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原価法や事例比較法とは?不動産査定価格の計算方法を詳しく解説

2020.01.06

不動産査定価格の計算方法

不動産売却取引において、売り主の大半は不動産売却の知識を持たない素人です。
もちろん、専門知識を持たない人をサポートするためにプロがいるため、売り主としてプロの不動産業者が使う査定額の求め方まで知っておく必要はありません。

しかし、知識があれば、悪徳業者がおかしな査定を出してきたときに、怪しい相手との契約を避けられます。

今回は、不動産売却時に利用されている、3つの計算方法の内容を詳しく見ていきましょう。

不動産査定価格の計算方法は3種類

プロの不動産業者が使っている査定価格の計算方法は、

  • 原価方式
  • 取引事例比較法式
  • 収益還元法式

の3種類があります。
不動産の条件や状況によって、査定方法を変えるのが一般的です。
まずは、簡単に3種類ある計算方法がどのようなものなのかを確認していきましょう。

●原価方式

原価方式は、「いま該当の不動産を新しく建てた場合にかかる費用」を求め、そこから経年劣化を差し引いて現在価値を求めるという計算方法です。

「30年前の1,000万円」と、「現在の1,000万円」の価値は違います。
「いま現在の物価で、同等の不動産を手に入れるためにかかる金額」を求めることで、物価のずれを埋めるのが原価方式です。

住宅の修繕歴等、経年劣化によって下がる価値を計算するための資料が揃っている場合によく使われます。

●取引事例比較法式

取引事例比較法式は、「同じエリアで、同じような条件の物件がいくらで売れたのか」を調べ、その相場からおおよその査定額を求める方法です。

駅近の人気エリアや都市の中心部の物件によく使われる手法ですが、へき地で参考にできる売却事例がほとんどない場合は使えません。

●収益還元法式

収益還元法式は、「対象の物件が使えなくなるまでに生み出す利益」と、「不動産の入手や管理にかかった経費」を差し引き、残った金額を査定額にするという計算方法です。

より複雑な計算をして細かく売却額を決める方法もありますが、先に紹介した2つの計算方法と違って、基本的に収益不動産、賃貸物件を売る場合にのみ使用します。

原価方式の中身を解説

原価方式の特徴は、経年劣化の程度をできるだけ正確に割り出すため、以下のような複数の「係数」を使って査定額を補正することです。

  • 規模修正率:基準値より広いか狭いかによって査定額を調整する数値
  • 新耐震基準適合性:新耐震基準を満たしていない場合査定額ダウン
  • 建物全体の品等格差率:高級な建材を使っていると査定額アップ
  • 現価率:建物を細かく部位ごとに分割して出した残存価値。リフォーム等をしていると査定額が上がる
  • 付加価値率:省エネ設備等があれば加点。査定額アップ
  • 住宅性能率:住宅性能が良く、性能を保証する書類があると査定額アップ

上記のような係数を「現在同じ仕様の家を建てた場合にかかる費用」にかけて、最終的な査定額を求めます。

取引事例比較法式の中身を解説

取引事例比較法式の手順は、以下の通りです。

  • 売却物件と似ている過去の売却データを検索して相場を求める
  • 現地査定を実施して別途劣化等を確認
  • 家の広さや流通性比率(市場に出した場合の売りやすさ)等を使って補正

マンションなら同じマンション内で過去売買された事例を、一戸建てなら同じエリア内で売却された同等の物件の売却事例を参考にします。

ただ、お手本にできる事例が少ないと、「どうしてその査定額になるのか」という根拠が弱まってしまうため、査定額を信用できるかどうかはエリアや業者次第です。
家を売るタイミングや需要によっても不動産の売却額は変わるため、できるだけ多くのデータを集めて、細かく補正する必要があります。

収益還元法式の中身を解説

収益還元法式による計算方法は、

  • 直接還元法
  • DCF法

直接還元法の計算式は

(1年間の家賃収入-1年間の経費)÷還元利回り

です。
実際の不動産収益を、「○万円投資した場合、年間何%の利益が手に入るのか」を示す「還元利回り」で割ることで、「将来得られる利益」を査定額に上乗せする方法です。
駅近など、人気のエリアだと還元利回りも査定額も高くなります。

一方のDCF法は、「いま不動産を買って将来売るまでに手に入る利益」から、「将来購入した物件を手放したときの売却額」を差し引くことで、「より詳しい利益」を査定額にする計算方法です。

不動産投資の出口戦略までを考えているため計算方法は非常に複雑ですが、直接還元法よりも細かい数字を求められます。

まとめ

原価法式・事例比較法式・収益還元方式といった不動産の査定方法を知っていれば、明らかに相場と合わない査定額を提示されたり、なぜその価格になるのか不明瞭だったりした場合に、「この金額はおかしいのでは」と指摘できるでしょう。
不動産売却において、知識は悪徳業者から大切な財産を守る盾となります。

ただ、不動産売却の専門知識を完全に理解するのは難しいので、最低限の知識を押さえたら、信頼できる不動産業者を探すのがおすすめです。

 

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