道に接していない不動産の売り方!無道路地の売却方法を解説
2020.01.06もし、これから売りたいと思っている土地が、周辺の土地に一切接していない「無道路地」だった場合、売却する前に販売戦略を立てましょう。
無道路地や袋地と呼ばれる不動産は、数ある土地の中でも売却するのが難しい不動産の一つです。
単純に売り出すだけだと、条件の合う買い主を見つけられずに売れ残ってしまうため、今回は無道路地売却が難しい理由や、無道路地をうまく売るための解決策などを解説していきます。
「無道路地」は査定額が大きく下がる
●無道路地とは?
無道路地とは、「周囲の道路に一切接していない土地」「土地の周りをすべて他人の土地で囲われている土地」のことです。
直接道路とつながっていないため、土地へ出入りするためには、隣地の所有者や私道の持ち主に許可を取って通らせてもらう必要があります。
ただ、無道路地や袋地の所有者に対して通行許可を出してもらえるかどうかは、隣地・私道の所有者次第です。
万が一、相続や売却の際に隣地の所有者が次の所有者を「通行禁止」にした場合、土地や家へ出入りできなくなってしまいます。
なお、
・道路との接地面が2メートル未満
・接している道路の幅が4メートル未満
の土地も、無道路地として扱われるため、注意しておきましょう。
●無道路地の査定が下がる理由
無道路地は、一般的な土地に比べると、圧倒的に査定額も取引相場も安いです。
なぜなら、無道路地は「接道義務」を満たしておらず、法律上「建て替え」ができないから。
建築基準法の第43条では、土地に建物を建てる場合、道路幅4メートル以上の道路に、最低でも2メートル以上接することを義務づけています。
接道義務を満たしていない土地は、消防車や救急車といった緊急車両を横付けできないので、老朽化した建物を解体しても、新しく建て替えできないのです。
無道路地の空き地を買って建物を建てたり、既存の建物を取り壊して建て替えたりするためには、「幅4メートル以上の道路に2メートル以上接する」ように土地を広げたり、土地の形を変えたりする必要があります。
また、旗竿地などのように、「2メートル以上道路に接しているが、目の前にある道路の幅が4メートルない」土地だと、道路の中心から2メートル下がって自分の土地を道路として明け渡す、「セットバック」という対応も必要です。
セットバックをすると、せっかく買った土地が狭くなるうえに、敷地を後退させる工事の費用も買い主が負担することになってしまいます。
・法的なルール上建て替えができない
・建て替え・新築するためにお金がかかる
という事情から、無道路地は査定額が低く、売るのも難しいのです。
無道路地はどうやって売るのか?無道路地の売却方法
●私道や隣地を買い取って売るのが一番無難
無道路地は、多くの場合、そのまま市場へ売り出しても買い主を見つけられません。
そこでおすすめしたいのが、「隣地の買収」です。
道路につながっている隣地や、自分の土地と接している私道を買い取って接道義務を満たしている状態にすれば、一般的な土地と同じ条件で売却できます。
ただし、隣地の所有者が必ず売却に同意してくれるとは限りません。
●隣地の所有者に売却するのも一つの手
自分の持っている土地を、隣地の所有者に売却するという方法もあります。
隣地の所有者からすると、一般的な土地を買うよりも安く土地を広げられるため、交渉次第で同意してもらえるでしょう。
●隣地購入の交渉はプロの不動産業者に任せるのがおすすめ
隣地を購入する、または隣地の所有者に自分の土地を売る場合、売却の交渉はプロの不動産業者に任せるのがおすすめです。
土地の売買取引は、感情的にこじれると取り返しがつきません。
これまでの関係性から土地の売却を断られたり、足元を見て値段をふっかけてきたりする可能性を考えると、専門知識を持ち、冷静に話し合ってくれる第三者を頼った方が安心です。
無道路地を売る際のポイント
●隣地を買い取る前に無道路地の査定を取ろう
隣地の買収を考えているなら、前もって無道路地の査定をしておきましょう。
一般的な土地よりも査定額は下がりますが、隣地なら査定結果は似たようなものです。
適正価値を知っておけば、相手が値段をふっかけてきても反論できるでしょう。
●周辺地域の相場情報も調べよう
また、自分の土地だけでなく、周辺の土地相場を調べることも重要です。
地域の相場が分かれば、できるだけ相場に近い金額で交渉できます。
不動産のポータルサイトや一括査定サイトで大まかな相場を把握し、そのうえで信頼できる地元の不動産業者に相談するのがおすすめです。
まとめ
接道義務を果たしていない無道路地は、そのまま売り出しても期待する金額で売れません。
しかし、隣地を買い取ったり、隣地の所有者に自分の土地を売却したりすれば、売るのが難しい土地でも処分できます。
ただ、不動産売却の交渉を当事者同士でやると、話し合いがもつれやすいです。
売却交渉は、無道路地の査定や周辺相場を調べ、売却に向けた準備をしたうえで、信頼できる不動産業者に任せましょう。