不動産の「買取」には応じるべき?買取保証の注意点
2021.11.12不動産を売却する際、「売れ残った場合は業者が買い取ってくれる」または「買取業者を紹介してくれる」という保証を受けられるのが買取保証サービスです。
ただし、仲介と買取の良いところを両取りできるように見える買取保証サービスも、万人におすすめできるものではありません。
ここでは、どのようなケースで買取保証が役立つのかを、注意点とともにご紹介します。
不動産業者の買取保証とは
●仲介で売れ残ったとき業者が不動産を買い取ってくれるサービス
不動産業者の買取保証とは、仲介によって売り出した土地や住まいが一定の期日までに売れない場合、仲介業者や仲介業者の紹介する不動産業者が物件を買い取ってくれるサービスのことです。
たとえば、「半年後までに売れなければ○万円で引き取ります」といった保証をしてもらえるので、いつまでも不動産が売れずに困ってしまうという心配がありません。
●買取と仲介の違い
買取は、不動産業者が買い主となって売り主の家や土地を買ってくれる取引です。取引をする不動産業者一社との交渉になるため、不動産広告も不要で、いつ現れるかも分からない買い主を待つ必要もありません。早ければ数日、遅くても1ヶ月以内には不動産を現金化可能です。一方、仲介の場合、不動産業者はあくまでも広告宣伝の代理人として第三者の売り主を探してくれます。ほとんどのケースだと仲介買い主は一般消費者ですし、広告も出すため需要の高い物件なら競争が発生し、高額売却も可能です。買取と仲介はそれぞれ特徴が違うので、売却する不動産の属性や個人的な売却の条件に応じて使い分けると良いでしょう。
●すべての業者で利用できるわけではない
なお、買取保証サービスは、すべての不動産業者で利用できるわけではありません。
基本的には、仲介と買取両方を行っている業者独自のサービスであり、買取保証を用意している業者によっても細かい利用条件は変わります。
どこも同じような業者に見えるかもしれませんが、買取保証を利用するときは担当者から細かい部分まで話を聞き、契約書を隅々まで読み込んだ上で契約するかしないかを決めましょう。
買取保証の注意点
●最初から買取を狙っている業者も存在する
買取保証を付けて不動産売却をする場合、気をつけて欲しいのが最初から買取を狙っている業者の存在です。
不動産を使ったビジネスの中には、「安く買い取った不動産を転売する」「買い取った土地や建物を開発して価値を高めた上で運用・売却する」といった儲け方があります。
転売の利益を大きくするためには、不動産の売却価格を上げるか買取価格を下げる必要があるため、あえて買取保証で十分な売却活動をせず、売れ残った段階で安く買取を持ちかける業者も一部にいるのです。
不動産の売り込みをどの程度、頑張っているのかは売り主から見えづらい部分なので、プロだからと全面的に信用するのはやめておきましょう。
特に、不動産を売り出してから1週間、1ヵ月と問い合わせがなく、しきりに買取の利用をおすすめされた場合は注意すべきです。
場合によっては、不動産業者を変更して改めて仲介で売り出した方が良いこともあります。
●買取は仲介よりも引き取り金額が安くなる
買取保証というよりも買取全般の注意点ですが、買取は仲介による売却よりも金額が安くなるのが一般的です。
相場としては、仲介で売ったときの7割程度になると考えておきましょう。
不動産を市場に出さない分価格競争が起こらないこと、買い取った不動産を有効活用するためにも維持費を始めとした費用がかかることなどが主な要因です。
買取によって仲介よりも不動産が高く売れることはないので、買取は売却価格が下がっても良いと納得できる状況で利用しましょう。
買取保証が役立つケース
●相続した不動産を売る場合
買取保証を付けた不動産売却をおすすめするのは、相続した不動産を売却する場合です。
たとえば、現金が1,000万円、不動産が3,000万円の価値を持っており、相続人が3人いると財産を公平に相続できません。
この状況を解決するために不動産を現金化したいといったケースでは、不動産の売却が必要になります。
仲介だと相続税の納税期間内に売却できない可能性があるため、買取保証を利用すると便利です。
●離婚を機に持ち家の売却を進める場合
離婚をする際に財産整理として持ち家の売却する場合も、買取保証の利用をおすすめします。
円満離婚ならともかく、調停などを行っている場合、不動産売却が長引くと話し合いが終わりません。
売却に時間がかかればかかるほど、連絡を取り合う必要が出てくるため、それ以上の揉めごとを避けるという意味でも買取保証は有用です。
まとめ
不動産を売却する際、買取保証というサービスの利用をおすすめされる場合があります。
ただし、買取保証が役立つのは基本的に売却期限が決まっているケースです。
不動産売却の結果を良くしたいなら、多くの場合買取より仲介で売った方が良いので、買取保証の有無よりも対応や説明が丁寧で実績の豊富な不動産業者探しに力を入れましょう。