column 549.

持ち主がわからない!所有者不明土地の売却方法と注意点

2022.02.18

持ち主がわからない!所有者不明土地の売却方法と注意点

不動産売却において、「不動産を売却できるのは法律上の所有者だけ」です。
そのため、所有者がわからない土地は、自分が管理していたり相続で手に入れたりしていても売却できません。

ただし、使う予定のない土地であっても、持ち続けている以上は毎年固定資産税や都市計画税がかかります。
使わない所有者不明土地は、お金が出ていく一方の不動産。

今回は、所有者不明土地を売る方法と、所有者不明土地を手放す際の注意点を解説していきます。

所有者不明土地とは登記されていない土地のこと

●未登記のまま相続されている土地は少なくない

所有者不明土地とは、登記されていない土地のことです。
登記とは、法務局という国の組織で管理されている不動産の住民票のようなもので、法的には登記簿上に登録されている所有者が不動産の持ち主になります。
登記簿上に記載されている所有者のみが、不動産を自分のものとして使用したり、売却したりできるわけです。

しかし、不動産の中には登記されていない土地が少なくありません。
理由はいくつかありますが、最も大きなものは相続時に登記をするかどうかが任意であり、相続登記しなくても特に罰則がないから。
不動産の登記情報は、第三者による不動産の不正利用を防ぐため、権利者が更新しない限り内容が変わったり削除されたりしないというルールになっています。
2024年の4月1日からは相続登記が義務化されますが、それまでは相続後に登記をしなくてもペナルティーはありません。
また、相続登記の手続きにもお金が必要です。その結果、「郊外の僻地で売れそうにもない」「役所の手続きは良くわからない」といった理由から登記せずに不動産を相続し、手に入れた土地を子に相続させるという流れが繰り返され、所有者不明土地が生まれています。

●共有名義の持ち主やその相続人が見つからないケースも

適切に登記されていない土地だけでなく、「所有者や所有者の一部と連絡が取れない」ものも所有者不明土地の一種です。
たとえば、祖母の不動産が父親と伯母へ2分の1ずつの共有名義で相続され、父親の持ち分を自身が相続したものの、伯母が音信不通になってしまっているケースなどが当てはまります。
古い不動産だと、伯母から更に別の人間へ相続されていたり、引っ越し後の連絡先を誰も知らなかったり、子どものいない共有名義人が亡くなっていて持ち分が相続されていなかったりと、権利関係が複雑になっていることも少なくありません。

所有者不明土地の売却方法

●所有者不明土地の売却方法

所有者不明土地の売却が困難なのは、現在の持ち主が登記簿上の所有者になっていないからです。
未登記の場合、自身を不動産の所有者として登記することで土地や建物を売却できるようになります。
手順としては、法務局で過去の登記情報がまとめられた「登記事項証明書」を取り寄せ、どこまで登記されていたのかを突き止めるところから始めましょう。
権利者がわかれば本人に、権利者がわからない場合は住民票などを辿って家系図を作り、相続の流れと現在の権利者を調べて連絡を取ります。
相続人全員の署名押印付き同意書を用意すれば、何代にも渡って登記されていなかった不動産を、自分のものとして相続登記して売却するという流れです。

●共有名義人が見つからない場合は不在者財産管理人を選ぶ

「共有名義で一部の名義人と連絡が取れない」場合の対策は、「不在者財産管理人」を立てること。
不在者財産管理人とは、所有者不明土地等の管理ができる役割のことで、相続人が家庭裁判所に申し立てをすると選任してもらえます。

ただし、不在者財産管理人の候補は提出できますが、確実に自分が選ばれるという保証はないので注意しましょう。
お金を出し、弁護士や司法書士といったプロを候補に挙げるという手もあります。
不在者財産管理人には、定期的な裁判所への報告義務等もあるからです。

なお、増え続けている所有者不明土地の問題を解決するため、「共有者がわからなくても、確定している権利者が手続きすれば共有名義を解除したり、不動産を売却したりできる」という内容の法改正も検討されています。

所有者不明土地を扱う際の注意点

所有者不明土地は、登記されていないだけあって適切に管理されていないケースが多いです。
雑草や害虫などで周辺に迷惑をかけていることも多く、その場合は売却前に雑草の処理等をしたり、隣地の所有者と交渉して境界線を確定させたりする必要があります。
権利関係があいまいだとトラブルになりやすいので、所有者不明土地を扱う場合は不動産業者や弁護士といったその道のプロの力を借りましょう。

まとめ

持ち主がわからない土地は、基本的にそのまま売却できません。
だからこそ、住民票を追跡したり共有名義人の同意を得たりしてから売却活動を始める必要があります。

ただし、現在の権利者を突き止めるための労力は、不動産によってまちまちです。
個人で複雑な権利関係を解決するのは難しいので、所有者不明土地の売却は不動産業者や弁護士と相談しながら進めていきましょう。

 

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