不動産売却時の心強い味方!不動産鑑定士のメリットや利用法とは
2020.02.04不動産は、相場より高すぎても安すぎてもなかなか売れません。
そこで重要なのが、不動産の適正額を調べる査定の作業です。
ただし、不動産業者による査定は、会社によって金額が変わってくるため、正確な適正額を調べるのが難しいという問題点があります。
客観的かつ公平な不動産の価値を知りたい場合は、不動産鑑定士への依頼を検討してみましょう。
今回は、不動産売却時に不動産鑑定士を利用するメリットや、依頼の出し方について解説します。
不動産会社だけでなく不動産鑑定士にも査定をお願いできる
●不動産鑑定士とは
不動産鑑定士とは、「不動産の鑑定」を業務として行う資格職です。
「不動産の鑑定評価に関する法律」によって定められた方法を使って、土地や建物の客観的な資産価値を計算してくれます。
●不動産鑑定士による鑑定と不動産業者による査定の違い
不動産鑑定士による鑑定と、不動産業者が実施している査定の違いは、「資産価値の計算方法に明確なルールがある」ことと、「不動産鑑定評価書を作成できる」ことです。
不動産業者による査定は、統一した計算方法や価値基準の判定方法を使っているわけではないため、業者側が好きなように査定結果を操作できてしまいます。
だからこそ、不動産業者によって同じ土地・建物の査定額に差が生まれるわけです。
しかし、不動産鑑定士による鑑定では、国の基準が使われます。
自己判断で数字を手直しできないため、基本的に不動産業者による査定額よりも、不動産鑑定士が出した鑑定結果の方が正確です。
また、不動産鑑定士に土地・建物の査定をお願いした場合、「不動産鑑定評価書」という書類を発行してもらえます。
不動産鑑定評価書は、裁判などでも証拠として認められる非常に効力の強い書類で、不動産鑑定士の資格を持っている人しか作成できません。
不動産鑑定士に査定を依頼するメリットとデメリット
●より客観性の高い査定結果がわかる
不動産鑑定士に査定をお願いする最大のメリットは、先ほどご紹介した「不動産鑑定評価書」を発行してもらえることです。
正直なところ、「マイホームの売却」など、ごく私的な不動産売却をする場合は、不動産鑑定評価書を作るメリットはあまりありません。
しかし、
- 自分や親族が経営している企業が持っている土地や建物を、自分に売却する
- 相続した不動産を売却して、その代金を相続人で分割する
- 不動産業者の相見積では会社によって価格が大きく違うため、正確な価値が知りたい
といったケースだと、不動産鑑定評価書が適切な取引の証拠になります。
売却トラブルから裁判を起こされたり、税務署から「過剰に安く売却したのではないか」と疑われたりしたとき、公平かつ客観的な価値で売ったと証明できるのは、大きな強みです。
また、不動産鑑定士に不動産の価格を調査してもらえば、買い主から無理な値引きを持ちかけられても応じる必要がありません。
●鑑定費用として高ければ50万円前後の費用がかかる
不動産鑑定士に不動産鑑定評価書を作成してもらう場合、50万円前後のお金がかかります。
とはいえ、不動産鑑定評価書の作成費用は鑑定士によって異なるため、あくまでも目安だと考えておきましょう。
なお、高額な資産であればあるほど鑑定料も高くなるので、一般的な戸建てやマンションの売却価格を調べたい場合は、やや割高です。
●鑑定結果が出るまで2週間ほど時間がかかる
不動産鑑定士による査定は、不動産業者の行う査定に比べると、非常に細かく手間もかかります。
そのため、鑑定を頼んでから2週間前後は待つ必要があると考えておきましょう。
ただし、時間がかかることを差し引いても、不動産鑑定士に出してもらう査定・鑑定結果には大きな効力があります。
メリットとデメリットを比較して、費用と時間をかけた方が良いと判断できるなら、不動産鑑定士へ査定を頼みましょう。
不動産鑑定士に査定を依頼する際の流れ
不動産鑑定士に査定を依頼する際の手順は、以下の通りです。
- 近隣の不動産鑑定士事務所を見つける
- 査定の見積をお願いする
- 価格や査定期間に満足できれば鑑定を依頼
- 料金を支払う
なお、不動産の査定料は事務所によって違います。
なかには、見積の時点で出張料等がかかる事務所もあるので、見積を頼むときも料金の確認は必須です。
できれば、複数の不動産鑑定士事務所をピックアップし、相見積をして契約する鑑定士を決めましょう。
まとめ
不動産業者の見積を信用して良いのかわからない、不動産売却額に関する相続トラブル等を予防したいといった事情があるなら、業者の見積とは別に、不動産鑑定士に査定・鑑定を依頼するのがおすすめです。
ただし、不動産鑑定士に査定をお願いする場合、約50万円の依頼料と2週間前後の時間がかかります。
トラブル予防の観点から考えると、実際に依頼しなかったとしても、「何かあったら不動産鑑定士に依頼する」という選択肢を持っておくことが大切です。
状況次第で不動産鑑定士を利用すべきか、依頼しない方が良いのかが変わってくるため、必要に応じて不動産鑑定士を利用できるように、下調べを進めておきましょう。