を受けているケースが多いため、持ち家の売却だと意識する必要はないでしょう。
●取引態様の明示
宅建業法における不動産広告規制、最後の3つ目は「取引態様の明示」です。取引態様とは、不動産売却において業者がどのような立場で取引に関わっているかを示す用語のこと。不動産売却だと、売り主・代理・媒介の3種類があります。「売り主」は、いわゆる不動産業者が自己所有物件を売却しているというケース、「代理」は売り主から委任状等をもらって代わりに売却手続きを請け負っている状態、「媒介」は売り主または買い主と媒介契約を交わして取引を仲立ちしているという意味合いです。業者に対する規制ですが、内容を知っていると「取引態様の記載があるかどうか」で問題のある不動産業者を選別できます。
「不動産の表示に関する公正競争規約」の広告規制
いわゆる景品表示法に引っかからないよう、業界内で自主的に作成された広告の規制基準です。独自の規制ですが、公正取引委員会の認定を受けており、具体的な広告の掲載内容の基準を細かく定められています。誇大広告になってしまう可能性の高い用語などもまとめられているため、法的にNGな表現を使っていないかどうかをチェックするためにも、一度目を通しておくと良いでしょう。
まとめ
不動産広告を作る場合、宅建業法や不動産の表示に関する公正競争規約を守る必要があります。「完全」「格安」など、日常的な用語でも法的に問題になりやすい表現があるため、不動産広告に意見を出すときは業界の基準も知っておくに越したことはありません。
広告自体は業者が作ってくれますが、知識があると既存の不動産広告を見てまっとうな業者か判断したり、売却物件の広告内容に意見を出したりできるようになります。