税金を滞納したらどうなる?納期限から差し押さえまでの流れとは
2018.01.09家を持っている以上、固定資産税は毎年必ず納めなければなりません。ただ、固定資産税の納税額は「固定資産税評価額(市場相場の7割)×1.4%」と金額的にも高額なので、住宅ローンの返済が厳しくなっている人は固定資産税も滞納しそうになっていることが多いです。
もし、固定資産税を滞納してしまったらどうなるのでしょうか。納期限を過ぎてから差し押さえまでの流れをまとめました。
固定資産税の納期限を過ぎてから差し押さえまでの流れ
結論からいうと、固定資産税の納期限を過ぎてから30日以降はいつ家を差し押さえられてもおかしくありません。
●固定資産税の納期限から20日以内に督促状が郵送される
固定資産税は1月1日時点に持っている不動産に対してかかる税金です。国税ではなく地方税なので、各自治体によって差し押さえの厳しさや納期限は違います。多くの場合、固定資産税の納税書が送られてくるのは初回の納期限となる4月か6月です。
税金を滞納した場合、地方税法の第371条で「納期限から20日以内に督促状を送らなければならない」と決まっているため、督促状が送られてきます。
●督促状を10日無視すると「差し押さえしなければならない」
督促から差し押さえまでの猶予期間は10日です。地方税法の第373条では、「督促状の発送日から10日以内、または納期限までに滞納分を支払わない場合滞納者の財産を差し押えなければならない」と決まっています。
とはいえ、30日税金を滞納したらいきなり家が差し押さえられて競売になるというケースはごくまれです。数十万円レベルの滞納金を回収するために、数千万円の家を差し押さえて競売にかけるのは労力的にも割に合いません。
実際には、とりあえず家を差し押さえて勝手に売却できないようにしたり、預貯金や給料等を差し押さえて延滞税と固定資産税の本税を回収したりすることになります。
滞納の完済ができない場合は最終的に家を含む財産が競売にかけられ、売却代金を税金として回収されてしまうのです。
固定資産税の滞納を避けた方が良い理由
任意売却を考えているなら、固定資産税の滞納だけは避けましょう。
●固定資産税を滞納して家が差し押さえられると任意売却しづらくなる
なんといっても、税金の滞納で家が差し押さえられると任意売却が難しくなるのが問題です。自治体が家を差し押さえた場合は「差押登記」といって、登記に「この家は差し押さえ済み」と明記されてしまいます。
不動産を売買をするときは、抵当権や所有権を持つ全員が同意をしなければなりません。住宅ローンが残っている家を任意売却するためには、債権者以外に家を差し押さえている自治体とも交渉をして任意売却の同意を得る必要があるのです。
ただ、市町村は固定資産税の滞納金を回収するために家を差し押さえています。基本的に、固定資産税の滞納分すべてを支払わない限り差し押さえを解除してくれません。
また、滞納した税金を自治体に納めるということは、任意売却をしても債権者の取り分が減るということです。任意売却でも競売でも大して手元に残るお金の額が変わらないのであれば、債権者は任意売却に同意してくれないでしょう。
●固定資産税は延滞税が高い
税金を滞納すると、納期限の翌日から延滞税や延滞金がかかります。この延滞税が非常に高いのです。
平成26年度からは延滞税の算出方法がかなり複雑になっているので、固定資産税を延滞したときは各市町村に問い合わせて何%の延滞税がかかるか計算しましょう。参考までに一例を示しておくと、滞納の翌月まではおおよそ2%、滞納1ヶ月以降は9%前後の延滞税がかかります。
●役所の差し押さえは一切容赦してくれない
役所の差し押さえは、法律に則って行われるので一切容赦がありません。特に、督促を無視している場合は役所側も「話し合いで解決できる相手ではない」というスタンスで差し押さえを行うので、家や口座が差し押さえられてからでは相談にすら乗ってもらえないのです。
●税金の滞納は自己破産等でも免除されない
住宅ローンは、最悪の場合自己破産等の債務整理手続きを取れば返済しなくて良くなります。しかし、税金は自己破産しても免除されません。滞納している本税はもとより、滞納している間ずっと発生し続ける延滞税も免除の対象外です。
固定資産税を滞納した場合、自己破産しようが何をしようが税金を支払う必要があります。
まとめ
税金を滞納しそうになったら、すぐに役所へ相談に行きましょう。税金を納付する意思があり、誠実な対応をしていれば納税を猶予する制度が認められる可能性もあります。
固定資産税の督促を無視すると、税金を滞納してから30日以降はいつ家を差し押さえられてもおかしくありません。
家が役所から「差し押さえ登記」されていなければ、任意売却は簡単です。住宅ローンの返済と固定資産税の納税ができるように、地元密着型の不動産会社の力を借りてできるだけ高く家を売りましょう。