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不動産価格決定の上で重要な「1物4価」をご存知ですか?

2016.02.29

不動産価格決定

不動産を売却する時、不動産の価格を決める必要がありますが、同じ不動産は存在しないため、適正な価格の把握は難しいです。

普通の商品であれば売主と買主の需要と供給により価格が決定されるべきです。
不動産にもそうした側面はありますが、不動産は財産としての側面も強く、税金を算出されるための価格等複数の価格が存在します。このことを不動産の一物四価と言います。

ただ売却するだけであれば売主と買主の希望価格で取引をすればよく、他の価格は必ずしも考える必要はありません。
それでも、一物四価を理解しておくことで適正な価格の把握に役立つことは多いです。

不動産の一物四価

ジュースは1本150円、お米は5kgで1,000円というように商品にはお金の価値がつけられています。売買をするにあたり、不動産にもお金の価値をつける必要があります。

しかし、やっかいなことに不動産には一物四価といって、1つの土地に4つの価値がつけられています。

4つの価値とは・・・

  • 実勢価格
  • 地価公示価格
  • 相続税路線価
  • 固定資産評価額

これらは、全て最終的にはお金の価値であらわされますが、やっかいなことに少しずつ異なっています。

どれが正しいのか迷ってしまうところですが、実際には、相続税路線価は相続時の不動産の価値の指標となるもの、固定資産税評価額は固定資産税などの税金を算出する際に使うもの、といった具体に使うシチュエーションが異なっているだけなので安心してください。

実勢価格とは

四価の内の1つ、実勢価格は、実際に取引される価格のことを指しています。

実勢価格は売主の高く売りたいのか、早く売りたいのかといった事情や、買主の高くても早く買いたいのか、できるだけ安く買いたいのかといった事情により価格が上下するもので、ルールのない価格です。

不動産の広告で確認することのできる価格も実勢価格と呼ぶこともできますが、実際には契約の段階で価格交渉がなされている場合もあります。

本当の意味の実勢価格は最終的に取引に至った際の金額です。

地価公示価格とは

公示価格は国土交通省が毎年1月1日時点の土地の価格を調べ、3月頃に発表するものです。

実際の不動産取引においては、取引する人の様々な事情や思惑が介入するため、そうした特殊な事情を取り除いた指標としての価格という位置づけです。

とはいえ、全ての土地にそうした指標を設けることは不可能なので、標準地と呼ばれる地点を数点ピックアップして、その標準地の価値を2人の不動産鑑定士と、国土交通省の土地鑑定委員会により算出しています。

また、公示地価と似たようなものに基準地価がありますが、こちらは毎年7月1日時点の土地の価値を調べ、9月頃に発表されるもので、公示地価は国土交通省が実施するのに対して基準地価は都道府県が実施。

公示地価で調べる土地を標準地と呼ぶのに対して基準地価では基準地と呼び、標準地と基準地は違う地点であることが多くなっています。

実勢価格と公示価格のかい離率が話題になることもありますが、公示価格はおおむね実勢価格の90%程度を目安としています。

相続税路線価とは

相続税路線価とは、その名の通り相続税や贈与税を算出する際の指標となる価格のことを指します。

国税庁が毎年7月に発表するもので、土地に面した道路に価格をつけ(=路線価)、路線価×土地の面積(平方メートル)がその土地の価値となるものです。

路線価が記載されている路線価図は税務署で見ることができますが、インターネットで閲覧することもできます。

相続税路線価は、徴税する側の便宜を図るために作成されるものなので、個別の土地の価値をそれほど正確に算出することが難しいです。

そのため納税者に不利益とならないように他の価格と比べると安く抑えられているという側面があります。

相続税路線価は、公示価格の概ね80%程度、実勢価格の70%程度を目安としています。

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額は、市町村が発表する土地の価格のことで、固定資産税や不動産取得税、登記の際の登録免許税など、さまざまな税の税額を算出するときに用いられます。

固定資産税は3年に1度評価替えが行われます。固定資産税は土地と家屋について評価がなされるため、家屋の評価を調べたい場合には固定資産税評価額を調べることになります。(とはいえ、家屋の固定資産税評価額と実勢価格とは異なるケースも多いです)

このため、建物の相続税や贈与税の算出にあたっては、固定資産税評価額が用いられます。

固定資産税は3年に1度の評価替えのため、実際の価値とは誤差がある場合もあり、納税者に不利益とならないよう安く設定されています。
固定資産税評価額は、公示地価の概ね70%程度、実勢価格の60%程度を目安としています。

目的公示地価との関係実勢価格との関係
実勢価格時価--
公示地価公平な価格としての目安や公共収用-90%
相続税路線価相続税や贈与税80%70~80%
固定資産税評価額固定資産税や不動産取得税70%60~70%

一物四価を見積もりに組み込んでもらおう

以上のように一物四価はそれぞれ使用するシチュエーションの異なるものですが、公示地価や実勢価格の何%程度、といった形で算定することができます。

実勢価格は実際に取引される価格のことなので、不動産会社による価格査定で算出される査定価格とは異なり、また売却活動中のチラシに掲載する価格とも異なります。

実際の取引の際の価格交渉で参考となる指標を把握しておくためにも、不動産査定書に実勢価格だけでなく公示地価や相続税路線価、固定資産税評価額を元にした査定を組み込んでもらうと良いでしょう。

まとめ

土地の一物四価は、標準的な土地の公的な価格指標である地価公示価格や税金用の固定資産税評価額、相続税路線価と実際の取引価格である実勢価格とありますが、実際に不動産を売却するにあたって、不動産は1つしかないのでそれらは全て参考価格でしかありません。

それぞれの価格に使用目的がありますが、公示地価や路線価など公的な価格を参考にするか、実際の取引価格を信用するのかについて、正解はありませんが、できるだけ多くの価格を参考にしてみると良いでしょう。

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