契約書の内容を解説!不動産売買契約の解除に関する条件とは?
2019.12.24
不動産の売却契約は、売り主と買い主との間で交わす正式な契約なので、「何となく売りたくない」「相手の態度が気に入らない」といったあいまいな理由でキャンセルすると、大きなトラブルに発展してしまいます。
トラブルを避けつつ売買契約をキャンセルできるように、契約解除に関する項目について知っておきましょう。
今回は、不動産売却の必須書類である売買契約書の中から、売買契約の代表的な解除条件を6つ解説していきます。
売買契約書や重要事項説明書で決める売買契約の解除条件6つ
1.手付解除
手付解除とは、
- 売り主:売り主から契約解除を求める場合手付金を倍返しする
- 買い主:買い主は手付金を諦めれば売買契約をキャンセルできる
という契約解除条件のことです。
一般的に、売買契約を結ぶ場合、売り主は買い主から売却代金の20%程度を上限とする「手付金」を支払ってもらいます。
手付金をやり取りする理由は、安易なキャンセルを防ぐため。「一方的な都合でキャンセルする場合、払った手付金は戻ってこない」という条件があるからこそ、不動産購入の意思が固い買い主を厳選できるのです。
また、売り主側からの一方的なキャンセルに「手付金の倍返し」というペナルティーを課すことによって、「より条件の良い買い主を見つけたから、この取引は解除する」といった横暴な振る舞いもできないようにしています。
2.物件の危険負担による契約解除
物件の危険負担による契約解除とは、売買契約書を交わした後、物件の引き渡しまでに火事や地震等が起きて住めなくなった場合、買い主側からリスクなしでキャンセルできるという解除条件のことです。
民法における「危険負担」では、何らかの契約を結んでから相手へ引き渡すまでに起きたトラブルは、買い主の責任になると定めています。
ただ、地震や火事で全壊した家の修繕や建て替えは買い主の責任なのだから、当初の契約通り売却代金を払うべきというルールは、買い主側の負担が大きすぎて不公平です。
そこで、不動産の売買契約では、物件の危険負担による契約解除の条項を設けて買い主側の負担を抑え、スムーズに買い主を見つけられるよう工夫するのが一般的です。
なお、2020年4月以降、民法の改正によって危険負担は原則売り主負担になります。
売買契約書の内容も変わるため、2020年4月以降に家を売る人は契約書の確認を忘れずに確認しましょう。
3.契約内容を守れなかったときのペナルティー
売り主、または買い主が売買契約書の条件を守れなかった場合、相手に対して違約金を支払って契約解除するという条件です。
先程ご紹介した「手付解除」も、契約内容を守れなかったときのペナルティーに含まれます。
ただ、契約違反によるペナルティーの内容は範囲が広く、
- 物件の売却代金を払えなかった
- 登記に関する手続きに不備がある
- 売り主・買い主のどちらかに反社会的勢力の関与があった
- 手付解除をできる期限を過ぎた後の無理な契約解除
といったさまざまなトラブルに対応できるのがポイントです。
お互いにリスクを負うことで、公平な取引をするためのルールなので、どのようなケースで違約金が発生するのか確かめておきましょう。
4.住宅ローン審査に落ちた場合のキャンセル特約
不動産売却手続きでは、「住宅ローン審査に落ちた場合」を想定したキャンセルの特約を設定しておくことをおすすめします。
住宅ローンの本審査は、売買契約書を交わした後に申し込むのが一般的です。審査落ちした人に対して、「契約書の通り家を買うという約束を破ったため、違約金を請求する」のは現実的な対応とはいえません。
住宅ローン審査は、誰でも落ちる可能性があります。
だからこそ、「住宅ローン審査に落ちた場合、違約金なしで売買契約を解除できる」という特約を作るのです。
5.借地権売却の同意を取れなかった場合の契約解除
他人の土地に建てている家、いわゆる借地権の不動産を売却する場合、事前に地主の許可を得る必要があります。
借地権に関する解除条件の内容は、地主から売却の許可を取れなかった場合、一定期間内なら無条件で契約を白紙に戻せるという内容です。
借地権のある物件はただでさえ売るのが難しいため、売却トラブルを防げるように解除条件を設定しましょう。
6.物件の瑕疵を伝えなかったことによる契約解除
宅地建物取引業法では、「物件の重大な瑕疵(欠点・問題点)を買い主へ詳しく説明する義務」を設けています。
瑕疵担保責任と呼ばれる説明義務を果たさずに売ると、後日損害賠償や売買契約の撤回を求められる可能性が高いです。
しかし、売買契約書内で請求期限や請求の条件を決めておけば、売り主側のリスクもある程度は抑えられます。
まとめ
不動産売買では、契約解除に関する条件を事細かに決めておくことが重要です。
万が一に備えて契約書を作り込むことで、売り主・買い主双方の利益を守れます。ただし、契約書の内容は小難しく、知識がないとなかなか理解できません。
今回の記事で興味を持ち、さらに詳しく売買契約の解除条件について知りたくなったら、ぜひ当店にお問い合わせください。