他人に貸している家は売却できる?賃貸不動産を売却するときの注意点
2019.10.04自分が住むための家と、賃貸不動産は売却時の扱い方が違います。 売却手続きの進め方を間違った結果、住民とのトラブルに発展すると、売却そのものが難しくなってしまうので注意しましょう。
今回は、賃貸不動産を売却する際に押さえておきたい注意点について解説します。
他人に貸し出している不動産の売却方法
●入居者がいても投資用物件として売却できる
所有している賃貸物件に入居者がいてもいなくても、そのままの状態で物件売却は可能です。
賃貸の契約者がいる状態での物件売買は、投資家にとって「購入後すぐに家賃収入を得られる取引」なので、市場では意外と人気があります。 築年数がそれほど古くない物件を売却する場合や、入居者との関係が良好で退去する可能性が低い物件は、他人に貸し出している状態で売ると良いでしょう。
●住民に退去してもらって空き家として売る方法も
- 築年数が古いためリフォームが必要
- 設備の老朽化や故障といった問題がある
- 入居者とのトラブルが起きている
上記のような場合、住民に退去してもらってから空き家として売るという選択肢もあります。
一般的に、投資目的で物件を探す人は、市場にそれほど数がいません。 中古不動産市場の規模を考えると、自分たちが住む家を買うために家探しをする人の方が圧倒的に多いのです。
短期間での不動産売却を成功させたいなら、一旦、空き家にして居住用物件として売り出した方が幅広い層に売り込めるでしょう。
収益物件として家を売る場合の注意点
●居住用の不動産とは売り出し価格の決め方が違う
賃貸不動産のような収益物件は、「購入後に運用するといくら儲けられるのか」を基準にして売り出し価格を決めていきます。 基本的には、家賃が高かったり空室率が低かったりする優良物件であればあるほど、強気の値付けが可能です。
一方、居住用の不動産は、他人に貸し出して家賃を得るわけではないため、周辺地域の取引事例や相場、築年数等によって売り出し価格を考えます。 同じ物件でも、投資家に向けて売るか、それとも自分の住まいを欲しがる人へ向けて売るかによって価格の決め方が違うので、注意が必要です。
不動産を収益物件として売却する場合は、将来的な収益性がどれくらいあるのかを考えて値付けを行いましょう。
●入居者がいる状態だと購入希望者に内覧してもらえない
売りたい物件を他人に貸し出している場合、基本的に内覧を希望されても物件を案内できません。 不動産の売却手続きは、あくまでも買い主側の事情です。 入居者がわざわざ部屋の中を見せる理由がない以上、協力してもらうのは難しいでしょう。
内覧なしでの売却は、家の現況を細かくチェックできないという点で、内覧できる物件に比べて不利です。 内覧できない代わりに、間取り図や設備のメンテナンス記録を用意したり、住民に頼んで内部の写真を撮らせてもらったりしてから、売却手続きを進めることをおすすめします。
●買い主が決まったらオーナーの変更を通知する必要がある
入居者のいる状態で収益物件として家を売る場合は、入居者へオーナーの変更を知らせましょう。 売却手続き自体は入居者の了解や承諾がなくても進められますが、オーナーが変わった後も入居者から問い合わせが入ると面倒だからです。
家賃の支払い口座や緊急時の連絡先などを更新してもらうためにも、売り主と買い主の連名でオーナー変更を通知することをおすすめします。
住民に退去してもらって空き家として売るときの注意点
●入居者に退去してもらえるかどうかは契約次第
基本的に、「大家の都合で空き家にしたいから」という理由で、入居者を追い出すのは困難です。 日本では、法律によって入居者の居住権を強力に保護しているため、住民に出ていってもらうためには正当な理由や契約の変更が必要になります。
おすすめの対処法は、賃貸契約の更新時に「定期借家契約」へ変更することです。 定期借家契約とは、最初に決めた契約を満了した時点で、契約を更新せずに破棄する契約のこと。
一般的な賃貸契約だと、入居者側が更新を希望した場合、特別な事情がない限りオーナー側は更新を拒否できません。しかし、途中で定期借家契約へ切り替えておけば、契約の満了とともに入居者へ出ていってもらえるので手続きが楽です。
●場合によっては立ち退き料や引っ越し料金の負担が必要
タイミングの関係等で定期借家契約へ変更できない場合は、入居者と交渉して出ていってもらう必要があります。 ただ、大家の事情で引っ越すことを嫌がる入居者は多いです。 入居者との交渉をうまく進めるために、住民に立ち退き料や引っ越し料金を支払うことも検討しておきましょう。
まとめ
他人に貸している賃貸不動産は、住民の了解がなくてもそのまま売却できます。 ただし、収益物件として売る場合と、住民に退去してもらって空き家として売る場合では、売り出し価格や売却手続きが変わってくるため、注意が必要です。
特に、空き家として売るためには、賃貸契約の変更や立ち退き交渉等も必要になってきます。 当事者同士ではうまく交渉できない場合も多いので、わからないことは信頼できる不動産会社へ相談するのがおすすめです。