不動産を売るなら知っておくべき「瑕疵担保責任」の話
2018.11.27不動産を売却するなら、「瑕疵担保責任」について知っておきましょう。瑕疵担保責任とは、家を売った後に何らかの欠陥(瑕疵)が見つかった場合、売り主が責任をもって修理等をするという義務のこと。中古の住宅は、売買する時点で雨漏りや水漏れ等の欠陥を抱えていることも少なくありません。瑕疵担保責任について知らないと、住宅売却後に瑕疵の責任を売り主と買い主のどちらが負うかでトラブルになってしまう可能性もあります。
今回は、トラブル予防のために知っておきたい瑕疵担保責任について解説しました。
瑕疵担保責任とは
まずは、瑕疵担保責任について詳しく説明していきます。
●「瑕疵」とは売却する住宅に潜んでいる劣化や問題点のこと
瑕疵担保責任について解説する前に、押さえておきたいのが「瑕疵(かし)」という専門用語です。
法律用語の一種なので、見聞きしたことのない方も多いでしょう。意味としては、「きず・欠点・過失・欠陥」のことを指します。
不動産の世界では、「住宅に瑕疵がある=住宅に何らかの問題点がある」という意味で使われることが多いです。
ちなみに、住宅の瑕疵を具体的にいくつかご紹介すると、
・雨漏り
・水漏れ
・シロアリ
・ドアの建て付けが悪い
などが瑕疵にあたります。
●売買の時点で買い主が知らない瑕疵は売り主が責任を持つ
コンビニやスーパー等で購入した商品に問題点や欠陥(瑕疵)があった場合、商品を売った店舗が責任を持って返品や返金等を行うのが一般的です。住宅の売買でも、売り主は売却する住宅の瑕疵に一定の責任を持つ必要があります。
問題は、「どこからどこまで売り主が住宅の瑕疵について責任を負うのか」という判断です。
中古の住宅には、経年劣化等で大小さまざまな瑕疵があることも少なくありません。瑕疵によってはお金のかかる大規模な補修工事が必要なものもあるため、「売却した家に存在する瑕疵はすべて売り主が責任を負う」としてしまうと、家を売るリスクが高くなってしまうでしょう。
不動産の場合、「物件の引き渡し時点で買い主が知らなかった瑕疵については、売却後1年間は売り主が責任を負う」と決められています。これが、中古物件の売買における瑕疵担保責任です。
●不動産の欠陥を隠して売ると最悪の場合契約の解除もあり得る
瑕疵担保責任がある以上、売り主は住宅の瑕疵を買い主へしっかりと説明しておく必要があります。
「修理の費用を負担するのが嫌だし、黙っていればわからないから水漏れのことを隠して売ろう」といった取引を行うと、売却後に買い主から賠償等を請求されてしまうからです。
最悪の場合、不動産の瑕疵を隠して売ると、売買契約の解除を求められることもあります。契約を解除すれば、住宅の売却代金を全額返還しなければなりません。
こういったトラブルを避けるために、住宅売却をするときは、どのような瑕疵があるのかを買い主に説明して納得してもらうことが大切です。
売買時点ですべての瑕疵を買い主へ伝えていれば、後から賠償問題が起きることはありません。
瑕疵担保責任によるトラブルを避ける方法
住宅の瑕疵は、素人がちょっと見て回った程度ではわからないことも多いです。瑕疵担保責任によるトラブルを防ぐために、できることをご紹介します。
●家を売る前に住宅に瑕疵がないか検査してもらう
瑕疵の有無を調べるために、第三者機関に依頼しましょう。
売却前に建物の調査や知識調査を行っておけば、どういう瑕疵があってどのような補修が必要なのかをはっきりさせられます。
必要であれば事前に補修を行い、売却額に費用を上乗せするなどの対応も可能です。
●売買契約書で瑕疵担保責任の範囲と期間を決めておく
民法上のルールでは、家を売ってから1年間、売り主が隠れた瑕疵の責任を負う(契約解除や賠償もあり得る)のが基本となります。
ただ、この期間は契約者同士の話し合いで変更可能です。
引き渡し時点で瑕疵担保責任を放棄するという特約をつけたり、瑕疵担保責任を負う期間を短くしたりして、売り主側のリスクを下げましょう。
●瑕疵があることを前提に値引きをする
できるだけ早く家を売りたい場合は、瑕疵があると明記して値引きをするのもおすすめです。理由もなく安い不動産は怪しく見えてしまいますが、「水漏れがあるため、売却後に自分で対処してください」と値引きの理由がわかっていれば話は別です。
住宅の瑕疵を調べ上げ、買い主にしっかり説明したうえで値引きすれば、理由もなく値引きして売り出すよりも売買の成立を早められるでしょう。
まとめ
物件売却後、隠れた瑕疵(水漏れなどの欠陥)が見つかった場合、売り主が責任を持って対処する必要があります。これが、「瑕疵担保責任」です。住宅の瑕疵を知っているのに隠して家を売ると、最悪の場合契約の解除もあり得ます。
売却後のトラブルを避けるため、事前に買い主へどのような瑕疵があるか細かく説明したり、特約をつけて瑕疵担保責任を放棄したりして対処しましょう。