相続した土地を売却するときに知っておきたい注意点
2017.12.29相続した土地を売るときは、いくつかの注意点に気をつけなければなりません。自分の土地を売る場合と違って、ほかの相続人との話し合いや相続に関する手続き、納税も必要になるからです。
遺産相続は、適当に進めるとすぐに揉めごとになってしまいます。根深いトラブルを避けるためにも、相続した土地を売るときに知っておくべき注意点をまとめました。
相続した土地を売るためには名義変更が必要
土地の所有者が誰なのかという情報は、法務局で管理されている「登記簿」に記されています。原則として、登記情報を変更するまで持ち主が変わることはありません。
土地を相続した時点では、登記の変更が行われていないため土地の所有者は故人のままになっています。土地を売却できるのは登記上の所有者だけなので、相続した土地を売るためには法務局で「相続登記」を行い、名義変更をしなければなりません。
もし、相続登記を行わずに土地の売却を進めようとすれば、売り主から買い手への名義変更ができないため手続きはストップしてしまいます。
相続した土地の売却は「換価分割」と「代償分割」のどちらかを選ぶ
相続では、遺産の大小に関わらず揉めごとになるケースが少なくありません。多くの一般家庭において、もっとも高額な資産は土地や建物といった不動産です。現金と違って公平に分けるのが難しいため、遺産を何人かの相続人で分けるとどうしても不公平になってしまい、そこからトラブルに発展します。
土地のように簡単に分割できない遺産を公平に分ける手段のひとつが、土地の売却です。そして、相続した土地を売却する場合、「換価分割」と「代償分割」のどちらかを選ぶことになります。
●換価分割とは
換価分割とは、「相続人全員」で土地を共有し、売却して得たお金をそれぞれの割合で分けるという不動産相続の方法です。仮に相続人AとBの2人で3,000万円の土地を換価分割する場合、それぞれが1,500万円で土地を売った、という手続きになります。
●代償分割とは
一方、代償分割は「だれか一人」が土地を相続し、その人が土地を売って得たお金をほかの相続人に分けるという方法です。Aが3,000万円の土地を売却し、その代金からBに1,500万円を渡すイメージとなります。
一見同じような手続きに感じますが、「自分で売った土地の代金を受け取る」のと「他人から土地の代金相当のお金をもらう」のでは、税金の扱いが変わってしまうのです。
換価分割の注意点
土地を売ると、利益に対して「譲渡所得税」がかかります。換価分割の場合、相続人それぞれが土地を売ることになるため、相続人全員が譲渡所得税を納めなければなりません。
先ほどの例でいうと、土地を売ったABがそれぞれ1,500万円に対する譲渡所得を納めるわけです。換価分割をする場合、土地を共有する全員に税金がかかる可能性があることを確認しておいた方が良いでしょう。
代償分割の注意点
代償分割の場合、土地を売るのは一人だけです。詳しいことは省略しますが、このとき土地を売ったAは土地売却3,000万円に対する譲渡所得税を納めることになります。土地の売却額から1,500万円を受け取ったBは土地を売ったわけではないため、譲渡所得税はかかりません。
換価分割に比べると、Aだけ税金の負担が大きくなってしまうケースもあるため、ほかの相続人に渡す金額を調整するなど事前に話し合いをしておく必要があります。
相続した土地を売却するうえで知っておきたい税の話
相続した土地を売ると、譲渡所得税以外に相続税の納税も必要です。
●相続開始から10ヶ月以内に相続税を納めなければならない
相続税の納税は、遺産相続がはじまってから10ヶ月以内と納税期限が決まっています。もし、期限を過ぎても納税しければ、延滞税などが発生し莫大なお金を払わなければなりません。
相続税の納税は、原則として現金一括払いです。もしお金に余裕があれば、土地を所有したまま現金で納税してしまい、土地は好きなタイミングで売っても構いません。ただ、土地を売ったお金で納税をしようと考えているなら、10ヶ月以内に土地を現金化しなければならないのです。
●不動産の現金化には3ヶ月程度の時間がかかる
土地の売却には、おおまかに3ヶ月程度の時間がかかります。親族が亡くなって葬儀や通夜、告別式、相続財産の目録づくりに相続人同士の話し合いを行っていると、10ヶ月はあっという間です。
相続した土地を売って納税する場合は、できるだけ早めに不動産業者を決める必要があります。限られた期間で土地を売るためには、地元の土地をどのように広告すれば売れるのか、過去の売買実績や経験を持つ地域密着型の不動産会社に任せるのが一番です。
まとめ
相続した土地を売る場合、相続人同士揉めないように話し合ったうえで、相続登記から始めましょう。土地を売ると、相続税のほかに譲渡所得税もかかります。相続税の納税は、相続開始から10ヶ月以内に期限が来るため、土地を売るときは地元に強い不動産業者を頼るのがおすすめです。