知らないと損をするかも!不動産売却に関する税金の話
2024.08.26
不動産売却では、物件や土地を3,000万円で売却したとしても、3,000万円を全額使えるわけではありません。
なぜなら、不動産を売ると手数料や税金がかかるからです。
不動産の売却後、納税の義務のある方が税金を納めないと、延滞税等のペナルティーを受けることになってしまうため、不動産を売るなら税の話も押さえておきましょう。
本記事では、不動産売却時に発生する税金や、納税負担を抑える節税制度について解説します。
不動産を売るとかかる税金の種類
不動産の売却時にかかる税金は、以下の通りです。
- 譲渡所得税:譲渡所得の20%または30%
- 住民税:譲渡所得の5%または9%
- 復興特別所得税:譲渡所得額の2.1%
- 印紙税:売却価格1,000~5,000万円の場合1万円(軽減措置を適用)
- 登録免許税(抵当権抹消登記):土地・建物ひとつ当たり1,000円
譲渡所得税は、不動産を売って得た利益に対して課税されるもの。
売却金額から経費等を差し引いた「譲渡所得」が増えると、年間の総所得も増えるため、売却結果が黒字なら翌年の住民税も高くなります。
また、復興特別所得税の上乗せも必要です。
印紙税は、売買契約書に添付する収入印紙の代金で、不動産の売却価格によって必要額が変わります。
そして、登録免許税は、住宅ローン返済中の家を売却する際、抵当権(ローンを滞納したときに金融機関が家を差し押さえる権利)を解除するためにかかる税金です。
買った時よりも家を高く売り、節税をしなかった場合、予想以上の税金が発生してしまうため、不動産を売るなら節税方法も押さえておきましょう。
税金を安くできる特例制度を知っておこう
●3,000万円の特別控除
自分たちが住んでいる家を売った場合、不動産の売却価格から経費を差し引いた額、譲渡所得から、更に3,000万円控除できるという制度です。
単純に、不動産売却で利益が出ていても、利益の金額が3,000万円以下であれば、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税をゼロにできます。
過去に同じ制度を利用していないこと、投資用の物件等ではないことなど、いくつかの利用条件はありますが、マイホームの売却であれば大抵の方が利用可能な制度です。
●所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
譲渡所得税と譲渡所得に対する住民税の税率は、不動産を売るまで何年持っていたかで変わります。
所有期間が5年以下であれば、譲渡所得税30%・住民税9%ですが、5年超所有していれば譲渡所得税15%・住民税5%と低い税率を適用できるのです。
さらに、不動産の所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得税が10%、住民税を4%に軽減してもらえます。
10年超の軽減が適用されるのは、譲渡所得6,000万円以下という制限はあるものの、大幅な節税が可能です。
●買い換え特例
買い換え特例は、本来なら古い住まいの売却時に納税すべき税金を、「買い換えた家を将来売るとき」に繰り延べできる制度のこと。
税金が安くなったり、ゼロになったりするわけではないものの、新居を買って何かと出費が増える時期に、譲渡所得税や住民税の納税をしなくて良くなるため、家計の負担が楽になります。
ただし、買い換え特例を利用すると、3,000万円の特別控除は受けられません。
●譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、不動産売却をした結果、利益が出るどころか損をしてしまったときに、損失分を本業の所得税や住民税と相殺できる制度です。
本来、不動産売却で損をしても、サラリーマンや自営業者の給与所得・事業所得からは損失分を控除できません。
しかし、5年超所有しているマイホームの売却または買い換えなど、いくつかの条件を満たしている場合、最大3年間、不動産売却の赤字を他の所得の控除として使えます。
簡単にいうと、最大3年間、納めた所得税や住民税の一部が手元に戻ってくるのです。
不動産売却後の税に関する注意点
不動産売却後の税に関する注意点は、確定申告をする必要があること。
確定申告とは、年間の収入・経費・控除等を自分で計算し、翌年の2月半ばから3月にかけての1ヵ月間で税務署に報告し、納税する手続きです。
不動産の売却後、譲渡所得がゼロまたはマイナスで、税金が発生しない場合は無申告でも問題ありませんが、譲渡所得税や住民税が発生する場合、確定申告をしないと所得隠し・脱税になってしまいます。
無申告に対するペナルティーは重いです。
申告しないと多額の税金を納めることになりますし、今回ご紹介した税の特例も、確定申告をすることが利用条件になっているため、不動産を売ったら、利益が出ていても損をしていても確定申告を行いましょう。
まとめ
不動産売却では、譲渡所得税や住民税、印紙税といった税を納める必要があります。
不動産売却の利益に対して課税される譲渡所得税や住民税は、税率が高く負担が重いので、売却結果が黒字になる場合、税の特例を使って節税するのがおすすめです。
ただし、税の特例を利用するためには、確定申告が必要不可欠。
納税額の計算や特例の申請を忘れずに行い、不動産売却後の税負担を減らしましょう。