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空き家を売却した際の税金の種類と計算方法

2018.05.31

確定申告

働いてお金を稼げば所得税がかかるように、空き家を売って黒字が出たら、確定申告をして「譲渡所得税」などの税金を納めます。税金は原則一括払い。高額売却を狙っているなら、確定申告の時いくらくらい納税するのか、おおまかな金額を計算できるようにしておきましょう。

今回は、空き家を売るとどのような税金がかかるのかを紹介し、具体的な税額の計算方法を解説します。

空き家を売却する際にかかる税金とは

空き家を売った際にかかる税金は、

  • 譲渡所得税
  • 復興特別所得税
  • 住民税

の3種類です。

●譲渡所得税・復興特別所得税・住民税の解説

譲渡所得税は、「他人に財産を譲ったり売ったりしたことで手に入れた利益」に対してかかる所得税。年収が上がると所得税の額が上がっていくように、空き家が高く売れるとその分、譲渡所得税も高くなります。

税の仕組み上、土地建物の譲渡所得税は「分離課税」といって、一般的な給料や事業収入とわけて税額の計算をするのが特徴です。放っておいても会社や税務署が勝手に税額を決め、納付書を送ってくれるというものではないので、空き家を売った翌年の2月16日から3月15日にかけて自分で確定申告をし、税額を計算して納税する必要があります。

復興特別所得税は、所得に対して一律でかかる特別な税です。譲渡所得税と一緒に納税します。住民税の税額は課税される所得金額によってかわりますが、自治体が税額計算をして納付書を送ってくれるので、確定申告時に自分で手続きすることはありません。

●所有してから5年経過しているかどうかで税率が変わる

譲渡所得税は、「売った空き家の所有期間が5年を越えているかどうか」で税率が変わります。

  • 短期譲渡所得(所有期間が5年未満)=税率30%
  • 長期譲渡所得(所有期間が5年以上)=税率15%

復興特別所得税の税率は、所有期間に関わらず2.1%です。住民税は、

  • 短期譲渡所得の場合:住民税9%
  • 長期譲渡所得の場合:住民税5%

と税率が変動します。空き家の所有期間によって税率が大きく変わるので、空き家を手に入れてから5年経つかどうかギリギリの人は、少し待ってから売却するのがおすすめです。

売却して税金がかかる場合・かからない場合

空き家を売って税金がかかるかどうかかは、「売却額・取得費・控除」の3点で決まります。

取得費とは、家の購入費用や入手時にかかったリフォーム費用など、家を手に入れるためにかかった費用のこと。譲渡費用とは、不動産会社に支払う仲介手数料などの空き家を売るためにかかった費用。特別控除額は、特定の条件を満たした人のみ利用できる税の優遇措置のことです。

計算方法はまた後で解説しますが、譲渡所得税は、

・{空き家の売却額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額}×譲渡所得税の税率

という計算で求めます。
たとえば、両親が2,500万円で購入した家を相続し、500万円かけてリフォーム。2,800万円で売却した場合、差し引きすると赤字なので税金はかかりません。

取得費がわからない場合は、「売却額の5%」を取得費にできます。2,800万円の5%は140万円なので、リフォーム費用を引いた2,160万円の利益に対して税金がかかるわけです。

このように、譲渡所得税の金額は取得費に大きく左右されます。取得費の証明は当時の売買契約書だけでなく、支払いをした銀行口座の明細等でもできるので、空き家を売るときは証拠になりそうな書類を集めておきましょう。

売却した際の税金計算方法

以下の条件で、空き家を売ったら税金がいくらかかるのか計算していきます。

  • 空き家の売却額は3,240万円
  • 仲介手数料は111.4万円
  • 150万円かけて内装をリフォーム済み
  • 空き家は両親から2年前に相続したもので、いくらで購入したかはわからない

これらの数字を、譲渡所得税額の計算式に当てはめてみましょう。
家の取得費がわからないので、取引額の5%を取得費と考えます。

・3,240万円×5%=162.5万円

課税される譲渡所得額は、

・空き家の売却額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
=3,240万円-(111.4万円+150万円+162.5万円)-0=2,816.1万円

家の所有期間が5年未満なので、短期譲渡所得の税率30%をかけましょう。

・譲渡所得税額=2816.1万円×30%=844.83万円

復興特別所得税が2.1%、短期譲渡所得の場合の住民税額は9%なので、

  • 復興特別所得税額=844.83万円×2.1%=17.7414万円
  • 住民税額=2816.1万円×9%=253.449万円

となりました。合計は、「1,116万204円」です。

●仙台市の住民が利用できる「相続した空き家の譲渡所得3,000万円の特別控除」

取得費が低いと、譲渡所得税がかなり高くなってしまいます。そこで利用したいのが、仙台市の特別控除。いくつか条件があるものの、相続した空き家を売る場合、譲渡所得額から3,000万円控除できます。

つまり、

・3,240万円-(111.4万円+150万円+162.5万円)-3,000=0万円

となり、譲渡所得税はかかりません。譲渡所得が0になるので、復興特別所得税・住民税も0円です。

まとめ

税の話は難しいですが、ちょっとした準備や対策で節税できます。ただ、どういう税の優遇措置や節税対策を利用できるのかは人それぞれです。その点、地域の不動産会社は同じような相談を数多く受けているため、ノウハウが充実しています。家をできるだけ高く売りつつ、節税して手元に残すお金を増やすためにも、ぜひ地域密着型の不動産会社に相談してください。

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