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不動産鑑定と不動産査定、その違いをご存知ですか?

2016.02.29

不動産鑑定と不動産査定

不動産を売却することになった時、「いくらでもいいから、とりあえず売ってしまおう!」と考える人はいませんよね。まず、不動産の価値を把握してから契約をするべきかどうか考えるはず。

そこで不動産の価値を調べようとすると「鑑定」と「査定」という2つのワードが出てきます。
結論から言うと、売買する際の参考価格として調べるのであれば「査定」で問題ありません。それでは「鑑定」とは何なのか…?詳しく見ていきましょう。

不動産鑑定と査定、その違いとは?

不動産には、家電製品のように定価というものがありません。これは、同じような広さの物件でも、立地などによって大きく価格が違う「一物一価」のものだからです。

そんな中で不動産の価値を把握するためには、第三者から評価をしてもらう必要が出てきます。

第三者から評価してもらう方法としては「鑑定」と「査定」という2つがあります。これらの用語は見たとおり非常に似ているためにわかりにくく、混乱を招くことも。

辞書でそれぞれの言葉の意味を調べると、こんなふうに書かれています。

鑑定…書画・骨董(こっとう)・刀剣・資料などの真贋・良否などを判定すること。目利き。
査定…金額・等級・合否などを調査したうえで決定すること。
どちらも価値を判断するという面では同様ですね。

有資格者が基準に沿って評価=鑑定

さて、不動産の場合を見てみましょう。国土交通省によると、不動産鑑定(正確には不動産の鑑定評価)とは「不動産の経済価値を判定し、その結果を価額に表示すること」とされています。

これだけ見ると「査定」だって同じだろうと考えてしまいますが、ポイントは資格を持った人しか「鑑定評価」をできない点です。

不動産鑑定士という国家資格があります。日本国内でも屈指の取得難易度の高さを誇る資格で、これがなければ不動産の鑑定評価をすることはできません。

一方で「査定」には不動産業界の中で統一した定義がないので、特に資格がなくても行えます。

鑑定士が行う鑑定評価の作業内容は「不動産鑑定評価基準」というガイドラインで細かく決められていて、気象条件や物価水準、行政の土地利用に関する計画なども踏まえて不動産が評価されていきます。

「読み慣れない用語がたくさんでてきてわかりにくい」という方もいると思います。

そんな時は「鑑定は資格を持った人が基準に沿って評価する、信頼性の高いもの」で「査定はその業者が独自に行う、プライベートなもの」と覚えておけば良いでしょう。

鑑定はどのようにして行われる?

もう少し知っておきたいという方のために、鑑定方法について詳しく書いていきます。

鑑定評価には

  1. 原価法
  2. 取引事例比較法
  3. 土地残余法

という3つの方法があります。

①の原価法は、その不動産をもう一度建築・造成した場合にいくらになるか(再調達原価)を割り出し、そこに経年による価値の低下を割り引いて評価するというもの。

②の取引事例比較法は、対象の不動産と条件が近い物件の取引事例を集め、過去の取引価格をベースに評価します。

③の収益還元法はその不動産が将来に生むであろう収益を基本として計算する方法です。

不動産鑑定士は鑑定の依頼を受けると、この3つの方法を駆使して評価額を決定していきます。
一方で、不動産会社が査定の依頼を受けた場合は、一般的に取引事例比較法のみによって評価がされているようです。

そのため、時間的には鑑定の方が査定よりも多くかかるのが通常です。

どんな時に鑑定してもらえばよいのか?

ここまで不動産鑑定と査定の違いを解説してきましたが、それではどんな時に「鑑定」してもらう必要があるのでしょうか。
想定される代表的なシチュエーションに「相続」があります。

相続人が2人以上いる場合には、誰がどの財産を取得するかを決める「遺産分割」をする必要があります。
最初に書いた通り、不動産には定価はありませんから、その価値を評価してもらわなければ、公平な遺産分配はできなくなってしまいます。

こういったときに使えるのが「鑑定」です。

資格を持った第三者が基準に沿って行った評価は信頼性が高いので、後から「公平でなかったのではないか」などといったトラブルが起こることを未然に防ぐことができます。

簡単にまとめると、その不動産に対して2人以上の権利が絡んでいるような場合には「鑑定」をしておくのが無難と言うことになりますね。

こうしてみていくと、「鑑定>査定」という考え方になってくるかもしれませんが、鑑定にもデメリットはあります。

それはずばりコスト。不動産の査定は多くの業者が「無料査定」としているのに対し、鑑定の場合はそれなりの費用がかかってしまいますので注意が必要です。

「参考価格」の算出なら査定で十分

対象の不動産に関して、特にトラブルが予想されなければ「査定」によって低コストで価値を評価してもらえることは既に書いた通りですが、例えば「相続によって譲り受けた土地を売却したい」といった状況がこれにあたります。

自己所有の不動産を売却するにあたって、わざわざ費用をかけて鑑定をしてもらう必要はありません(もちろん、鑑定してはいけない理由もありませんが)。

特に最近ではネット簡単に査定を申し込めるので、売却しようと思ってから不動産評価をしてもらうまでのスピードも鑑定に比べればかなり早いでしょう。

「ひとつの会社に査定をしてもらうだけでは不安だ」という場合は、一括査定サイトを活用する方法もあります。

数社から査定額を出してもらうことで、その不動産が平均的にどう評価されているのかを確認できますので「少しでも高く売りたい」と考える方は検討してみましょう。

査定を有効活用して売買をスムーズに

鑑定と査定の違い、それぞれを活用すべきシチュエーションについて解説してきました。

鑑定の重要性と信頼性についてはご理解頂けたかと思いますが、気軽さやコストの低さと言う点では査定を利用するメリットは大いにあります。

これから不動産を売却してみようという方、また、相続があるので鑑定をしたいという方も、査定自体は無料で行えることが多いので、目安を知る意味でも一度不動産会社に査定を申し込んでみてはいかがでしょうか。

不動産について価格がわかりにくく、売買の実態がイメージできないと思っている。

その様なときは、査定価格を参考にするだけでも、今後の売買などのやり取りはぐっと現実味を増していきます。

査定を有効に活用して、不動産売却をスムーズにこなしていきましょう。

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