不動産売却をする余裕がないなら売却手続きを第三者に委任しよう
2019.06.28
「急な転勤で家を売ることになった」
「自分で売却手続きをしたいけど、親の介護や子育てで忙しくて時間がない」
といった場合は、不動産売却手続きを第三者に委任しましょう。
面倒な手続きを信頼できる第三者に任せてしまえば、適宜報告を受け取っているだけで不動産を売却できます。
ただ、委任時に作る委任状の内容や、誰に委任するかなどの判断によってはトラブルになる場合もあるので、注意が必要です。
今回は、不動産売却手続きを第三者へ委任する際の注意点や、委任状の書き方などについて解説していきます。
不動産売却の手続きは第三者に委任できる
●あくまでも不動産の所有が手続きをするのが基本
不動産売却や不動産の登記変更手続きは、あくまでも不動産の所有者本人が行うのが基本です。
ただ、病気や怪我などで物理的に手続きできない、仕事やプライベートで忙しくて売却手続きをする余裕がないといった場合もあります。
そんなときに使えるのが、「委任」という方法です。
自分の代わりに第三者へ手続きをしてもらえる委任を使いこなせば、どんなときでも安心して不動産売却を進められます。
●売却手続きの委任には正式な委任状が必要
第三者に不動産売却手続きを委任する際に、必要なのが「委任状」という書類です。
委任状とは、「不動産を売る権利」を、正式に他人へ貸し出す契約書のこと。
不動産の売却手続きは、本来なら本人しかできない法的行為です。
不動産の所有者と委任される人の間にどれだけ深い信頼関係があったとしても、口約束では本当に委任しているのかわかりません。
不動産売却は取引で動かす金額も大きく、詐欺も少なくないため、誰から見ても正当な代理人であるとわかるように正式な委任状を作る必要があります。
不動産売却手続きは誰に任せるべき?
●家族・親族
不動産売却の手続きを第三者に委任する場合は、原則信頼できる家族や親族を代理人にするのがおすすめです。
不動産売却では、物件次第で数百万円から数千万円ものお金が動きます。
これまでの付き合いで金銭トラブルになったことがなくても、数百万円、数千万円という金額を目にしたとき、つい魔が差してしまう人もなかにはいるでしょう。
特に、病気や怪我などで権利関係の手続きや売却代金の確認をすぐにできない場合、お金の持ち逃げや着服といった被害に遭うと取り返すのが難しいです。
自分の代理人として売却手続きを任せるということは、時間と手間をかけて各種手続きをしてもらうということなので、他人に任せるならお礼のことも考えておく必要があります。
諸々の面倒事やトラブルの可能性を考えると、不動産売却手続きの代理人は家族や親族に任せられると安心です。
●弁護士・司法書士
家族が遠方にいるなど、家族や親族に代理人を頼めない場合は、弁護士や司法書士に委任するという方法もあります。
弁護士・司法書士は法のプロなので、一般人に比べてトラブルになるリスクが低いです。
また、不動産事案を多数取り扱っている士業なら、売却に関してアドバイスを受けられる場合もあります。
登記の変更や売買契約書の確認など、法律や不動産の知識がないとわかりづらいところも任せられるため、委任のリスクに備えたい場合は弁護士や司法書士を頼りましょう。
トラブルを予防するために知っておきたい委任状の書き方
●「日付」「委任者」「委任される人」「委任の権限」を記載する
委任状は、
- 代理人契約を結ぶ日付
- 代理人契約の委任期間
- 不動産の売却に関する権利を委任する人の氏名と署名捺印
- 委任される人の氏名と署名捺印
- 具体的にどこまで権利を委任するか
を記載していれば、書類の形式に制限はありません。
上記の項目をクリアしていないと、正式な代理人として認められずに売却手続きが破棄されたり、トラブルのもとになったりするため注意が必要です。
第三者に売却手続きを任せるときの注意点
●どこまで・いつまで任せるか明文化する
代理人にどこまで権利を委任するのかは、作成した委任状の記述で決まります。
- 不動産会社を探して契約するまでの手続きを任せる
- 売買契約を結ぶまでの手続きを任せる
- 売却代金の受け取りと確認まで任せる
- 物件の引き渡し・登記の変更手続き・不動産会社への支払いまで任せる
など、代理人に行って欲しい手続きに必要な権利を委任しましょう。
委任する権利の幅や売買の条件を決めておかないと、希望していなかった値引きに応じられたり、逆に売るべきタイミングで不動産を売れなかったりする可能性もあります。
また、正式な委任状を作っても、期限が切れていると意味がありません。
委任期間を長めに取ったり、必要に応じて契約を更新できるようにしたりして、委任状の期限切れに対処しましょう。
まとめ
何らかの事情があって自分で不動産売却できない場合は、家族や弁護士・司法書士などの信頼できる第三者に売却手続きを委任できます。
ただ、委任状の内容や委任する権利の範囲設定を間違えると、売却手続きをスムーズに進められません。
委任状の内容によっては金銭トラブルや契約トラブルが起きてしまうので、委任をするときは委任状の内容を良く確認しましょう。