マンション売却の疑問を解消!修繕積立金と管理費は戻ってくるの?
2019.05.09「修繕積立金」と「管理費」は、一戸建てにはないマンションならではの出費です。マンション売却をする際、これまで支払ってきた修繕積立金や管理費は手元に戻ってくるのでしょうか。
今回は、マンション売却における修繕積立金と管理費に関する疑問について解説します。
そもそもマンションの修繕積立金と管理費って何?
●修繕積立金は長期的なマンションの補修・改修に必要な費用
修繕積立金は、おもにマンション共用部分の長期的な維持・管理に使うためのお金です。
いくら鉄筋コンクリート造で頑丈なマンションでも、建ててから数十年もすると劣化してきます。安心して住める状態を維持するためには、おおよそ10~15年に一度、外壁を塗装しなおしたりエレベーターや水回り設備の交換をしたりする必要があるのです。
ただし、大きなマンションのメンテナンスや補修工事には数百万円単位のお金がかかります。問題が出てからお金を用意するのは大変なので、一般的なマンションでは住民から「修繕積立金」という名目で少しずつお金を集め、必要になったときすぐに支払いできるよう積み立てているのです。
●管理費は短期的なマンションの維持・管理にかかる費用
一方、管理費はより短期的なマンションの維持・管理に使うための費用となっています。
具体的に説明すると、マンションのロビーや駐車場、エレベーターに廊下といった共用部分の掃除や機器の点検費用などを支払うためのお金です。
管理会社や管理人を雇ったり、業者を呼んで設備点検をしてもらったりするために、マンションの住民は「管理費」を支払う必要があります。
マンションを売ったら修繕積立金と管理費は戻ってくる?
●支払った修繕積立金と管理費は戻ってこない
マンションを売る際、どれだけ高い修繕積立金と管理費を払っていても、お金が戻ってくることはありません。マンションの管理規約にも、たいていの場合「退去者に修繕積立金や管理費を返還しない」と書かれています。
ある程度、新しいマンションで大規模修繕をしていなければ、「まだ使っていないのに」と思う人もいるでしょう。しかし、マンションのきれいさや安全面が維持されているのは、これまでに支払った修繕積立金や管理費があるからこそ。
仮に修繕積立金や管理費を支払っていなければ、マンションの管理に手が回らず、築年数の割に劣化した物件を売ることになってしまいます。
管理に問題のあるマンションは高く売れません。修繕積立金や管理費は、マンションを高く売るための必要経費と割り切りましょう。
●いままで支払った修繕積立金等を売却金額に上乗せするのも難しい
これまでに支払った修繕積立金や管理費を、マンションの売り出し価格に上乗せするのもおすすめできません。マンションを長年所有していた場合、修繕積立金や管理費だけで価格が100万円以上変わってしまうからです。
マンションの売却額は、原則として「売り主がこれまで支払った修繕積立金等も込み」で決まっています。修繕積立金を上乗せした結果、相場より物件価格が高くなれば、「見た目や間取りは周辺の物件と同程度なのに、なぜか周りの家より高い」と、売れ残り物件に仲間入りしてしまうでしょう。
修繕積立金・管理費に関するマンション売却の注意点
●滞納していると査定額が安くなる
修繕積立金や管理費を滞納していると、査定額が安くなってしまいます。理由は、大規模修繕のお金が足りない場合、修繕費用を次の買い主へ請求する必要があるからです。
買い主側に不要なリスクを背負わせることになってしまうことから、修繕積立金や管理費を滞納していると査定額は下がってしまうのです。
●滞納したまま売却すると後日滞納分を請求されてしまうことも
もし、修繕積立金や管理費を滞納したまま売却した場合、買い主から滞納分のお金を請求される可能性もあります。
売り主が滞納してきた修繕積立金や管理費は、区分所有法という法律上、買い主へ引き継がれることになります。ただ、マンションの購入費用とは別に、「前の所有者が滞納した管理費等を払ってほしい」と言われて気分を害する買い主も少なくありません。一旦は立て替え払いをしてくれても、後日、請求されるケースが増えています。
まとめ
マンションの修繕積立金や管理費は、マンションを適切に管理して物件の資産価値を維持するために必要なお金です。マンションを売っても戻ってくることはありません。
また、修繕積立金や管理費を滞納していると物件の査定額も低くなりますし、買い主から後日滞納分を請求される場合もあります。マンション売却を考えているなら、修繕積立金や管理費を支払って物件の価値を維持し、できるだけ高く売りましょう。