損を恐れず家を売却!マイホーム売却時の税金が安くなる5つの特例とは
2019.02.15
家を売って手元に残るお金は、「売却代金-売却にかかった手数料&税金」で決まります。
マイホームを高値で売却できなくても、売却時にかかるお金を節約できれば、結果的にお得になるのです。
今回は、マイホーム売却時の税金が安くなる5つの特例をご紹介します。
マイホームを売ったときに使える3,000万円の特別控除
自分たちが住むための家、つまりマイホームを売った場合、3,000万円まで特別に控除できるという特例です。通常、不動産を売って利益が出ると、「譲渡所得税」がかかります。
譲渡所得税は、
- 家の売却額-取得費(不動産の建築費用等)-譲渡費用(仲介手数料や印紙税等)
という計算で求める「譲渡所得」に税率をかけ、金額を決めるのですが、この所得から3,000万円控除できるのです。
控除額が大きく、マイホームを売る場合ならどんな人でも利用できるため、使い勝手の良さが最大の魅力。ただし、「3年以上住んでいない家を売る」「不動産を売る前年か前々年に同様の特例を使っている」などの場合には使えません。
なお、「相続した空き家を売却」する場合は、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」という特例を使って、3,000万円控除できます。
10年以上所有しているマイホームを売ると税率が安くなる特例
名前の通り、マイホームを「10年以上」所有している場合に使える税の特例です。
実は、家を売ったときにかかる譲渡所得税は、「家を売った年の1月1日時点で所有期間が5年を越えているかどうか」で税率が変わります。
所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」という扱いになり、所得税の税率は30%に。所有期間が5年を越えていると「長期譲渡所得」という扱いになり、所得税が15%まで下がります。
しかし、所有期間が10年を越えていると、
- 譲渡所得が6,000万円以下:10%
- 譲渡所得が6,000万円を越える場合:(譲渡所得‐6,000万円)×15%+600万円
さらなる軽減税率が適用されるのです。譲渡所得が6,000万円以下なら、単純に税率が5%安くなり、譲渡所得額が7,000万円以上でも税金は安くなります。
実際に、譲渡所得額7,000万円の場合税金がいくらかかるのか、「長期譲渡所得」と「10年以上の特例」で計算して比べてみましょう。
- 長期譲渡所得:7,000万円×15%=1,050万円
- 10年以上の特例:(7,000万円-6,000万円)×15%+600万円=750万円
親子間売買では利用できないなどの条件はありますが、利用できれば大幅に節税ができる制度です。
マイホームの買い換え特例
マイホームを買い換える場合、
- 現在住んでいる家を売る
- 新居を買う
という売却と購入両方の手続きを行います。
家を売ったときに利益が出ると、その金額に応じて譲渡所得税がかかるのはすでに説明した通りです。
ただ、マイホームの買い換えでは、家を売ったお金を新居の頭金に当てたり、家具の購入費等に使ったりするのが一般的。売却時点でたくさん税金を取ってしまうと、新居に使えるお金が少なくなるため、買い換えをする人が減ってしまいます。
そこで、本来かかるはずだった譲渡所得税を、「将来新居を売ったときに持ち越せる」のが、マイホームの買い換え特例です。
譲渡所得税を考えず、旧居の売却代金を全額新居のお金として使えるお得な特例ですが、マイホームを売ったときに使える3,000万円控除とは併用できないといった注意点もあります。
住宅ローンのある家を売って損したときに使える損益通算・繰越控除
「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」は、
- 住宅ローン残債>マイホームの売却額
のときに利用できる特例です。
この特例を利用すると、「損益通算」といって、家を売って出た赤字分を給与所得等から控除できます。
ローンの残債が1,500万円あるマイホームを、800万円で売ったとしましょう。
この場合、譲渡所得はマイナス700万円になるため譲渡所得税はかかりません。ここで、控除後の給与所得300万円の人が特例を利用すると、給与所得300万円と譲渡所得のマイナス700万円を差し引きして、翌年の所得税もゼロになるのです。
また、「繰越控除」といって損益通算は最大3年持ち越せます。年収が3年間同じなら、初年度と2年目は300万円全額控除でき、3年目は余った100万円を余計に控除可能です。
マイホームを買い替えて損をしたときに使える損益通算・繰越控除
マイホームを買い換えて損をした場合に、最大3年間損失分を損益通算・繰越控除できる税の特例となります。基本的に、利用できるシチュエーションが異なるだけで、住宅ローンが残っている家を住宅ローン残債より安い金額で売ったときに使える損益通算・繰越控除と同じ節税制度です。
まとめ
マイホームを売ったときに使える税の特例を活用すると、高額売却できなくても手元に残すお金を増やせます。
ただ、税の特例には利用条件があり、誰もが使えるわけではありません。
年度ごとに内容が変わることも少なくないため、家を売るときはそのとき使えるもっともお得な特例を見定める知識が必要です。住宅売却時に利用できる税の特例について知りたい方は、ぜひ当店へご相談ください。