離婚時に住んでいる家を売却する際のポイント
2020.01.06夫婦が離婚をする場合、結婚中に築いた財産をお互いで分け合う必要があります。
そこで問題になってくるのが、持ち家の扱いです。
不動産は、預貯金等の現金と違って簡単に分割できません。
売却して現金化するとしても、売り方を間違えたり悪徳不動産業者と契約したりすれば、せっかくの住まいを買いたたかれてしまうでしょう。
今回は、離婚時に住んでいる家を売却する際のポイントや、注意点を解説していきます。
夫婦が離婚をする場合は共有財産の分与が必要
夫婦が離婚をする場合、財産分与という手続きが必要です。
財産分与とは、文字通り「夫婦で築いてきた財産を互いに分与する」こと。
たとえば、夫の収入を貯蓄した夫婦の預貯金や、結婚後に買ったマイカー、掛け金を支払ってきた保険等も話し合って分配します。
もちろん、結婚後にローンを組んで購入した不動産も、財産分与の対象となります。
ただ、資産価値の高い不動産は、現金のように気軽に分割できません。
多くの場合、家を受け取った側が金額的には大きく得をすることになってしまいます。
また、「夫名義のローンで建てた家に離婚後妻と子が住み続ける」など、住む人とお金を払う人が違う場合、離婚後に「自分が住まない家のローンを払いたくない」と支払いを拒否されるといったトラブルも起こりやすくなります。
ローン支払いや財産分与の扱いでのトラブルが心配な場合は、思い切って不動産を売ることを考えましょう。
離婚に合わせて住まいを売る際のポイント
●衝動的に売却せず黒字になるかどうかを見極めてから売る
離婚に合わせて自宅を売る場合、最低でもローンを完済したり、多少の黒字を出せるかどうかを検討したりしてから売却を始めましょう。
中古の不動産は、多くの場合売り主が考えているほど高くは売れません。
衝動的に売却を決めると、売却額が低くてローンを完済できず、お互いの貯金から費用を出すことになったり、金銭的に損をしたりする可能性もあります。
●売った方が損をする場合はどちらかが住み続けるのも一つの手
売却額よりもローン残債の方が大きいなど、家を売った方が損をする場合は、売らずに夫婦のどちらか一方が住み続けるのもおすすめです。
ただ、家を受け取る側が預貯金をある程度、諦めたり、ローンの名義人になって自身の収入から返済を進めていったりする必要があるため、注意しましょう。
●不動産業者を探す場合は相見積もりを利用する
不動産の査定結果や実際の売却額は業者によって違うため、より条件の良い業者と契約できるように、複数業者から相見積もりを取りましょう。
ただ、本格的な査定には時間もかかります。
離婚の手続きを早く進めたい場合は、一括査定サイトなどでおおまかな相場を把握してから、通いやすい地元の不動産業者に相談するのがおすすめです。
●3,000万円の特別控除を利用して売る
通常、家を売って利益が出ると、「譲渡所得税」という税金がかかります。
しかし、税制には「マイホームを売ったときの特例」というものがあり、3,000万円の特別控除を利用すれば、大抵の場合、非課税で自宅を売却可能です。
なお、税の特例は、利用条件を満たしている人が自分で申請する必要があります。
離婚時に住まいを売却するなら、「特例がある」「特例を使える」ことを知ったうえで活用しましょう。
夫婦で住んでいた家を売る場合の注意点
●結婚前にどちらかが購入した家は財産分与の対象にならない
財産分与の対象は、「婚姻期間中に夫婦で協力して築き上げた財産」です。
家族で住んでいても、結婚前に夫婦のどちらかが購入している住まいなら、個人の財産なので財産分与の対象にはなりません。
同様に、結婚後に手に入れたものであっても、相続によって得たものであれば、あくまでも個人の財産なので財産分与の対象外です。
●離婚届を出してから不動産売却を開始する
離婚届を出す前に、夫婦間で自宅の名義変更をして所有者を変えたり、家を売ったお金を分配したりすると、贈与と見なされて贈与税がかかります。
離婚時に家を売るときは、離婚協議書を作り、離婚届の提出と同時にお金や財産を分配できるように手配するのがおすすめです。
●共有名義にしている場合はお互いの同意を得てから売る
夫婦でお金を出し合って名義を共有している場合、売却前にお互いの同意を取りましょう。
自分が持っている権利だけを売却することも可能ですが、「一般住宅を半分自由にできる権利」を売り出しても、好条件の買い主はなかなか見つけられません。
名義人である夫婦の両方が協力して売り出した方が高額売却を狙いやすくなるので、メリットも多いです。
まとめ
勢いで住まいの売却を決めたり、実力のない不動産業者に売却を任せたりすると、夫婦が納得できる金額や条件で持ち家を売れません。
離婚に合わせて家を売る場合は、「そもそも家を売った方が得なのか」「税の特例の利用条件を押さえているか」「物件の売却額を下げてしまうような売り方をしていないか」といったポイントに気をつけましょう。