column 185. 買う&売る

実家が空き家になったらどうすれば良い?誰も住まない空き家の対処法

2016.10.24

実家が空き家になったらどうすれば良い?誰も住まない空き家の対処法

少子高齢化と人口減少が進む日本では、空き家になった実家を相続したものの、実家に戻る予定がないので、どうしようか悩んでいるという方が多いです。

ただ、空き家の扱いに悩んでいても、空き家を放置するのはおすすめできません。
空き家を放置する時間が長ければ長いほど、物件の状態は悪くなり、資産価値も下がっていくからです。

今回は、実家が空き家になってしまう理由や背景、空き家を所有するメリット・デメリット、実家が空き家になったときの対処法などついて解説します。

実家が空き家になるきっかけ

実家が空き家になるきっかけは、親の相続や介護です。
たとえば、親が亡くなったり、介護施設へ入所したり、引き取り同居したりすると、実家で暮らす人間がいなくなるため、実家は空き家になってしまいます。

また、
・親が亡くなり心の整理がつかないため、実家をどうするかしばらく考えたい
・相続手続きや売却手続きが面倒くさい
・相続で揉め誰が家を管理するのか決まらない
・親が認知症で売却の同意を取るのが難しい
・介護施設から一時帰宅できるように、実家を残しておきたい
といった事情もあって、実家の売却や管理は後回しにされがちです。

空き家になる原因の多くは「相続」にある?

実家が空き家のまま放置されてしまう背景には、管理の手間や税金を考慮すると、相続した実家を放置するほうが楽だという事情もあります。
もともと実家に住んでいたり、実家を相続したら戻りたいと考えていたりする場合は別ですが、相続が発生する年齢だと、実家から離れた場所に住んでいるケースが少なくありません。
ある日突然実家を相続しても、すぐに住み替えるというのは難しいですし、実家の掃除をするために行き来するのも大変です。

しかし、実家を放置すれば、ひとまず物件の管理から目を背けて、普段通りの生活を送れます。
家が建っている限り、固定資産税が安くなる特例もあることから、「面倒だし、真面目に管理するより維持費だけ払って放置するほうが楽だな」と、空き家を放置する方が増えてしまったのです。

しかし、管理されていない空き家の増加は、治安の悪化や土地活用の阻害を招く、大きな社会問題となっています。
そのため、「空家対策特別措置法」という法律が作られ、長期間空き家を放置すると税制優遇が取り消されるようになり、2024年の法改正では不動産を相続したときの名義変更が義務付けられました。
空き家の放置が、許されない社会になってきているのです。

空き家は所有しているだけで税金がかかる

●不動産の所有者は「固定資産税」と「都市計画税」を負担する

空き家は、所有しているだけで固定資産税・都市計画税という税金がかかります。
固定資産税は、所有している不動産の資産価値(地方自治体が調べた土地や建物の価格)に応じて課税される税金。
都市計画税は、市街地や今後10年で市街化していくエリアに土地や建物を持っていると、課税される税金です。
どちらも、「1月1日時点の不動産所有者」に納税通知が届くため、相続した実家に住んでいなくても、毎年支払う必要があります。
固定資産税の税率は1.4%、都市計画税の税率は原則0.3%なので、仮に固定資産税評価額1,000万円の実家を持っていたら、毎年17万円の納税が必要です。

●空き家の税金を安くしてくれる「住宅用地の特例」とは

固定資産税や都市計画税に関する制度には、「固定資産税等の住宅用地の特例」という減税制度があります。
住宅用地の特例は、簡単にいうと、土地の固定資産税が最大で6分の1に、土地の都市計画税が最大で3分の1になるという制度です。

具体的な減税内容は、以下のようになっています。
・宅地の広さが200平方メートル以下:固定資産税評価額が6分の1、都市計画税が3分の1
・宅地の面積が200平方メートルを越える部分:固定資産税評価額が3分の1、都市計画税が3分の2

固定資産税も都市計画税も、課税額は「固定資産税評価額×税率」というシンプルな計算式で求めるため、固定資産税評価額が6分の1になれば、納税額も6分の1になるわけです。
住宅用地の特例は、「住宅が建っていること」が利用条件なので、空き家であっても土地の税金は大幅に安くなります。
ちなみに、住宅用地の特例は、あくまでも土地の減税制度なので、建物の固定資産税・都市計画税は安くなりません。

●空き家を解体すると税金が高くなってしまう

日本全国に空き家が増えてしまった要因の一つが、空き家を解体して更地にした場合、住宅用地の特例を利用できなくなり、税金が高くなってしまうことです。
不動産の解体にかかる費用の相場は、1坪あたり数万円。
一般的なサイズである建坪30~40坪程度の木造一戸建てだと、解体費用だけで100万円以上かかります。
高額な解体費用がかかる上に、実家を更地にすると固定資産税・都市計画税も高くなってしまうため、放置空き家はボロボロになっても解体されないのです。

減税の特例が適応されない「特定空き家」とは

●日本から放置された空き家を減らすためにできた制度

特定空き家とは、行政によって、周囲への危険性や悪影響を認定された住宅のことです。
本来、空き家は個人の財産なので、放置されて倒壊しかけていても、ゴミの不法投棄で悪臭や害虫等の発生源になっていても、行政や周辺住民は何もできません。

しかし、2015年の5月26日に施行された「空家対策特別措置法」によって、行政が危ない物件を「特定空き家」に指定できるようになりました。
特定空き家に指定されると、ゴミ掃除や解体といった適切な対処をするように、行政から所有者に対して指導・命令できるようになります。
行政の指導に従わなかった場合、最大50万円以下の罰金を科せられたり、強制的に家屋を解体され、その費用を請求されたり、問題のある物件の所在地や所有者の氏名を公表されたりするのです。
また、特定空き家に指定された翌年以降、固定資産税と都市計画税が安くなる「住宅用地の特例」を利用できません。

●2023年には「管理不全空き家」が追加された

特定空き家は、倒壊のリスクがあったり、周辺住民に迷惑をかけたりしている放置空き家を減らすための制度です。
しかし、特定空き家ができても、思ったほどの効果が出なかったので、2023年に「管理不全空き家」という区分も追加されました。
管理不全空き家は、「このまま放置していると、特定空き家になる空き家」という区分。
特定空き家と同様、管理不全空き家に指定された場合、固定資産税等の税制優遇が取り上げられます。
管理不全空き家の登場によって、完全に放置されている空き家だけでなく、管理されていない空き家も指導の対象になったのです。
空き家を放置すると、いずれ特定空き家や管理不全空き家の指定を受けるので、実家が空き家になったら、住まなくても管理する必要があります。

空き家のメリット・デメリットとは

●メリット①家族の思い出の場所を残しておける

空き家を持ち続けるメリットは、家族の思い出や故人の遺品などを残しておけることです。
定期的に掃除や換気をして維持しておけば、実家を故人の周忌や親戚の集まりなどの会場としても利用できます。
立地の良い場所なら、セカンドハウスや遊び・帰省の拠点として使っても良いでしょう。
家を維持している限り、急いで遺品の整理等をする必要がないので、心の整理が付くまで待てるという利点もあります。

●メリット②倉庫代わりに利用できる

実家を倉庫代わりに使えるのも、空き家を維持するメリットです。
もともと実家に置いてあった荷物や大型の家具、思い出の品々に趣味のアイテムなどを保管する場所として活用すれば、現在の住まいに十分な収納がなくても、荷物を処分する必要がありません。
予算に余裕があれば、空き家をリフォームし、荷物の保管用に大型の棚や収納スペースなどを作っても良いでしょう。

●メリット③リフォームすれば土地代なしで住み替えできる

空き家や土地を所有していると、将来、地元に戻りたくなった時にリフォームしたり住み替えたりすれば、いつでも住み替えできます。
基礎に問題がなければ、リフォームだけで内装や設備を新築同然にできますし、土地代を考えなくて良いので、建て替え費用を抑えられるのもポイントです。
土地・建物込みで3,000万円の物件を探すより、3,000万円で家屋を新築した方が、より高性能で豪華な住まいを実現できます。

●メリット④所有しておけば何らかの形で活用できる

空き家を所有しておくメリットの一つが、今使う予定がなくても、将来何らかのかたちで活用できることです。
家や土地を手元に残していけば、子どもが独立した後に実家をリフォームして移り住んだり、賃貸物件として他人に貸して家賃を取ったり、事業の拠点として使ったりできます。
基本的に、不動産は一度、売却すると買い戻せません。
ある程度、立地が良くて使いやすい、または人気エリアで数年後も売れる可能性が高い物件は、管理しつつ持っておくのも良いでしょう。

●デメリット①維持費がかかる上に管理も必要

空き家を所有する最大のデメリットは、維持費がかかる上に、管理も必要になることです。
物件の資産価値にもよりますが、空き家を持っていると、毎年10から20万円程度の税金がかかります。
火災保険を更新する場合は保険料も必要ですし、壊れた箇所の修理をするためには修繕費用も必須です。
実家と現在の住まいが離れていれば、定期的な掃除や換気のために実家へ通う手間や、交通費も無視できません。

●デメリット②周辺住民の迷惑になる可能性がある

空き家を持っていても管理できない場合に生じるデメリットが、周辺住民の迷惑になってしまうことです。
老朽化が進み、庭木が生い茂って敷地内が荒れていくと、景観が損なわれますし、防犯面でも悪影響を与えます。
ゴミを不法投棄されたり、不審者が勝手に住み着いたり、空き巣に入られたりするリスクがあるので、空き家は定期的な管理が必須なのです。

●デメリット③物件の資産価値が下がっていく

基本的に、建物は時間が経てば経つほど資産価値が下がっていきます。
丁寧にメンテナンスをしていても、実家は5年後には5年分、10年後には10年分価値が目減りするため、持っている期間が長いと売却そのものが困難になってしまうのです。
ただでさえ親が住んでいた実家は、ある程度、築年数が経過している場合が多いため、使う予定がなければ早目に手放しましょう。

●デメリット④特定空き家に指定されると罰金も発生する

実家を放置していると、いずれ特定空き家や管理不全空き家に指定され、税制優遇がなくなります。
もし、特定空き家になった後も行政の指導や命令に従わなければ、最大50万円の罰金です。
特定空き家所有者の氏名等が公開されることを考えると、特定空き家になった時点で近隣住民に白い目で見られている可能性が高いため、「将来地元に戻るとき、問題が起きてから建て替えれば良い」という考えはおすすめできません。

実家の「空き家」放置を解消するための活用事例

●中古物件として売る

実家を空き家にしない方法として、最もおすすめなのが、中古物件として売却することです。
ある程度、築年数の経過している実家も、「自由にリフォームでき、新築よりも安い物件」として売り出せば、十分な条件で売れる可能性があります。
実家を売れば、税金や維持費もかからなくなりますし、物件の定期的な管理も必要ありません。
まとまった資金も得られるので、実家を使う予定がなければ、不動産業者の査定を受けましょう。

●管理会社や知り合いに管理を頼む

ご自身で空き家を管理できない場合、物件の管理をしてくれる会社に点検を依頼したり、知り合いや親族などに頼んで定期的に掃除・換気をしたりしてもらうのがおすすめです。
掃除や換気を行い、見回ってもらえば、何か問題が起きてもすぐに対処できますし、実家を長持ちさせられます。
資産価値の減少や状態の悪化も防げる上に、特定空き家に指定されるリスクも回避できるため、自分で管理できない時は、お金を使って空き家の管理を行いましょう。

●賃貸物件として誰かに貸す

空き家が急速に劣化するのは、換気が行われず、湿気がこもって建材が腐食するからです。
そのため、実家を賃貸物件として貸せば、日常生活の中である程度の掃除や換気をしてもらえるため、空き家の劣化を防げます。
家賃を取ることで副収入も得られるので、家賃収入を維持費や管理費に回しても良いでしょう。

ただし、入居者とトラブルになると大変です。
家賃を取って貸す場合も、家族や知り合いに無料で貸す場合も、契約書を交わしましょう。

●更地にする

実家を解体して更地にすれば、少なくとも家屋の倒壊などのリスクを避けられます。
固定資産税は高くなってしまいますが、不法侵入や放火といった犯罪被害に遭う可能性も低くなるため、空き家が必要ない、土地は持っておきたいという場合は解体するのがおすすめです。
更地にすることで、不動産として売りやすくなりますし、駐車場として活用しても構いません。
何より、物件を管理する手間から解放されます。

実家の「空き家」化を防ぐためにできること

実家が空き家になってしまうのは、家族間で実家の扱いをどうするか話し合う前に、親が亡くなったり、介護施設に入所したり、認知症になって売却できなくなったりするからです。
親が実家で暮らせなくなったらどうするのか、相続する場合は不動産を誰が受け継ぐのかなどを決めておけば、実家が空き家になったときに適切な対応ができます。
そのために重要なのが、親が元気な内に相続や財産について話し合うことと、遺言書を作っておくことです。
ただし、遺言は、ルールに則った形式でないと法的な効力がありません。
遺言書を作る際、司法書士や弁護士に相談して、法的に有効な遺言を残しましょう。

空き家を売るときは節税の特例を賢く使おう

空き家を売却して利益が出ると、譲渡所得税や住民税が課税されます。
しかし、相続した空き家を売却する時は、売却益から3,000万円できる節税の特例、「被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の特例」を利用可能です。

・相続開始から3年以内に売却すること
・1981年5月31日以前に建てた家であること
・相続の直前まで故人が住んでいたこと
・相続から売却までの間に自分達で住んだり、事業に使ったり、賃貸に出したりしていないこと

など、条件は複雑ですが、特例を使うと譲渡所得税を大幅に節税できます。

まとめ

空き家を放置すると、固定資産税の税制優遇を取り消されたり、罰金を課されたりするため、実家が空き家になったら、放置せずに売却するか管理するのがおすすめです。

ただし、事前に相続や実家の扱いについて家族で話し合っておかないと、いざ実家が空き家になったときに適切な対応ができません。
実家の相続や空き家対策は、親が持ち家を所有していれば、将来必ず直面する問題です。
心情的に気まずくても、親が元気な内に話し合うことで売却を含めた様々な選択肢を検討できるので、実家を放置空き家にしなくて良いように、空き家対策を進めましょう。

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