マンションのローンが残っている人は住み替えできる?
2018.03.23マンションの住み替えをするとき、旧居のローンと新居のローンをひとまとめにできればローンの残債を気にせずに住み替えできますよね。
実際、住み替えを考える人の全員が住宅ローンを完済しているわけではありません。では、一体どうやって住み替えをしているのでしょうか。その答えのひとつが「住み替えローン」の利用です。
今回は、住み替えローンについて解説していきます。
いま住んでいるマンションのローンが残っていても住み替えできる?
住宅ローンが残っていても住み替えは可能です。ただ、原則として住み替えをするためには「住宅ローンの一括返済が必要」だということを知っておきましょう。
●マンションの売却にはローンの一括返済が必須
住宅ローンが残っているマンションを売却するときは、「マンションの売却金額や貯蓄等でローンの残債を一括返済」して「抵当権を外す」必要があります。
抵当権とは、「ローンの返済が滞ったとき、融資した金融機関が家を差し押さえる権利」のこと。マンションを買う側にとって抵当権つきの物件は、「高いお金を払って買ったのに、以前のオーナーが自分の知らないところで住宅ローンの返済をとめたら家を差し押さえられてしまうハイリスクな不動産」です。いつ担保として差し押さえられるかわからない物件を買う人はまずいません。
また、融資をしている金融機関もローンが完済できないのに家を売ることを嫌がります。返済が滞ったとき、確実に差し押さえできる担保がなくなってしまうからです。
●「住み替えローン」ならいまのローンとつぎのローンを一緒にできる
とはいえ、本来数十年かけて返済していく住宅ローンを完済するのは簡単ではありません。そこで頼りになるのが、住み替えローンです。
住み替えローンとは
「旧居のローンを完済するために必要なお金」と「新居の購入費用」をまとめて借りられるローンのことを、住み替えローンと呼びます。
●マンションの完済に足りない金額+新居のローンをまとめて借りられる
住み替えローンのメリットは、いま住んでいるマンションのローンが残っていても住み替えできる点です。通常、「マンションの売却額<ローンの残債」の場合マンションは売却できません。しかし、住み替えローンなら旧居のローン完済に足りない金額も合わせて借りられます。
住み替えローンの注意点
住み替えローンは、マンションを売ったお金でローンを完済できない人にとって非常に便利なローンですが、注意点も多いです。
●ローンの総額がふくらむので無理は禁物
たとえば、残債1,400万円のマンションを売って2,000万円の新居を購入する予定だとしましょう。マンションが1,400万円で売れればローンの総額は2,000万円です。しかし、マンションの売却額が900万円だった場合、住み替えローンで2,500万円借りなければなりません。
「借りられる金額」と「無理なく返済できる金額」は違います。元金が増えれば利子の負担も増え、月々の返済も大変になるのです。住み替えローンを組むときは、新居の予算を抑えてもローンの総額が増えすぎないように気をつける必要があります。
●返済期間を延ばすとリスクが高くなる
融資額の大きい住み替えローンでは、「ローンの返済期間を延ばして月々の負担を軽くする」ことも可能です。しかし、住み替えの場合初めてマンションのローンを組んだときより年齢を重ねています。30歳から見た30年ローンと、40歳から見た30年ローンは重みが違うのです。
仕事をリタイアしたあとにローンの完済時期がくるようにすると、ローンを完済できずに新居を差し押さえられてしまうリスクは高くなるでしょう。
●ローンの総額が増えるため通常の住宅ローンより審査が厳しい
住み替えローンは、借入額が高くなるため通常の住宅ローンよりも審査が厳しいです。審査に通らなければ、住み替えはできません。
●車等のローンが残っていると利用できない場合も
金融機関によっては、「住宅ローン以外のローンがあると住み替えローンを利用できない」ケースもあります。一番多いのは車のローンです。「車の残債ぶんもまとめて借りてローンを一本化する」という方法もありますが、ローン会社によってルールが違うため注意しておきましょう。
●マンションの売却・新居の購入・融資のタイミングを合わせる必要がある
住み替えローンで融資を受けるためには、
・いま住んでいるマンションローンの一括返済と売却
・新居の購入
・住み替えローンの申し込みと審査
を一度に行う必要があります。自分だけでなくマンションを買ってくれる買い手とも予定を合わせなければならないため、不動産業者や司法書士の協力は必須です。
まとめ
マンションを売ってもローンの一括返済ができない場合は住み替えローンを利用しましょう。ただ、借入額の大きい住み替えローンは注意点も多く、融資の申し込みタイミングも調整しなければなりません。希望の金額でマンションが売れなければ、ローンを組んでも新居の購入ができないといったトラブルも考えられます。
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