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【2022年度】住宅ローン控除はどこが変わった?変更点や変更後の控除額を分かりやすく解説

2022.07.14

【2022年度】住宅ローン控除はどこが変わった?変更点や変更後の控除額を分かりやすく解説

2022年から、マイホームの購入者を手助けしてきた強力な節税制度、住宅ローン控除の中身が変更されることになりました。
制度の改正に伴って、控除率が下がったり中古住宅購入時の制度適用条件が変わったりしているため、以前家を買ったことがある方も、初めて家を買う方も、改めて住宅ローン控除の変更点を押さえておきましょう。

今回は、住宅ローン控除の主な改正内容について解説していきます。

従来の住宅ローン減税(控除)の内容

変更前の住宅ローン減税の内容を簡単にまとめると、以下の通りです。

  • 最大10年間ローン残高の1%を所得税・住民税から控除できる
  • 年間の控除額は最大40万円(10年間で400万円)
  • 控除額の上限があるため節税効果を得られるのは借入額4,000万円まで
  • 主に新築住宅向けの制度(中古住宅購入時も利用可能だが耐震性能等の証明が必要)

住宅ローン減税は、もともとは消費税の増税によって増えた消費者側の負担をカバーするために作られています。
ただ、長引く不況の影響で金融機関の金利が下がった結果、控除率の1%よりも住宅ローン金利の方が小さくなり、住宅ローン減税を利用すると控除率と金利の差で得をする方が出てしまう、逆ザヤ状態が続いていました。
家計の負担を抑えるどころか、家を買った人だけが得をするような制度が問題視された結果、2022年から控除内容の大幅な見直しが行われることになったのです。

2022年度の住宅ローン控除改正で変わること

●住宅ローン控除改正の主な変更点

住宅ローン控除の改正に伴って、どのような点が変わるのかを簡単にまとめた表を見てみましょう。

変わること 変更前 変更後
控除率 1% 0.7%
控除期間 10年 13年(中古住宅は10年)
住宅分類の細分化 新築・認定住宅・中古 認定住宅・ZEH・省エネ基準適合・その他一般住宅(中古含む)
借り入れ上限 4,000万円(認定住宅は5,000万円) 3,000万円(認定住宅は5,000万円)
最大控除額 400万円 273万円~455万円

変更内容を網羅しているわけではありませんが、今回の制度改正によって大きく変わるのは主に上記の項目です。
変更点だけを見ても中身が分かりづらいため、各項目について軽く触れていきます。

●住宅ローン減税の控除率が1%から0.7%に引き下げ

2022年の住宅ローン減税制度改正において、最も大きな変更内容が控除率の引き下げです。
2022年以降にローンを組んで家を買った場合、所得税と住民税から控除できるのは住宅ローン残高の0.7%までと0.3%引き下げられることになりました。
住宅ローン減税で戻ってくるお金を家計に組み込んでいる場合、住宅購入時の資金計画を調整する必要があります。

●控除期間は原則10年から13年へ延長(中古住宅は10年)

2021年までの住宅ローン減税は、原則として最大10年の控除を受けられるという制度です。
消費税が8%から10%に増税されたことで、消費税率10%で購入した住まいは控除期間を13年に延長するという措置も取られていましたが、今回の改正で正式に控除期間が13年に延長されました。
以前から住宅ローン減税を知っている方だと真新しさを感じないかもしれませんが、利用者側としては助かる変更点といって良いでしょう。

●借り入れ上限額の要件が細分化される

従来の住宅ローン減税では、制度の利用対象は「新築住宅」「中古住宅」「認定住宅」の主に3種類でした。
認定住宅とは、政府等の設定した認定基準をクリアした住宅、省エネ性能や住宅性能の高い住まいのことです。今回の改正によって、認定住宅の要件が拡張されています。

具体的には、

  • 認定住宅
  • ZEH水準省エネ住宅
  • 省エネ基準適合住宅

が追加されたかたちです。
政府は、国の目標としてCO2排出量の削減を掲げています。
しかし、従来の家を建てて古くなったら建て替えるという建築方針だと、資源やエネルギーを消耗してしまいますし、人口減少や長期の不況を考えると世代ごとに家を買い替えるのも現実的ではありません。
認定住宅の要件を拡張し、それまで住宅ローン減税の優遇を受けられなかった高性能住宅も減税の恩恵を受けられるようにすることで、省エネ性の高い住宅を国内に増やすのが改正の主な目的です。

●所得上限が3,000万円から2,000万円に減額

住宅ローン減税には、「一定以上の所得がある場合住宅ローン減税を利用できない」という制限があります。
2021年まで所得上限は合計3,000万円以下でしたが、2022年以降は合計2,000万円以下に上限の引き下げが行われるため、注意しておきましょう。
所得の多い方にとっては制度の改悪ですが、所得上限を引き下げることによって、より多くの人に住宅ローン減税の予算を割けるようになっているとも考えられます。

新築・中古住宅・住宅の種類ごとの変化

●新築住宅

2022年の住宅ローン減税改正によって、大きな影響を受けるのが新築住宅です。
新基準では、新築住宅と買取再販(不動産業者が個人から買い取ってリフォームなどした物件)の控除期間や、減税対象になる住宅ローンの限度額が従来の基準よりも下がります。

2023年の年末までに新居へ入居する場合は新築・買取再販共に13年の控除を受けられますが、2024年以降は、新築住宅でも認定住宅等の高性能住宅でない限り最大10年の控除しか受けられません。
また、ローンの限度額に関しても、2023年末までの入居なら3,000万円ですが、2024年以降の入居だと2,000万円が限度です。

●中古住宅

従来の制度では、中古住宅を買って住宅ローン減税を受ける場合、築20年または築25年以上の物件なら、加入時に住宅性能の審査がある保険に加入した証明書や耐震基準適合証明書等の提出が必要でした。
しかし、2022年以降は、「1982年以降に建てられた住まいなら住宅ローン減税を申請できる」という要件に変更されています。
お金をかけて審査などをする必要がなくなったので、中古住宅購入者も住宅ローン減税を利用しやすくなりました。

最大控除額はどれくらい変わるのか?

最大控除額に関しては、以下のように変わります。

住まいの分類 2021年まで 2023年まで 2025年まで
新築 400万円(※最大480万円) 300万円 140万円
中古 200万円 140万円 140万円
認定住宅 500万円(※最大600万円) 455万円 410万円
ZEH 410万円 319万円
省エネ基準適合住宅 364万円 273万円

※消費税10%のときに家を購入し、控除期間を13年に延長する特例の適用時

基本的には減額される傾向です。
特に、新築や買取再販でも認定住宅等でない住まいは減税効果を受けづらくなるため、減税効果を重視するなら高性能・省エネな住宅を選ぶと良いでしょう。

人によっては従来の住宅ローン控除よりお得になる場合も

2022年以降の住宅ローン控除は、従来の制度よりも減税効果が全体的に下がります。
ただし、すべての方が損をするわけではありません。
たとえば、2021年までの制度では住宅ローン減税を受けられなかったZEHや省エネ基準適合住宅を購入する方も、2022年以降は減税を受けられるようになります。
また、従来の住宅ローン控除では、物件の床面積が50平方メートルを超えていることが利用条件の一つでした。
新しい住宅ローン控除では、年間所得1,000万円までという制限はあるものの、床面積40平方メートル~50平方メートルとやや小さめな物件も控除を受けられるようになっています。

まとめ

2022年以降、住宅ローン減税の改正によって控除率が下がる代わりに、控除期間は長くなりました。
全体的には減税効果が下がる傾向にあり、2024年・2025年にかけて段階的に控除の上限額等が下がってしまうので、家を買うなら2023年末までに手続きを進めるのがおすすめです。
省エネ性能の高い住宅や、中古物件も減税を受けやすくなっています。
マイホームに興味があるなら住宅ローン減税を最大限に活用し、住宅購入後の負担を抑えましょう。

 

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