不動産売却の豆知識!共有名義の不動産って何?売却できるの?
2020.01.06不動産売却手続きを進めるためには、法的な所有者である名義人の同意が必要不可欠です。
ただし、普段、生活している中で、不動産の名義について考える機会はそう多くありません。
「名義」や「共有名義」といわれても、どういう意味かわからないという人も多いでしょう。
そこで今回は、そもそも共有名義とは何なのか、また共有名義の不動産は売却できるのか等を解説していきます。
そもそも不動産の共有名義って何?
●共有名義=不動産の名義を複数人で同時に持つこと
共有名義とは、不動産の名義(法的な所有権)を複数人で分割して所有している状態のことです。
不動産の所有権は、必ずしも一人で100%所有する必要はありません。
法務局で手続きをする際、ひとつの不動産に対して複数人の名義を設定すれば、所有権を分割できます。
具体的には、
「夫婦でお金を出し合って家を建てたため、自宅の権利を50%ずつ分けた」
「夫婦の収入を合算してローン審査を突破するために、共有名義で家を建てた」
「相続トラブルを避けるため、不動産を共同名義で相続し、金額的に公平な相続をした」
といった事情で、不動産の名義を分割するケースが多いです。
●所有権の割合は持分によって決まる
所有権の割合は、原則不動産を手に入れる際に出したお金の額によって決まります。
たとえば、夫婦で家を購入する際に、夫が8割・妻が2割のお金をそれぞれ負担していれば、名義の持分も8:2の割合にするのが一般的です。
なお、相続に合わせて不動産の名義を共有する場合は、法定相続分や故人の遺言を参考にして持分の割合を決めることになります。
●不動産の名義や持分は法務局で確認可能
不動産の名義や持分は、最寄りの法務局で確認可能です。
なお、登記の書き換えなどに関しては、法務局の窓口へ足を運んで手続きをする必要があります。
しかし、不動産の名義などが記載されている「登記事項証明書」は、オンラインでも請求可能です。
ネットで申請した登記事項証明書は自宅へ郵送してもらえるので、仕事や家事などで法務局へ向かう余裕がない場合は、事前に取り寄せておきましょう。
共有名義の不動産は売却できる?
●共有者が全員同意していれば不動産そのものを売却できる
不動産売却の前提として、不動産を売るためには「名義人の同意」が必須です。
共有名義の場合、同意を取るべき名義人の数が単純に多いので、家や土地を丸ごと売るためには共有名義人全員の了解を得る必要があります。
もし、名義人の誰かが売却を拒否した場合、不動産そのものの売却はできません。
相続や持分の売買などで名義人が会ったことのない他人になっていたり、ほかの名義人の連絡先がわからなかったりするケースもあるため、名義人が多ければ多いほど売却の難易度は上がってしまいます。
●「自分の持分だけ」を売却することも可能
家を丸ごと売るためには、持分を持つ名義人全員の同意が必要です。
ただし、「自分の持分だけ売る」なら、他社の同意を得る必要はありません。
たとえば、夫婦二人で半分ずつ自宅の名義を共有している場合、離婚等の事情があれば、自由に自身の持分を売却できます。
共有名義の不動産売却を考えていて、名義の所有者と意見をすり合わせられないときは、持分売却を検討すると良いでしょう。
ただ、「家の所有権を半分売却」するより、「家を丸ごと売却する」方が、手続き的には簡単です。
自身の所有権を売っても、他に名義人がいる状態だと、安心して住まいを買い主へ引き渡せません。
持分を売るなら、場合によって賃貸運用や同居等も考えられる、家族や共有者といった身内へ売却しましょう。
●自分の持分を放棄して相手に委ねる方法もある
共有名義の不動産を売りたいのに、共有者全員の同意が取れずに売却できない場合は、自分の持分を放棄してしまうのも一つの手です。
自身の持分を処分してほかの名義人に渡せば、以降の不動産管理に協力する必要はなくなります。
また、名義を手放すことで、毎年かかる固定資産税などの維持費を負担しなくて良くなる点もメリットです。
●ほかの共有者の持分を買い取ってから売却するという方法も
「家を丸ごと売りたい」
「売却について共有者に口出しされたくない」
なら、ほかの共有者の持分を自分が買い取り、不動産の名義を100%自分のものにしてから売るという手もあります。
お金を出して相手の持分を買い取ってしまえば、好きなタイミング・条件で売却可能です。
まとめ
不動産の所有権は、共有名義にすれば複数人で分割できます。
ただし、不動産を丸ごと売るためには、共有者全員の同意が必要です。
場合によってはうまく同意を得られず、売却手続きを始められない場合もあるので、共有名義の不動産を売るときは、必要に応じて名義の放棄や売買も視野に入れましょう。
とはいえ、共有名義の不動産は市場で不人気です。親族や他の名義人へ売った方が良い場合もあるので、深刻なトラブルにならないように普段から家族や親族と良好な関係を保っておくことをおすすめします。