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介護等で施設に入った親の家は売るべき?基本的な考え方を紹介

2021.11.12

介護等で施設に入った親の家は売るべき?基本的な考え方を紹介

持ち家は、所有しているだけで固定資産税や維持費のかかる財産です。
また、空き家の状態で放置していると空き巣等の犯罪も気になりますし、管理や掃除にも手間がかかります。
認知症や介護等の関係で、介護施設に入居した親の住まいをどうすれば良いのか悩んでしまう方も少なくありません。

この記事では、介護等で施設に入った親の住まいを売るケースと売らないケース、それぞれの基本的な対処法をご紹介します。

資金と時間に余裕があるなら無理に売る必要はない

●無理なく維持できるなら売却しなくても良い

  • 親の持ち家の近くに住んでいるため気軽に掃除などができる
  • 資産に余裕があり住宅の維持費が気にならない
  • 親の家に住むことになった

など、住宅の維持を無理なくできる場合、家を売らずに持っておくという選択も可能です。
特に、親と同居していたり、施設入居を機に親の住まいに引っ越したりする場合は無理に売る必要はないでしょう。

また、現在遠方に住んでいても、将来的に不動産を相続したいと考えているケースだと不動産を手放さずに持っていた方がお得な場合もあります。

●自宅を維持するメリットもある

自宅を維持するメリットとして、無視できないのが親の心情です。
介護施設や病院等に入ったとしても、施設から家に戻ってくるケースは珍しくありません。
施設で過ごす中で、「いつでも戻れる自宅がある」ことは親にとって大きな安心感につながるため、売却を嫌がる方も多いです。
自宅に戻ることで状態が安定することもあるので、必ずしも住まいを売る必要がないことは押さえておきましょう。

判断能力があるなら委任状をもらって売ろう

●所有者でなくても委任状があれば代わりに家を売却できる

原則として、不動産を売却できるのは所有者本人だけです。
しかし、ケガや病気などで本人が動けず、判断能力に問題がない場合は、委任状を書いてもらうことで本人の代わりに住まいを売却できます。
委任状を受けた代理人は、不動産売却に関して本人と同等の権利を得るため、親にとって不動産業者との面談や内覧対応等が負担になる場合は委任状を書いてもらいましょう。

●委任状の適切な作り方

親に委任状を書いてもらう場合、先に不動産を任せる業者を探して委任状のフォーマットを用意してもらうことをおすすめします。
なぜなら、委任状には決まったひな形がなく、不動産業者によって書類の細部が異なるからです。
委任状自体は、親の実印・印鑑証明書や住民票といった本人確認書類を添えた上で、

  • 委任者と代理人の名前
  • 代理人に指名すること
  • 代理人に任せる行為
  • 期間や日付

等を記入していれば、内容として問題はありません。
しかし、委任状があってもなりすまし等を防止するための面談を不動産業者の担当者と行うので、最初から契約する不動産業者のやり方に合わせた方が手続きをスムーズに進められます。

判断能力を喪失している場合は成年後見制度を使って売る

親が認知症になっており、不動産を売るための判断能力に難がある場合、本人の署名や意見があっても委任状を作って代理人になっても不動産の売買契約を交わせません。

そこで役立つのが、成年後見(法定後見)制度です。
成年後見制度とは、判断能力に問題をきたした方の財産を守るため、本人に代わって財産を管理したり契約をしたりできる後見人を決める手続きのこと。
成年後見人の指名は家庭裁判所によって行われ、場合によっては自分以外の親族や弁護士等の専門家が後見人になることもあります。

不動産の売却だけでなく、親の口座から施設の利用料を支払うといった行為も可能になるため、状況に合わせて成年後見制度を頼りましょう。

親名義の家を売る場合の注意点

●売却準備は早目に始めよう

親名義の家を売るときは、親が元気な内に進めることをおすすめします。
理由はシンプルで、成年後見制度を利用した不動産売却より、委任状を使った売却の方が手続きをスムーズに進められるからです。
成年後見制度を使った売却だと、裁判所に不動産を売却して良いか申し立てを行う必要があります。
後見人の任命にも時間がかかるため、親が認知症になってからの不動産売却は大変です。

●3,000万円の特別控除を利用する

不動産を売って利益が出た場合、譲渡所得税等の納税や確定申告をすることになります。
ただし、親のマイホームを売却する場合、3,000万円の控除を受ければ大幅な節税が可能です。
税の特例は自動的に適用されることはなく、確定申告をする際に自ら申請したり書類を揃えたりする必要があるため、お得な制度があることを覚えておきましょう。

まとめ

介護等の事情で施設に入った親名義の家を持て余しているなら、売却するのも一つの手です。

ただし、親が認知症になってしまうと売却の難易度が跳ね上がってしまうため、できれば親が元気な内に委任状を作ってもらい、売却手続きを始めることをおすすめします。
不動産を売ることで施設の利用料等を確保できますし、住まない家は維持費が出ていく一方の負の資産です。
信頼できる不動産業者を探し、家族にとって一番良い選択肢を考えましょう。

 

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