離婚により共有名義になっている家の名義変更はどうすればいい?
2018.11.22離婚することになった際、住んでいる家の名義を共有名義のまま残しておくと、離婚してからあれこれと問題が起きてしまう可能性があります。ただ、共有名義の変更手続きは、そう何度も経験するものではありません。やり方がわからないと、手続きが面倒になり、ついつい後回しにしてしまうもの。ここで、共有名義の物件を名義変更する方法と、手続きするなら知っておきたい税金の話をご紹介します。
共有名義の物件の名義変更方法
まずは、共有名義の変更方法から押さえていきましょう。
●不動産の名義変更は「法務局」で行う
不動産の正式な所有権や所有者情報は、「法務局」という国の機関に「登記」という形で管理されています。夫婦の共有名義になっている不動産の名義を変更する場合、「所有権移転登記」という手続きが必要です。 共有名義の名義変更を行う際の注意点は、
- 手続きできるのはその物件を管轄している法務局のみ
- 共有名義の場合金融機関の承諾が必要
- 手続き時に「登録免許税」がかかる
こと。面倒なら、手続き自体は5万円前後で司法書士に委任できます。
●ローンを完済していれば話は簡単
共有名義の変更をする際、住宅ローンを完済していれば、上で説明した通り所有権移転登記を行うだけで大丈夫です。
●ローンが残っている場合は金融機関の承諾が必須
問題は、ローンが残っている場合。住宅ローンの契約書には、通常「完済するまで勝手に名義変更しないこと」というルールが記載されています。そのため、法務局にいって手続きをする前にローンを借りている金融機関と交渉し、名義変更の承諾を得る必要があるのです。
もし、金融機関に相談せず勝手に共有名義を変更してしまうと、契約違反をしたという理由で残債の一括返済を求められてしまいます。不動産の名義は誰でも簡単に調べられるので、隠し通すのは不可能です。必ず金融機関の承諾を取りましょう。
ただし、金融機関はなかなか共有名義の変更を承諾してくれません。一般的に、不動産を共有名義にするのは、「夫婦どちらかの収入だけでは住宅ローンの審査に通らない、共有名義にして夫婦の収入を合算する」ため。要するに、2人の収入でなんとか返済するローンを1人で返済することになるわけです。金融機関側にとっては滞納のリスクがあるので、名義変更を嫌がるのです。
●住宅ローンを借り換えるという選択肢も
名義の変更後もその不動産に住む予定がある場合、住宅ローンの借り換えで対処可能です。名義変更は認めてもらえなくても、新しく名義人になる人が安定した収入を持っていれば、その人の名義で借り換えローンを組めます。
共有名義のものを変更した際の税金
共有名義の名義変更した際にかかる、税金について押さえていきましょう。
●法務局での名義変更に必要な「登録免許税」
法務局で共有名義の変更(登記手続き)を行う場合、絶対に必要な税金が登録免許税です。納税額は、「不動産価額(固定資産税評価額)の1,000分の20」となります。 固定資産税評価額が土地建物を合わせて3,000万円の不動産なら、
3,000万円×0.02=60万円
です。
●物件の売却・譲渡益にかかる「譲渡所得税」
不動産を売ったり、誰かに譲ったりした場合、不動産を手放した人にかかるのが譲渡所得税。「2人の名義をどちらか1人にまとめる」共有名義の名義変更は、現金が動いていないのですが、譲渡として認められてしまいます。
ただし、不動産の資産価値を計算して、譲った側に利益が出ていなければ税金はかかりません。また、離婚前に名義変更をする場合、結婚してから30年以上経っていれば最高2,000万円の特別控除を利用可能。
名義変更するのが住宅(居住用の不動産)であり、離婚届を出した後に名義変更する場合、3,000万円の特別控除も使えます。
●条件によってかかる可能性がある税金
そのほかにも
- 不動産を手に入れたときにかかる「不動産取得税」
- 不動産を譲った際にかかる「贈与税」
などがありますが、基本的には非課税です。 ただし、
- 名義変更すると、受け取る財産分与の額が大きくなりすぎる
- 贈与税や相続税などの税金から逃れるための偽装離婚だと判断された
場合、これらの税金もかかります。とはいえ、相手に財産のほとんどを分与したり、莫大な遺産があったりする場合だけなので、あまり気にする必要はないでしょう。
また、名義変更後、1月1日に不動産を所有している人は「固定資産税」を納める必要があります。売却を考えているなら、できるだけ年をまたがないようにするのがおすすめです。
まとめ
共有名義の名義変更手続きは、何かとハードル高いため、必要に応じて不動産や法律のプロを頼りましょう。共有名義の不動産を売却する際は、ぜひ当社までご相談ください。