不動産の売却額は売り出し価格で決まる!?売り出し価格の求め方
2021.10.12
不動産を売るなら、少しでも高く売却したいと考えるのは当然です。
そこで押さえておいてほしいのが、不動産広告に掲載する「売り出し価格」の求め方。
土地や建物の売却価格は、売り出し価格次第で高くなったり安くなったりします。
ただ、適当に値付けをして、後から金額を調整すれば良いだろうと考える場合もあるでしょう。
そこで今回は、不動産売却における売り出し価格決定の重要性と、具体的な売り出し価格の決め方について解説します。
不動産の売り出し価格と成約価格の関係性
不動産売却において、売り出し価格と成約価格は近い金額に落ち着くケースが多いです。
東日本レインズが公表している2020年の不動産市場動向調査から、「一年間で新しく売り出された不動産価格」と「一年間で実際に売れた不動産の価格」をまとめると、以下のような関係性が見えてきます。※1
種別 | 売り出し価格 | 成約価格 | 比率 |
---|---|---|---|
中古マンション | 3,296万円 | 3,599万円 | 109% |
一戸建て | 3,753万円 | 3,110万円 | 83% |
土地 | 3,111万円 | 2,810万円 | 90% |
簡単にいうと、中古マンションは売り出し価格より少し高く、中古の一戸建ては売り出し価格より20%ほど安く、土地に関しても売り出し価格より10%ほど安く取引されているわけです。
もちろん、年間で取引された不動産の売り出し価格と成約価格の平均値から求めたデータであり、なかには安い不動産も高い不動産もあるため、すべての土地や物件が上記の割合で売れるわけではありません。
しかし、全体の傾向として見ると、売り出し価格からかけ離れた金額で成約するケースは少ないといっても良いでしょう。
たとえば、売り出し価格を下げすぎると、本来ならもっと高く売れていた物件を安値で手放す羽目になってしまいます。
こうした値付けのミスマッチを防ぐために、不動産を売るときは適切な売り出し価格の求め方を知っておく必要があるのです。
※1 公益財団法人東日本不動産流通機構:首都圏不動産流通市場の動向(2020年)
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2020.pdf
売り出し価格はどうやって決めたら良いの?
●査定の結果を流用するのが一般的
不動産の売り出し価格は、多くの場合不動産業者の査定結果を流用します。
そもそも、査定額はプロの目から見て「おそらくこれくらいの金額で売れるだろう」という想定額です。
地域の相場も踏まえた金額を出しているため、査定額を売り出し価格として採用すれば大きな値付けのミスは避けられるでしょう。
ただし、契約を得るために査定額をあえて高く出してくる業者もなかには存在します。
不動産業者を選ぶときは、相見積もりを取って業者の査定や相談時の対応を比較し、信頼できる相手を見極めることが大切です。
●売却を急いでいるなら安くしよう
何らかの事情があって売却を急いでいる場合、査定額から値引きをした金額で売り出すという選択もできます。
査定結果だけを信用できない場合は、近隣の地域で販売されている似たような条件の不動産を探し、その平均値より少し安い価格にすると良いでしょう。
相場と比べてお得な不動産は、価格面で有利な分短期間で売却しやすいです。
●あえて査定額より高くする手もある
不動産の売却結果が出るまで数ヵ月以上の余裕を持てるなら、相場より少し高い価格にするという手もあります。
もちろん、相場や査定額よりも高い売り出し価格にすると不動産は売れづらくなりますが、どうしてもその物件が欲しいという買い主と出会えれば手元に残るお金を増やせるのでおすすめです。
また、強気の売り出し価格を設定しておけば、買い主との交渉で多少の値引きをしてもそれほど損をしないというメリットもあります。
売り出し価格アップにつながる売却の工夫
不動産の売却額を上げるためには、査定評価を高め売り出し価格をアップできるようにするのがおすすめです。ただ、不動産の資産価値はそう簡単に上げられません。
そこで役立つのが、住宅の性能や状態を客観的に表示できる書類の取得です。
耐震診断の報告書や加入時に住宅性能の審査が行われる瑕疵担保保険の証明書、建物の現況をまとめたインスペクションの報告書などがあれば、「住宅性能が高いので値段も高い」という納得感を引き出しやすくなります。
売り出し価格を決める際の注意点
不動産の売り出し価格を決めるときは、「売っても良い」と思える最低金額を考えておきましょう。
不動産の売買では、買い主から値引きを求められるケースが多いです。
5%引きまでなら売るのか、10%まで大丈夫なのかの基準を決めておけば、値引き交渉を受ける際の判断が楽になります。
成約するかどうかの判断が遅れると買い主の購入意欲がしぼんでしまう場合もあるため、データを見つつ自分なりの基準を作っておくことが大切です。
まとめ
過去のデータを見ると、不動産の売却価格は売り出し価格と同じような金額に落ち着きます。
そのため、不動産を高く売るなら売り出し価格を高くすることが重要です。
ただし、人それぞれ不動産売却の事情や所有している不動産の条件等も違います。
売りたい物件に合った査定と販売戦略を練り、売却をサポートしてくれる不動産業者を頼って不動産売却を成功させましょう。