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賃貸中の不動産売却は可能なのでしょうか

2016.03.01

賃貸

賃貸目的で購入して賃貸に出していた不動産を売却する場合、投資用不動産として売却するのか、居住用不動産として売却するのか等3つのパターンが考えられます。

賃貸中の不動産の売却はどのように進めるのが良いのでしょうか?

賃貸中のマンションは査定できるか

投資目的で購入した不動産の売却を検討しているオーナーさんで、賃貸中の不動産の査定を依頼することができるのだろうか、と考える方もいるかと思います。

現在賃貸中のマンションの売却を検討する場合、3つのパターンが考えられます。

まず、居住用不動産として売るのか、投資用不動産として得るのかどうかで変わります。
また居住用不動産として売却する場合、現在住んでいる人が退去するのを待って売却するのか、住んだままの状態で売却するのかによって変わります。

居住用不動産と投資用不動産とで異なる評価手法

そして、不動産の査定方法は居住用不動産として売る場合と投資用不動産として売るパターンとで異なる手法を用いることになります。

居住用不動産として売却する場合は通常の売却と同じく、取引事例比較法という、類似した不動産の取引事例を元に不動産の価格を決める方法で査定を行います。

一方、投資用不動産の場合上記の取引事例比較法に加えて、収益還元法という、不動産が持つ収益性も考慮して価格査定が行われます。

以下で、個別のパターンについて詳しく見ていきます。

1. 賃貸契約中のまま、オーナーのみ変わるパターン

所有している不動産を誰かに貸している状態で、不動産の所有権を別の誰かに売却し、購入した人は引き続き投資用不動産として不動産を所有するというパターンです。
業界的にはオーナーチェンジ物件と呼ばれるもので、投資用不動産の売却方法としては一般的なものです。

もともと居住用としても投資用としても考えていた、という不動産の場合、投資用としてしか売却できない点に注意が必要です。
購入する側は通常の住宅ローンを組むことはできず、不動産投資ローンを組むことになります。

また、複数の居室があるような場合、例え1室でも賃貸中であれば投資用不動産の扱いになります。
購入する側が投資用不動産を購入する目的であれば、最初から収入がある点がメリットとなり、売却しやすいです。

しかし、賃借人がいない状態であれば居住用としても投資用としても売却できることを考えると、売却できる層が狭くなってしまいます。

●投資用不動産の評価は収益還元法で行われる

通常居住用マンションの価格査定においては、取引事例比較法という、売却する不動産を類似した不動産の取引事例を参考に売却価格を決める方法が取られます。
ですが、投資用不動産の場合取引事例比較法にプラスして収益還元法という方法で査定が行われます。

収益還元法は不動産が持つ収益性に着目して価格査定が行われる方法で、例えば家賃が10万円の不動産であれば年間で120万円。
売却価格を1,200万円に設定すれば期待利回りが10%、といった具合に、期待利回りが何%となるのかで売却価格を決めます。

都心であれば期待利回り5~6%程度、地方であれば期待利回り8%を目安に価格が決められることが多いようです。

●投資用不動産で売却する場合、構造と築年数に注目

一般的に居住用不動産の場合、購入する人の職業や年収などを元にローンの審査が行われます。

一方投資用不動産の場合、購入する人の職業や年収に加えて、物件の収益性や構造、築年数が大切になります。

これは銀行の審査上の問題で、木造や鉄骨造、RC造など構造により耐用年数が設定されており、基本的にはその耐用年数を超えて融資を受けることができなくなっているからです。

居住用不動産の場合も築浅物件の方が人気があるのはもちろんですが、投資用不動産の売却で相手にするのは投資家であり、こうした点も評価の対象となる点に注意が必要です。

2. 賃貸契約終了後に売却するパターン

投資用不動産として所有していた不動産でも、賃貸契約終了後に売却することで居住用不動産としても売却することができるようになります。

ここで、賃貸契約には一般借家契約と定期借家契約の2種類あることを知っておきましょう。

●一般借家契約

オーナーは賃借人に対して契約満了の6~12カ月前までに契約終了の告知をしなければならず。その際にオーナーは賃借人に対して退去して欲しい正当な理由を伝える必要があります。

まず、オーナーの側からは思い立ってすぐに賃借人との契約を終了することはできない点に注意が必要です。
また、オーナーから賃借人に契約終了の告知をする場合、正当な理由が必要なのですが、不動産の売却はこの正当な理由には含まれないことが多く、借主がそのまま住み続けたいという場合には引っ越し代金を支払うなどの措置が必要になります。

このケースに当てはまる場合、一度不動産会社に相談してから進めるようにしましょう。

●定期借家契約

一方、定期借家契約は契約の期限がくれば退去してもらうことが可能な契約です。

賃貸契約が定期借家契約の場合、普通に退去してもらった後に売却の手続きを進めておけば問題ないでしょう。

また退去の時期も明確なので事前に不動産査定を済ませておくとその後の流れがスムーズです。

3. 賃貸契約中に売却するパターン

不動産の賃貸契約中に、居住用不動産として不動産を売却するパターンです。

この場合、賃借人に引っ越してもらうように交渉する必要があるので非常にやっかいです。すんなり退去してくれれば良いのですが、最悪の場合裁判沙汰になる可能性があります。

オーナー側の権利は非常に弱く、賃借人次第というところがありますので、まずは不動産会社に相談するようにしましょう。

●居住用不動産の査定方法は取引事例比較法

賃貸契約中に売却するパターンも、賃貸契約終了後に売却するパターンも居住用不動産として売却する場合の価格査定の方法は、一般的な取引事例比較法で行われることがほとんどです。

また、価格査定時や不動産の売却活動中には賃借人の協力を得る必要がある場合もあります。

まとめ

投資用不動産を売却する場合賃借人がいるのかいないのか、投資用不動産として売却するのか、居住用不動産として得るのか等、同じ不動産でも状況によって売却の方法も査定方法も変わってきます。

状況により査定額も異なるため、どのように売却活動を進めるのかを不動産会社に相談すると良いでしょう。

 

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