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財形住宅融資とは?メリットやデメリットを分かりやすく解説

2022.02.08

財形住宅融資とは?メリットやデメリットを分かりやすく解説

職場で財形貯蓄を行っている場合、フラット35なども取り扱う住宅金融支援機構の財形利用者向け住宅ローンである「財形住宅融資」を利用できます。

ただし、財形住宅融資は定期的に金利の見直しが行われたり、借りられる金額に上限があったりとデメリットも備えているため、メリットやデメリットを分かった上で利用することが大切です。

この記事では、財形住宅融資の簡単な概要や利用条件に加えて、一般的な住宅ローンと比べた場合のメリット・デメリットを解説していきます。

財形住宅融資とは?

財形住宅融資とは、住宅金融支援機構によって提供されている財形利用者向け住宅ローンのことです。
福利厚生の一環として、毎月給与から天引きされたお金を貯蓄していく「財形貯蓄」という企業向け制度の利用者だけが融資を受けられます。
勤めている企業に財形貯蓄制度があり、さらに一定の条件を満たした方でないと利用できないなど、民間金融機関のローンとは借りられる金額や金利など様々な点で違いを持っているのが財形住宅融資の特徴です。

財形住宅融資の申し込み条件

財形住宅融資を利用するための条件は、多数設定されています。
最低限、以下の条件をクリアしていないと申し込んでも審査に通らないため、必ず自身が要件を満たしているか確認してから利用を検討しましょう。

  • マイホームの購入またはリフォーム目的の利用であり、完済まで買った家に住むこと
  • 以下3つの条件すべてを満たしていること
    ①3種類ある財形貯蓄の内少なくとも1種類を1年以上続けている
    ②過去2年以内に財形貯蓄に入金している
    ③申し込みをした段階で財形貯蓄の残高が最低50万円以上ある
  • 財形貯蓄とは別に職場から住宅資金の援助や負担軽減を受けられる
  • 年収400万円未満は返済負担率30%以下、年収400万円以上なら返済負担率が35%以下である

なお、財形貯蓄3種の内、2種以上を利用している場合、②か③どちらかを満たしていれば問題ありません。
また、返済負担率とは、年収の何%をローン返済に回しているのかを示した数値のことです。
住宅ローンだけでなく、カーローンなども含むため、全ローン返済の比率を一定以下に抑える必要があります。

そのほか、完済するまでの火災保険加入や抵当権の設定なども不可欠です。
年度によって細部が変わる場合もあるため、財形貯蓄融資を利用する場合は住宅金融支援機構のホームページを確認しましょう。

財形住宅融資の利用に必要な住宅や土地の条件

●マイホームを新築する場合

マイホームを新築する場合、新居の広さは70平方メートル以上280平方メートル以下のサイズにする必要があります。
また、融資を受けられるのは、フラット35で求められる基礎性能を満たす設計にする場合だけです。
一定以上の広さ・耐震性・耐火性などを有する物件でないと住宅金融支援機構の審査に落ちてしまうため、家を新築する場合はフラット35に対応しているハウスメーカーを選ぶと良いでしょう。

また、融資の申し込みをする2年前の4月1日以前に手に入れた土地を使う場合、土地の取得費も込みで財形住宅融資を利用できます。

●新築住宅を購入する場合

分譲住宅や分譲マンションなど、新築の住まいを買う場合の融資条件は、以下の通りです。

  • 融資の申し込み日から2年以内に建てられた物件であること
  • マンションやアパートの場合は広さが40平方メートル以上280平方メートル以下、一戸建ての場合は70平方メートル以上280平方メートル以下
  • フラット35と同等の住宅性能を持つこと
  • 自己所有または借地権の土地に建った家であること(親名義の土地を無料で借りて建てたなどはNG)

●中古の住まいを買う場合

中古住宅の購入時に財形住宅融資を利用するためには、以下のような条件をクリアする必要があります。

  • 第三者機関による住宅性能審査などの証明書がある
  • 二世帯以上の間取りである場合住まいが事業用の店舗として使われていない
  • 築2年以上であり過去に人が住んでいること(新築物件を中古として扱ってはならない)
  • 自己所有または借地権の土地に建った家であること

家を新築する場合も中古で買う場合も、基本的には「一定以上の安全性や住宅性能」を持っていることが条件です。
格安で狭く家として使えないような家を建て、融資を受けるといった方法が取れないように、住宅や土地に対する融資は厳しく制限されています。

財形住宅融資の申し込み方法

●申し込み方法

財形住宅融資の融資元は、住宅金融支援機構という団体です。
そのため、融資を受ける場合は住宅金融支援機構に必要書類を提出し、審査を受けることになります。

ただし、お金のやり取りは機構と提携している金融機関経由で行うため、財形住宅融資の申し込みは近所にある金融機関経由で申し込むと良いでしょう。
金融機関の窓口を経由することで、提出書類のミスなども防げます。

●必要書類

財形住宅融資の申し込み時に提出する書類を見てみましょう。

  • 財形住宅資金借入申込書
  • 負担軽減措置等の証明書(職場の不動産購入補助を説明する書類)
  • 財形貯蓄残高計算依頼書
  • 財形住宅融資の融資金利に関する確認書
  • 封筒(別途84円切手の貼付が必要)
  • 住宅金融支援機構 財形住宅融資商品概要説明書
  • お金をやり取りする金融機関の希望届

上記の書類に関しては、財形住宅融資のコールセンターに問い合わせをすると送ってもらえます。
そのほか、本人確認書類や不動産を新築する際に作成する工事請負契約書といった書類も必要です。
提出書類を揃えて郵送で窓口へ送付すると審査が行われ、後日同封した封筒を使って結果が郵送されてきます。

一般的な住宅ローンと財形住宅融資の違い

●財形住宅融資は加入者が制限される代わりに金利が安い

財形住宅融資の金利はその時々によって変わりますが、比較的低金利です。
たとえば、2021年10月1日時点の金利は、新機構団信に加入する場合年利1.21%、団信に3大疾病補償を付けた場合は年利1.45%となっています。
一方、長期間固定金利で有名なフラット35の金利は、利用者の9割以上が年利1.59%です。

「財形貯蓄制度を採用している企業で働いている」「一定年数・金額以上の財形貯蓄を利用している」という条件がある分、民間の住宅ローンに比べて金利が優遇されています。

●5年ごとに金利の見直しが入る

ただし、財形住宅融資は全期間固定金利ではなく、5年に一回金利の見直しが行われるため注意が必要です。
金利の見直し幅には制限がないので、景気が上向いていれば金利が大幅に上がってしまう可能性もあります。
残念なことに、景気と収入の増減にはタイムラグがあります。
時期によっては返済負担が増えてしまうことも考えておきましょう。

●ローンの事務手数料や保証料が無料

財形住宅融資は、利用時にローンの事務手数料や保証料が無料です。
一般的な住宅ローンだと、これらの手数料や保証料だけで数十万円の出費を求められます。
ローンの契約時に数十万円のお金を節約できるのは大きなメリットといって良いでしょう。
また、財形住宅融資は財形貯蓄制度の利用実績に応じて融資額が決まるため、連帯保証人を探す必要がないのもポイントです。

●融資可能額に上限がある

財形住宅融資には借りられる金額に上限があります。

具体的な基準は、

  • 財形貯蓄×10倍(最大4,000万円まで)
  • 不動産や土地価格の9割

の内どちらか低い方です。
たとえば、財形貯蓄が300万円あるときに2,500万円のマンションを購入する場合、

  • 300万円×10=3,000万円
  • 2,500万円×0.9=2,250万円

なので、金額の低い2,250万円の融資を受けられます。
不動産や土地価格の9割というルールがある以上、フルローンを組めない点には注意が必要です。

財形住宅融資のメリットとデメリット

●民間ローンよりも手続きや金利が優遇されている

財形住宅融資のメリットは、何といっても融資の内容や手続きが民間の住宅ローンよりも優遇されていること。
フラット35と比較しても低い金利なので返済負担も軽いですし、ローンの保証料も不要です。
連帯保証人の用意も必要ありませんし、財形住宅融資の場合は収入の安定性もある程度、担保されているため、財形貯蓄を長く続けていれば年収が低くても高額ローンを組みやすいという利点もあります。

●利用条件が厳しい

財形貯蓄のデメリットは、誰でも利用できるわけではないということです。
そもそも、勤めている職場で財形貯蓄制度が活用されており、最低1年以上は財形貯蓄を続けている必要がありますし、融資の最大額も4,000万円に制限されています。
返済負担比率の基準を始め、住宅の広さや住宅性能の要件クリアも必須です。
5年ごとに金利の見直しが発生することを考えると、長い目で見たとき全期間固定金利のローンよりも返済負担が大きくなってしまう場合もあるので、利用する場合はどのローンが自分たちに合っているのか慎重に考えましょう。

条件が合えば金利割引の特例を受けられる

  • 社員数300名以下の中小企業で財形貯蓄を利用している
  • 18歳未満のお子さんを育てている

場合、通常の財形住宅融資よりも金利が0.2%安くなります。
ただし、0.2%金利が優遇されるのは、最初の金利見直しが行われるまでの5年間限定です。
とはいえ、5年間金利0.2%割引の効果は決して無視できるものではありません。
たとえば、財形住宅融資で2,500万円を年利1.21%で借りた場合、月々の返済金額は7万4,000円です。
しかし、金利が0.2%下がれば毎月の支払い額が7万1,000円まで下がります。条件に当てはまる場合は、積極的に利用しましょう。

まとめ

働いている会社で財形貯蓄をしている場合、低金利・保証料や連帯保証人不要の住宅ローンである財形住宅融資を利用できます。
融資額が最大4,000万円と制限されており、財形貯蓄をしている企業の勤め人以外は利用できないといったデメリットはありますが、中小企業や子育て世帯なら5年間金利の優遇を受けられるなどメリットも大きいローンです。
勤続年数によって借りられる額も変わるため、今後も同じ企業で働くつもりがあるのかなども考えた上で利用するかどうかを考えましょう。

 

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