不動産売却に伴う諸費用を理解しよう
2015.10.26不動産を売却する際には、まず売却価格だけを決めて売りに出す事が多いです。また、実際に契約が進みそうな流れになった段階で、不動産売却に伴う諸費用の見積もりを提示される事になりますが、その数字を見て「こんなに手元に残るお金が少ないのであれば困る。」と売却価格の設定を上げようとしても基本的に買い主は受け付けませんし、不動産仲介会社にとっても価格の引き上げ行為となりますので話に乗ってもらえないでしょう。
そのようなミスをしないために、今回は不動産売却に伴う費用を具体的にお伝えします。
売却活動中に費用がかかるのか
Point 基本的には費用は発生しないが2つの費用には注意する
一般的には、不動産の売却活動は自分ではせずに不動産仲介会社が活動を行います。
では、売り主が不動産仲介会社にいくら程度のお金を払う必要があるかと言えば「基本的に一切費用は必要ありません。」一般的には、買い主が決まって契約が成立した後で仲介手数料を支払えば良いと考えて下さい。
つまり、売却活動中に費用はかからないケースが大多数と言えます。しかし、売却活動中にも費用が発生してしまう場合もあり次の2つが代表的であると言えます。
- 自発的に依頼した広告費用
- 測量費用
1.自発的に依頼した広告費用
通常、不動産仲介会社が仲介する物件の広告費を支払います。不動産情報誌や大手の不動産情報サイトに載せる費用も仲介会社が支払いますので、依頼者である売り主に請求することは出来ません。
しかし、売り主が積極的に広告を出したいと言えば、売り主が広告費を負担することになります。
現在は少なくなりましたが不動産仲介会社が「○○様、こちら持ちで多数の広告を出しておりますが、○○様自身も広告費を用いて積極的に売りに出しませんか?」、「是非よろしくお願いします。」となれば売り主の広告費用負担義務が生じるでしょう。
それで納得できるのであれば問題ありませんが、誘導されるようなトークもありますのでご注意下さい。
2.測量費用
売り主の物件によっては実測○○m²という正確な測量をしておらずに境界が定かではないケースがあります。登記簿にも公簿○○㎡という記載がありますが正確ではないこともあります。
購入を検討している買い主が、測量の数字を気にした場合は売り主が測量費用を負担する場合が多いです。そして、その費用も面積により変わりますが、20万円~50万円程はかかりますので、大きな費用です。このような測量費用も売却活動時に生じる可能性があると考えて下さい。
売却時にかかる費用とは?
Point 仲介手数料と税金に要注意
売却時にかかる費用の代表例には、
- 不動産仲介手数料
- ローンがある場合の抵当権抹消費用、司法書士手数料
- 一括返済手数料
- 売買契約書に貼る印紙代
- 売却益が発生した場合の税金
- 引っ越し費用
があります。
例)2,000万円の物件の諸費用目安
●不動産仲介手数料
不動産仲介手数料については、上限の規定があります。
その計算式は、売買価格×3.24%+6.48万円=不動産仲介手数料(消費税込み)となります。
例)2,000万円×3.24%+6.48万円=712,800円
これはあくまで「上限の手数料」です。実は、仲介手数料は0円にしても問題ありません。最近は、仲介手数料無料や売買価格の1%しか払わなくてもよい不動産仲介業者が出てきました。このような業者が善し悪しについてはここでは論じませんが、仲介手数料を安くできる方法があるという事を覚えておきましょう
●ローンがある場合の抵当権抹消費用、司法書士手数料
ローンがある場合は抵当権を抹消しなければなりません。この場合の費用としては、
- 登録免許税 不動産の個数×1,000円
- 司法書士費用 約15,000円から18,000円
となり2万円程と考えて下さい。
●一括返済手数料
ローンの残債は、売買契約と同時に残金を支払う事になります。その時に支払わなければならない事もある手数料です。各金融機関のローン内容により異なり、かからない場合もあります。今回はかからないと仮定します。
●売買契約書に貼る印紙代
売買契約書に貼る印紙代は1万円~2万円の範囲が多いです
2,000万円の売買では1万円の印紙代となります。
●売却益が発生した場合の税金
2,000万円の売買では、3,000万円の特別控除が利用できるため税金は発生しません。
しかし、控除がない場合は
- 所有期間5年以下の短期譲渡所得は税率約40%
- 所有期間5年を超える長期譲渡所得では税率約20%
を目安にして下さい。
また、税金に関しては複雑ですのでご自身の判断では間違うケースが多いです。特に、自分の予想より税金の金額は多い場合は大問題になりますので、実際に税務署に出向いて、詳しい情報を提供して回答してもらうことをおすすめします。
●引っ越し費用
今回の事例では30万円と仮定します。売却すれば引っ越しをしなければなりません。
費用自体の支払いは引っ越し後かもしれませんが、売買契約日が物件の受け渡し日と決めた契約が多いです。そうなると先に引っ越しをしなければいけないケースも多いですので、売却時に必要な費用という認識を持ってください。
売却が決まれば、手続き面などで不動産会社や銀行との打合せなど忙しくなりますので、引っ越し費用が必要な事について見積もりを取り忘れることも多いです。
荷物が多ければ引っ越し費用も30万円~50万円は必要になりますので、売買価格を決める前に見積もりをもらいましょう。また、引っ越し費用は時期によっても変わりますのでその部分も忘れないようにしましょう。
【2,000万円を例とした不動産の売却時にかかる費用の合計まとめ】
不動産仲介手数料 | 712,800円 |
---|---|
ローンがある場合の抵当権抹消費用、 司法書士手数料 |
20,000円 |
一括返済手数料 | 0円 |
売買契約書に貼る印紙代 | 10,000円 |
売却益が発生した場合の税金 | 0円 |
引っ越し費用 | 300,000円 |
合計 | 1,042,800円 |
まとめ
売却時にかかる費用として大きなウエイトを占めるものは、不動産仲介手数料、引っ越し費用、さらに、不動産の価格が高額になると税金の発生も考えられます。
これらの費用を先に見積もり、売却価格を決定するようにしましょう。