やっぱり家を売りたくない!不動産売却を中止する場合の注意点
2019.05.09不動産売却手続きは、売り主だけでなく仲介をお願いする不動産会社や、買い主の合意で成立しています。相手側の事情もある以上、キャンセルの仕方やタイミングによって損する場合もあるため、気をつけましょう。
今回は、そもそも不動産売却を中止できるのか、中止できるとしたらどのような点に注意すれば良いのかをご紹介していきます。
そもそも不動産売却は中止できるのか
●不動産業者と合意できれば問題なくキャンセルできる
結論からいうと、不動産売却は中止可能です。
不動産売却手続きそのものが「不動産を売りたい人」と「不動産を買いたい人」の合意によって成り立つ取引なので、関係者の合意さえあればいつでもキャンセルできます。
不動産業者の対応に納得できなかったため途中で仲介業者を変更したり、より良い買い主が現れたので取引を中止したり、買い主が住宅ローン審査に落ちてやむを得ずキャンセルしたりする場合もあるからです。
●買い主と売買契約を交わす前ならキャンセルしてもお金はかからない
買い主と売買契約を交わす前なら、売却手続きをキャンセルしてもお金を請求されることはありません。
なぜかというと、不動産会社から売り主へ請求できる費用や、請求のタイミングは法律によって決められているからです。
状況次第では「実費負担」を求められることもありますが、売り主から不動産会社へ支払うお金は、基本的に「仲介手数料」のみ。
請求のタイミングも、「売買契約を結んでから」なので、売買契約締結前なら費用を支払う必要はないのです。
●売買契約を結んだ後のキャンセルは売買代金の一部を支払う必要がある
不動産売却手続きをキャンセルする場合、売買契約を結んでいるかどうかが大きなポイントになります。
売買契約を交わす前ならいつキャンセルしてもお金はかかりませんが、売買契約を交わした後にキャンセルすると、売買代金の一部を不動産会社や買い主へ支払う必要があるからです。
不動産売却手続きでは、売買契約を結んだときに買い主から「手付け金」を払ってもらうのが一般的。
正式な書類で「不動産を売ります」という契約を交わし、手付け金までもらっているため、売り主側の事情でキャンセルを申し出ると、契約を守れなかったペナルティを受ける必要があります。
具体的には、買い主からもらった手付け金の倍返しとなります。
また、売買契約の締結時に支払った仲介手数料は、売買契約を交わした後に取引をキャンセルすると戻ってこないので気をつけましょう。
●特約によっては無条件でキャンセルできる場合も
ただし、契約書に「住宅ローン特約(買い主が住宅ローンの審査に落ちた場合、契約を無条件で白紙に戻す特約)」等を入れていれば、売買契約後のキャンセルでもお金はかかりません。
特約については契約によって細かい内容が変わってくるため、万が一キャンセルする可能性がある場合、売買契約を交わす前に細かく契約書の内容をチェックしましょう。
不動産売却手続きを中止するときの注意点
●「一般媒介契約」のキャンセルは広告費を請求される場合がある
売り主が不動産業者に物件の広告や宣伝手続きを任せる契約のことを、「媒介契約」と呼びます。媒介契約は大きく分けて3種類あり、なかでも「一般媒介契約」はもっとも制限がゆるいものです。同時に複数の不動産業者と契約できるうえに、基本的には契約期間の定めもありません。
もともと、複数の業者に相見積もりを取って競い合わせるように物件の宣伝・広告をお願いできる契約スタイルなので、一般媒介契約の場合はキャンセルする時期も自由です。ただし、宣伝広告費もタダではありません。一般媒介契約をキャンセルした場合、広告費の実費を請求されてしまう場合があります。
●「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」は途中解約しない方が良い
一般媒介契約よりも厳しい制限がある代わり、特定の不動産業者から優遇してもらいやすいのが「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」です。専任媒介契約・専属専任媒介契約は、宅地建物取引業法で最大3ヵ月までと有効期限を制限されています。有効期間中に途中解約した場合、それまでにかかった広告費用等を請求される可能性もあるため、注意しましょう。
ただ、専任媒介契約も専属専任媒介契約も、「更新したい」と伝えない限り3ヵ月経てば自動的に契約解除となります。契約更新時に書面等で更新しない旨を伝えれば、お金を払う必要はありません。
まとめ
買い主と売買契約を結ぶ前なら、不動産売却手続きはデメリットなしで中止できます。ただ、専任媒介契約・専属専任媒介契約を途中解約したり、売買契約を結んだ後に一方的な事情でキャンセルしたりすると、お金を請求される場合があるため、注意しましょう。
不動産売却手続きに関する疑問について詳しく知りたい人は、ぜひ当店にご相談ください。