不動産売却時に準備する必要のある書類一覧
2015.10.26不動産売買は私たちが日常行う取引とは異なり大きな金額が動きます。通信販売や数万円の契約であればサインや認印で可能でしょうが、不動産売却においては取引の安全性を保つために様々な公的な証明書などの書面が必要になります。
必要書面の内容は大きく分けて、
- 売り主に関する書類
- 権利に関する書類
- 建物に関する書類
がありますが、これら書類の内容を事前に把握しておくべきでしょう。
なぜなら、不動産の取引はタイミングが重要です。買い主が購入を決めたタイミングからスムーズに取引が進めば売却は上手くいくでしょう。
そうならないためにも、不動産売却時に必要となる書類を把握することが必要です。
売り主に関する書類
Point 共有持ち分や現在住んでいない家を売却する場合は気をつける
買い主や登記を代行する司法書士は、本当の売り主という動かぬ証拠がなければ取引に不安を覚えます。売り主からすると面倒に感じるでしょうが、所有権者としての証明をしなければなりません。
売り主自身に関する書類は、
- 身分証明書
- 印鑑証明書
- 住民票
が必要になると考えて下さい。
●身分証明書
基本的には免許証が一般的ですが、免許証がない方はパスポート健康保健証、住民基本台帳カード、マイナンバーカードなどがあると考えられます。公的機関が発行する個人を特定できる証明書のことを指すと考えて差し支えありません。
●印鑑証明書
不動産の売買は金額も大きな取引ですので売り主は認印や銀行印を使用する事は認められません。印鑑証明書に印影を登録した、いわゆる「実印」を使用しなければなりません。その「実印」の証明は役所に登録しますので、役所から印鑑証明書を発行してもらいますが、契約前3ヶ月以内の発行日でないとなりません。
●住民票
住民票は、登記上の住所と現住所が異なる場合に必要です。そうでない場合でも、買い主としては住所を転々としている、住んで3ヶ月もしないうちに売却しようとしているなど、住民票の情報を知ることで物件や売り主に何か問題がないかという調査を兼ねる方もおられます。
よって、住民票は必要と考えていた方が無難でしょう。
また、注意すべき点としては売却の際に所有権の共有者がいる場合はその方についても同じように証明書が必要です。誰か代表がそろえればよいというわけではありませんので、共有者全員分の書類を用意して下さい。
権利に関する書類
Point 平成17年以降の権利証は2種類タイプがあります
必要になる書類は以下の通りです。
- 登記済権利証または登記識別情報
- 登記済権利証または登記識別情報
●登記済権利証または登記識別情報
一般的に「権利証」と呼ばれる「登記済権利証」を指します。
築年数が経過している家でしたら、表紙が立派な文字で書かれていて中の紙は変色しているものです。
また、平成17年以降に家を買った場合は登記識別情報という法務局が発行する薄い紙に記載されたランダムな暗号を知っていることが権利者の証となります。
平成17年以降に購入した不動産を売却する際には「権利証がない」と焦るのではなく、登記識別情報が記載された紙を探して下さい。暗号が記載されている場所にシールが貼られているのですぐにわかると思います。
●固定資産税納税通知著、固定資産評価証明書
所有権移転登記等に必要な登録免許税の算出に利用しますので、直近のものを用意します。また、1月1日時点で1年分の12月31日までの固定資産税が課税されます。売却の際は買い主が売り主に対して日割りで税金の払い戻しをすることになります。
建物に関する書類
Point 書類が少ない場合はまずは手持ちの書類だけでの取引を要望する
建物に関する書類は
- 土地測量図、境界確認書
- 建築確認済証、検査済証
- 耐震診断報告書、アスベスト使用報告書
- 売り主が購入した際の重要事項説明書、売買契約書
●土地測量図、境界確認書
特に一戸建ての場合で築年数が経過している場合は、境界がはっきりしてないような物件もあります。登記済権利証にも土地についての面積は記載されていますが、あくまで「公簿上」であり実測という意味ではありませんので、現実には数字が異なることも多いです。そこで役に立つのが、測量の専門家が計測した土地測量図です。
さらに、境界があやふやに見える場合は、境界確認書があると近隣との将来的なトラブルを避けることができますのでこれらの書類は重要となります。
しかし、ない場合もありますので売却する際に「すぐに作成します」と安請け合いはすべきではありません。なぜなら、このような書類作成の費用は売り主持ちだからです。測量にしても20万円~30万円はかかりますので大きなコストです。
書類がなければないで買い主の了解を得る方向で不動産仲介会社に相談すべきでしょう。
●建築確認済証、検査済証
建物が建築基準法等や工事が適法に行われたという条件を満たした証明書です。これらの書類がない場合で増築が行われていて違法建築と判断されれば買い主の住宅ローン審査は通過しません。書類がない場合には、増築していたらまずは不動産仲介会社に報告しましょう。
●耐震診断報告書、アスベスト使用報告書
これらは、あれば添付しましょう。ない場合は買い主負担で取得してもらうようにしましょう
●売り主が購入した際の重要事項説明書、契約書
これらは権利済証などと一緒に保管しているはずですので、買い主に見せれば売り主が購入時において、物件がどのような状態であったかという参考資料になりますので添付しましょう。
ただし、売却価格が購入価格よりかなり割高である場合は不動産仲介会社に相談すべきです。そうしなければ買い主が値切ってくる可能性があるでしょう。
以上が建物に関する書類となります。売り主は基本的にお金を出してまで書類を作成する事は避けるべきでしょう。
まとめ
このように、売却の際には絶対に必要な書類と任意の書類があることがおわかり頂けたと思います。最後に大切な2つのポイントを改めて記載しておきますので、ご確認ください。
- 絶対に必要な書類は迅速に集めること
- 任意の書類は実費での作成は避ける