そのまま売るのは損!?無道路地売却時の注意点を解説
2022.02.18
日本の法律には、無道路地には建物を新築したり建て替えたりできないというルールがあります。
そのため、無道路地は売却価格が安く、市場でも人気がありません。
ただし、売却の難易度が高い無道路地であっても、知識があれば、より良い条件での売却も可能です。
この記事では、扱いの難しい無道路地を売却する際の注意点や、道路に接していない土地・建物を売るときのポイントをお伝えします。
無道路地とは
●公道に接していない土地のこと
無道路地とは、四方すべてを他人の土地などに囲まれており、一切、公道に接していない土地のことです。道路には、私有地内に敷設された私道というものもありますが、土地のどこかが他人の私道に接しており、私道を通れば公道に出られるという場合も無道路地という扱いになります。無道路地は、自らの土地に立ち入る際、必ず他人の土地を横切る必要があるため、不動産市場では人気がありません。
●無道路地の売却が難しい理由
不動産市場において無道路地の取引価格が安く、売りづらいとされている理由は、無道路地に新しく建物を建てたり、既存の建物を取り壊して建て替えたりできないからです。
日本では、建物を建てる際に自治体から建築許可を得る必要があります。
建築許可を得るためには、建築基準法を守った設計が必要不可欠です。
そして、建築基準法では、接道義務といって「幅4メートル以上の道路に2メートル以上接している」ことを義務付けています。
面倒だと感じるかもしれませんが、最低限の幅を持った公道と土地が接していないと救急車や消防車等を乗り入れられないため、防災上の観点からも接道義務は必須のルールなのです。
実際、無道路地は、買い主がお金を払って隣地の通行券を得たり、建て替えできなかったりと扱いが難しいため、不動産市場では相場の2割から3割ほど安い金額で取引されています。
道路に接していない土地や建物の売り方
●隣地や隣地の一部を買い取ってから売る
無道路地や無道路地の建物を売却する場合、最も理想的な対処法は隣地を買い取って接道義務をクリアしてしまうことです。
無道路地の問題は、名前の通り「道路と接していない」ことなので、隣地や隣地の一部を所有者から買い取って公道とつなげてしまえば、通常の土地または旗竿地として売却できます。
再建築不可の状態だと新築や建て替えを検討している層に不動産を売り込むのが難しいため、土地を売りやすくするためにもまずは隣地の買収を検討すると良いでしょう。
ただし、買収にはまとまった額のお金が必要です。
●隣地の所有者に売却する
隣地の所有者に売却するという手もあります。すでに公道と接している隣地の所有者にとって、無道路地は無理なく土地を広げられる手段です。二世帯住宅を建てたい、倉庫や趣味の作業スペースが欲しいなど、実は隣地の所有者も広い土地が欲しいと考えているケースが少なくありません。無道路地は一般的に需要が少ないので、いつ現れるかわからない第三者の買い主を探すよりも、身近な相手に売り込んだ方が売却期間を短縮できるでしょう。
無道路地売却の注意点
●売却価格が安い
無道路地は、需要が低いため売却価格も安いです。
不動産売却では、仲介業者へ支払う手数料や登記手続きの費用といった各種の支払いが必要となるため、無道路地を売却する場合は「いくらで売れば損をせずにすむか」を考えて売り出し価格や売却の方法を考えましょう。
ただし、不動産は持っているだけで毎年固定資産税がかかります。
長期的に考えると、使う予定がないなら無道路地を手放した方がお得なので、不動産業者の査定を受け、多少の値引き込みで売るのがおすすめです。
●更地にすると売却難易度が上がってしまう
無道路地を売る場合、注意して欲しいのが既存の建物を解体してしまうこと。
無道路地は再建築不可なので、今ある建物を壊してしまうと新しく家やビル等を建設できなくなってしまいます。
古屋であっても建物が残っていれば、リフォーム前提の物件として売却できるので、無道路地の価値が下がることを防ぐためにも安易な解体工事は避けましょう。
とはいえ、立地条件や予算によっては隣地を買い取って更地にした方が高く売れるというケースもあり得ます。
不動産ごとに適した売却プランは変わってくるため、無道路地を売るときは不動産業者に査定を頼み、売りたいと考えている不動産がどのような属性の商品なのかを判別しましょう。
まとめ
四方すべてを他人の土地に囲まれており、道路と接していない無道路地は、再建築不可という制限がかかっているため、そのまま売り出しても高く売れません。
そのため、無道路地を売る際は、隣地や隣地の一部を公道につながる通路として買い取ったり、隣地の所有者に商談を持ちかけたりと、工夫した上で売却する必要があります。
不動産売却は、扱いの難しい土地や建物ほど知識の有無で取れる対処も売却結果も変わるので、無道路地のような需要の少ない不動産を売るときは、その道のプロである不動産業者の意見を聞いてから売り方を考えましょう。