2022年に期限切れ!?生産緑地を売却するメリットとデメリット
2021.09.22少なくとも30年、土地の税金が大幅に軽減される代わりに農地利用を義務付けられる生産緑地の指定解除が、2022年に迫っています。何もしなければ生産緑地の指定が外れてメリットが減ってしまうため、生産緑地の所有者は持っている土地を売るのか農業を続けるのか今のうちに決めておきましょう。
ただし、生産緑地を売却するメリットとデメリットがわからないと、どちらの選択をすべきなのか判断できません。
この記事では、生産緑地を売却するメリットとデメリットや、おすすめの売却方法をお伝えしていきます。
生産緑地とは
生産緑地とは、「土地の用途を農地または緑地に制限される代わりに、強力な節税制度を利用できる」という制度のことです。具体的には、固定資産税が大幅に安くなったり、農業を継ぐ場合に相続税の納税を待ってもらえたりします。広大な土地を格安の維持費で管理できるということもあって、生産緑地法が制定された1992年に全国で数多くの土地が生産緑地になりました。
ただし、生産緑地の営農義務は原則30年です。何もしなければ、1992年から30年経過する2022年に生産緑地の指定が解除されてしまいます。生産緑地の税制優遇は、生産緑地だからこそ受けられるもの。手持ちの農地が生産緑地でなくなると、固定資産税が高くなったり相続税の納税猶予を受けられなくなったりします。だからこそ、生産緑地の所有者は2022年に合わせて土地を売却するのか、農業の継続を約束して「特定生産緑地」に指定してもらい、10年ごとに農地の指定を更新するかを選ぶ必要があるのです。
生産緑地を売却するメリット
●固定資産税・都市計画税の負担がなくなる
2022年の指定解除を待って生産緑地を売却すると、固定資産税や都市計画税といった不動産の維持費がゼロになります。生産緑地の指定解除後は、農地として使っていても各種税金が宅地並に高くなってしまうので、農業を続ける予定がなければ売却した方が良いでしょう。近所の農家に農地を貸すという手もありますが、農業人口の低下や後継者不足に悩む地方では、農地を借りてくれる人を探すのも簡単ではありません。幸い、生産緑地の指定を解除されると、農地ではなく宅地として売却できるようになります。農地は農家にしか売却できないというルールがあるため、本来なら売却が非常に難しいのですが、指定解除のタイミングを利用すればより売りやすい状況での土地売が可能です。
●農業をやめられる
生産緑地を売却することによって、家族が営農義務から解放されます。生産緑地の指定条件には、土地を農地として使えるように適切な管理をすることも含まれているため、生産緑地や特定生産緑地を所有している限り農業をやめられません。しかし、生産緑地の指定が解除されれば話は別です。後継者がいない、お子さんが遠方で暮らしている、年齢の関係で農作業の負担がつらくなってきたなど、農業をやめようと考えているなら売却するのがおすすめです。
生産緑地を売却するデメリット
●農業や農業関連の事業に運用できくなくなる
生産緑地を売却すると、当然のことながらその土地を活用したり農業を継続したりできません。数度に渡る法改正の影響で、元々農地としての利用以外を禁止されていた生産緑地も、「畑で採れた野菜を使ったレストラン」や「農地の賃貸ビジネス」として利用できるようになっています。農地としての需要が高かったり、都市部からのアクセスが良く飲食店としての売上を期待できたりする場合、土地を持っていた方がお得です。
●相続で得た農地を生前に売却すると相続税を課税される
生産緑地の優遇措置には、「相続時に納めるべき相続税を猶予してもらえる」というメリットがあります。猶予してもらった相続税は、所有者が亡くなった場合免除されますが、農業をやめると猶予分の相続税の納税が必要になるため注意が必要です。さかのぼり課税に関しては、猶予期間分の利子が上乗せされるため、通常の相続税よりも負担が大きくなってしまいます。不動産を売ることによって損をするケースがあることを知っておきましょう。
生産緑地の売却では不動産業者を賢く頼ろう
生産緑地の指定解除後に売却しようと考えている場合、不動産業者を頼るのがおすすめです。生産緑地は市町村に買取の申し出ができるようになっていますが、多くの場合、申し出をしても自治体には買い取ってもらえません。個人の伝手で近隣の農家に買い主がいないか探すよりも、業者に任せて全国的に農地を売り出してもらった方が買い主を見つけやすいので、業者の力を賢く使って生産緑地を現金化しましょう。
まとめ
2022年に生産緑地の指定が解除され、生産緑地のメリットである税制の優遇を受けられなくなってしまいます。指定解除後の土地は、農地でありながら宅地と同じ固定資産税がかかる維持費の高い財産なので、状況に合わせて農業を続けるか、売却するかを考えましょう。売却を選ぶ場合、不動産業者をうまく利用してより良い条件での売却を目指すのがおすすめです。