徹底調査!土地と建物の名義人が違う不動産は売却できるの?
2018.01.01土地と建物の名義人が違う場合、どちらか一方の名義人が土地建物を勝手に売ってはいけません。ただ、離婚や相続などどうしても不動産を手放したい場合もありますよね。
そこで、土地と建物の名義人が違う場合どうすれば不動産を売却できるのかを説明します。
法的にいえば土地と建物はそれぞれの名義人で個別に売っても良い
法的な話をすると、「土地の名義人が自分の土地を勝手に売る」「建物の名義人が自分の土地を勝手に売る」のは自由です。
禁止されているのは「他人名義の不動産を勝手に売ること」なので、庭付き一戸建ての土地だけを売る、家だけを売るのは問題ありません。
ただ、一般的に考えて建物と土地のどちらかだけを購入したいと考える人は少ないでしょう。勝手に自分名義の不動産を売ってしまうことで、もう一方の不動産を持つ相手と揉めてしまう可能性も高いです。
そこで、土地と建物をセットで売却する方法です。
名義を自分のものに変更すれば売却できる
土地と建物の名義人が違う不動産を売却する方法として、一番わかりやすいのは「相手の名義を買い取る」ことです。
土地の名義人が建物の名義人と交渉して土地を買い取ってしまえば、両方自由に売却できます。
名義人同士が仲の良い家族や夫婦などで、話し合いができる関係なら解決は簡単です。ただ、相手名義の不動産を買い取る場合、譲渡所得税がかかる可能性があることも知っておきましょう。家族なら無償譲渡も可能ですが、無償譲渡を受けた側は贈与税を納める必要があります。
名義変更のための費用や、司法書士に手続きを依頼する費用、名義を統一し不動産を売ったときに再度かかる譲渡所得税といった出費も考えておきましょう。
●相続財産の場合は相続登記をしてから売る
「親の土地に自分名義で二世帯住宅を建てていたが、親が亡くなったので家を処分して引っ越したい」といったケースです。この場合、親名義の土地は「相続登記」をすれば名義を自分のものにして売却できます。
名義人全員の同意を取れば売却できる
土地と建物の名義が違っても、名義人全員が売却に同意している場合は土地と建物をセットで売却可能です。
少し手間はかかりますが、名義人全員の実印や印鑑証明書があれば問題ありません。ただ、税金や手数料の負担をどのようにわけるのか、事前に話し合っておいた方が良いでしょう。
●相続で名義人が複数いる場合も同意があれば買い取らずに売却可能
「名義人全員の同意」による不動産の売却は、相続で名義が複数人に分かれていたり、夫婦で名義を共有していたりする場合にも使える方法となります。
たとえば、父親の土地に長男夫婦が家を建てて同居しており、父の死後兄弟3人で土地を相続した場合。兄が家と土地を売りたいと思ったら、弟2人から土地の名義を買い取らなくても、2人の同意を得られれば不動産の売却は可能です。
夫婦で家を買うとき、お互いにお金を出し合って共有名義にしているというケースもよくあります。転勤などで家を売らなければならなくなった、離婚することになり共有財産を分割するために家を売却することになったという場合でも、両者の同意があれば名義を買い取る手間をかけずに不動産を売却できるのです。
話し合いさえうまくいけば、書類を少し多めに準備するだけで良く、スムーズな解決法です。
家庭裁判所に「不在者財産管理人選任」を申し立てる
離婚や失踪など、なんらかの事情で名義人と連絡が取れなくなって同意や買い取りの話し合いができない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人選任」を申し立てましょう。
不在者財産管理人選任とは、「きちんと不動産を管理していない人がいて迷惑しているから、代理の管理人を立てる許可をください」と家庭裁判所にお願いする手続きです。原則として、「管理人不在だとほかの名義人に金銭的な迷惑がかかる」といった正当な理由がなければ認められませんが、申し立てが通れば土地と建物両方を売却できるようになります。
名義を共有している場合自分の持ち分だけ売ることも可能
やや変則的な方法ですが、「自分名義の土地だけを売る」のと同様に、共有名義の不動産を「自分の持ち分だけ売る」ことも可能です。
たとえば、父親から相続した土地に娘名義の家があり、父の死後土地を母と娘の2人で半分ずつ相続したとします。母が家での生活は大変だから土地を売って老人ホームに入る資金にしたいと考えても、土地の権利を半分もっている娘が売却に反対すれば当然土地は売れません。
話し合いができず、音信不通でもないため不在者財産管理人選任ができないという場合、母親は自分の持ち分、つまり土地半分だけを売ることも可能です。
まとめ
土地と建物の名義が違う場合、相手の名義を買い取るか、別名義のまま売却の同意を得るか、自分の持ち分だけ売るという選択肢があります。人によってどの方法が最善かは違い、家族など親しい間柄だとかえって話し合いがこじれることもあるので、土地売却の話は第三者を交えて行いましょう。
その際は、不動産売却にも地域の事情についても詳しく、親身になって対応してくれる地元の不動産業者を選ぶのがおすすめです。