控除が減る!?自宅の住み替え前に知っておきたい住宅ローン控除の話
2022.03.08
住宅ローンで家を買うと、最大10年(利用時期によっては13年)所得税と住民税が戻ってくる「住宅ローン控除」という制度を利用できます。
しかし、2022年から控除率の引き下げを含めたさまざまな変更が行われるため、これからマイホームを買おう、建てようと考えている方は制度変更の内容を押さえておきましょう。
この記事では、自宅を住み替える前に知っておきたい、2022年住宅ローン控除の変更内容を解説していきます。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除、または住宅ローン減税とは、「最大10~13年の間、ローン残高の1%が所得税と住民税から還付される制度」のことです。
簡単にいうと、完済まで10年以上かかるローンを組んで家を買った場合、毎年数万円から数十万円、源泉徴収で納めたその年の所得税と住民税が戻ってきます。
実際の還付金額は組んだ住宅ローンの大きさなどによって変わってきますが、月々数万円使えるお金が増えることによる家計の影響は大きいので、ローンを組むなら住宅ローン控除も利用しましょう。
2022年から!住宅ローン控除の改正内容まとめ
●住宅ローンの控除率が1%から0.7%に
住宅ローンの控除率は、2021年まで「住宅ローン残債の1%」で継続していました。
しかし、長期間不況が続きあらゆるローンの金利が下がりに下がっている現代日本では、金利が1%を下回る住宅ローンも珍しくはありません。
たとえば、金利0.9%のローンを利用してローン残債1%分の還付を受けた場合、支払う金利よりも戻ってくる還付金の方が大きくなってしまうのです。
住宅ローン控除は、あくまでも家を買った後の負担を減らすことによって、より多くの人がマイホームを手に入れられるように作られたもの。
手厚すぎるサポートで金銭的に得をする人が出てくるのは本末転倒です。
そのため、2022年からは住宅ローンの控除率が0.7%へ下げられることになりました。
●住宅ローン控除の利用期間が最大13年に延長
住宅ローン控除の対象期間は本来最大10年間ですが、2022年からは控除の期間が13年に延長されます。
ただし、購入する不動産の種類や購入のタイミングによって控除期間が異なるため、注意が必要です。
具体的には、分譲住宅や注文住宅といった新築住宅と、不動産業者が直接買い取って再販している中古住宅、その他一定以上の住宅性能を持つ認定住宅等に関しては、最大13年間住宅ローン控除を受けられます。
一方、一般消費者が売り出している中古住宅、つまり売り主が不動産業者ではなく一般人の中古住宅に関しては、控除期間が10年です。
2022年以降、中古住宅は「誰が売り主なのか」によって住宅ローン控除の適用期間が変わってくるので、売り主の属性も考慮してマイホームを探す必要が出てくるでしょう。
ただし、2024年以降は新築・中古を問わず、13年の控除を受けられる住宅が「一定以上の省エネ性能を持つもの」に制限されます。
新築であっても中古であっても、省エネ性能の低い不動産の控除期間は10年になるため、認定住宅等の購入を考えていない場合は2024年までに新居の購入を済ませると良いでしょう。
●最大控除額や利用条件等も変更
2022年からの住宅ローン控除制度は、住宅性能によって最大控除額が変動します。
基本的に、高性能で省エネ性の高い住宅であればあるほど控除額も大きいです。
また、既存のルールだと、中古住宅が住宅ローン控除を受ける場合、築年数や耐震性の証明も必要でした。この点に関しては、「1982年以降に建てられた物件ならOK」という条件に緩和されています。
住宅ローン減税の受け方
いわゆるサラリーマンの場合、初年度に「確定申告」という手続きが必要です。
住宅ローン残高の証明書や源泉徴収票といった必要書類を揃え、家を買った年の収入・経費・控除等を記入して2月16日から3月15日までの申告期間中に税務署へ提出すると、住宅ローン減税が適用されて後日所得税や住民税が戻ってきます。
初年度以降は、会社が年末調整をしてくれるので、必要書類を会社に提出するだけです。なお、自営業者等の場合は毎年自分で確定申告をする必要があります。
住宅ローン減税を受ける際の注意点
2022年以降は住宅ローン減税の控除率が下がるため、ローンの返済負担も増える可能性が高いです。
少しでも返済負担を抑えるためには、より低金利のローンを選ぶ必要が出てきますし、低金利で条件の良いローンは審査が厳しいため、借り入れ上限額に近いローンの申請は避けましょう。
日々の出費や今後の収入を細かく計算し、これまで以上に余裕を持った返済プランを立てる必要があります。
まとめ
2022年からは住宅ローン控除の控除率が下がる一方、控除の利用期間が延びたり中古住宅の利用要件が緩和されたりと、制度の中身が大きく変わります。
特に、控除率0.7%への引き下げは影響が大きく、これまでのようにローン金利との差額で得をするのは難しくなっているので、2022年以降はより慎重に住宅ローンの借入額や金利を見定めましょう。