取り扱いに要注意!不動産売却における心理的瑕疵と告知義務
2021.12.29
中古不動産市場において、売り主を悩ませる問題の一つが心理的瑕疵物件です。
心理的瑕疵とは、いわゆる事故物件を始めとした問題のある物件のこと。
好き好んで購入したり借りたりする人が少ないため、心理的瑕疵物件は状態がきれいで築年数が新しくても中々買い手が見つからないというデメリットを背負っています。
ただ、そうはいっても住む予定のない不動産を持ち続けるのはお金の無駄です。
ここでは、不動産売却における心理的瑕疵の基本的な解説や、心理的瑕疵物件を売却する際の注意点・ポイントをお伝えします。
心理的瑕疵について解説
心理的瑕疵とは、住宅そのものに損傷や問題はないものの、心理的な事情から欲しがる人が減ってしまうような事情のことです。
具体的には、以下のような要素を持っている物件のことを心理的瑕疵物件とよびます。
- 自殺や殺人事件などの現場になった
- 近所に墓地がある
- 反社会的組織の事務所が近い
- 我慢できないほどの騒音・悪臭などの問題がある
いわゆる事故物件マニアのような方でもない限り、上記のような家を購入して住みたいと考えるケースは稀でしょう。
住まいとしての機能は健全でも、心理的に住みづらさを感じてしまう物件は不動産売却において人気がないため、心理的瑕疵物件は売却の難易度が高いです。
また、シロアリ被害や雨漏りといった物理的瑕疵と違って、心理的瑕疵は一目見てもわかりません。
そのため、心理的瑕疵物件を売るときは、瑕疵の内容を告知するよう仲介業者に求めるガイドラインが定められています。
なお、所有物件で人が亡くなってしまったとしても、事故死や病死であれば事故物件にはなりません。
事件性があったり、高齢者の孤独死で死後数ヵ月経過しており、悪臭などが染み付いていたりする場合は心理的瑕疵になるので、ある程度、個別具体的な判断が必要になります。
心理的瑕疵物件には告知義務がある
心理的瑕疵物件を売却する際、売り主として覚えておいて欲しいのが、「どのような心理的瑕疵があるのか」を売却時に告知する義務があることです。
実は、不動産売却において売り主・買い主間の取引を公平に行うため、売り主や仲介する不動産業者には物件の瑕疵(問題点・欠点)について買い主に伝えることが義務付けられています。
告知義務自体は法律で何をどこからどこまで伝えるか厳密に規定されているわけではありませんが、心理的瑕疵があることを隠して不動産を売却した場合、取引後買い主から損害賠償請求や売買契約自体の撤回を求められる可能性があるため、注意が必要です。
また、民法の改正によって、「不動産の売却時に書面で通知した内容と物件の現況に違いがある場合、買い主は損害賠償等を請求できる」というルールが追加されています。
「黙っていればバレないだろう」という対応はやめておきましょう。
ネット社会の現代では、たとえ一時的に心理的瑕疵があることを伏せて売れたとしても、ネット検索や噂話などで心理的瑕疵の内容がばれてしまいます。
心理的瑕疵があることを黙って数百万円高く売るよりも、後で心理的瑕疵を隠していたことがわかって数百万円以上の損害賠償請求をされる方が損です。
心理的瑕疵物件の売却時はどのような事態があったのか誠実に説明しましょう。
心理的瑕疵物件を売却する際の注意点
心理的瑕疵物件を売却する場合、注意しておきたいのが「告知義務に時効はない」ことです。
心理的瑕疵の告知義務は法律で規定されているわけではないため、「事件・事故から○年経過したら告知しなくても良い」というルールもありません。
事件の重大性や近隣住民の記憶によっては10年以上前の問題でも心理的瑕疵になり得るため、心理的瑕疵物件を持っている場合はできるだけ当時の状況や原状回復の様子が客観的にわかる情報を揃えておきましょう。
あいまいな証言や噂話ではなく、事実に基づいたデータと対応を見せられるようにしておけば、必要以上の風評被害による値下げなどを避けられます。
心理的瑕疵のある不動産はどうやって売れば良い?
心理的瑕疵のある物件は、告知義務があるため取り扱いが難しいです。
そのため、基本的に不動産の仲介業者経由で売却活動を進めましょう。
仲介業者を利用すれば、物件の査定や売り込みもしてもらえますし、心理的瑕疵による価格減少の影響度などもわかります。
また、場合によっては不動産業者の買取サービスを利用するのもおすすめです。
いずれにせよ、心理的瑕疵がある以上瑕疵のない物件と同じように売却するのは困難なので、プロの手を借りることをおすすめします。
まとめ
また、場合によっては不動産業者の買取サービスを利用するのもおすすめです。
いずれにせよ、心理的瑕疵がある以上瑕疵のない物件と同じように売却するのは困難なので、プロの手を借りることをおすすめします。
心理的瑕疵を隠して売ると損害賠償請求などの対象になってしまうなど注意点も多いので、心理的瑕疵物件は経験豊富な不動産業者に仲介してもらって手放しましょう。