column 366.

老人ホームに入った親の家を売る方法は?メリットや税制優遇を解説

2020.03.25

老人ホームに入った親の家を売る方法は?メリットや税制優遇を解説

人が住まなくなった住まいは、想像以上の速度で劣化します。
傷んだ住宅は、将来的に家族が住んだり、売却したりするのも難しくなるので、高齢の親が老人ホームに入った後に住む予定がない場合は、実家の売却を検討しましょう。

ただし、不動産の売却は、所有者本人の同意が必要な手続きです。

そこで今回は、老人ホームに入った親の住まいを売却する方法と、早めに実家を手放すメリット等を解説します。

本人の意思確認が取れる場合は代理人経由で売却可能

●介護施設に入った本人が売却をするのは難しい

不動産売却は、基本的に「不動産の所収者本人」だけができる手続きです。
しかし、介護施設に入所してしまうと、実家の所有者である親は外出が制限されてしまいます。

相談や見積もりの度に不動産業者を介護施設に呼んだり、外出許可を取って本人が店舗まで足を運んだりするのは現実的ではありません。

そんなときに利用できるのが、代理人制度を使った売却です。

●代理人契約に必要な書類

老親の代理人を立てて実家を売却する場合、以下を用意する必要があります。

  • 委任状
  • 実家の所有者である親と代理人の印鑑証明書
  • 親・代理人双方の本人確認書類

上記の書類がないと、不動産業者に正式な代理人として認めてもらえません。

●委任状作成時の注意点

委任状を作るときは、「誰に」「何の手続きを」「どこまで」委任するかを必ず決めましょう。

「認知症の本人をだまして取った同意だから、売却は無効だ」といったクレームが親族から入った場合、代理人契約に問題があると話が面倒になってしまいます。

少しでもトラブルを避けたい場合は、司法書士や弁護士などのプロに頼んで、委任状を作ってもらいましょう。

●親が認知症を患っている場合は法定後見制度を利用する

高齢者を詐欺等の被害から守るために、認知症の人が交わした契約は、原則として無効になるとされています。

そんなときに使えるのが、自分で判断できなくなった人に代わって、本人のための財産管理等ができる「法定後見制度」です。

ただし、成年後見制度は、家庭裁判所での申請や医師の診断書が必要な手続きですし、後見人自体も裁判所による指名制となっており、申立人が100%後見人になれる保証もありません。

手続きそのものが非常に複雑なので、利用する場合は不動産業者や弁護士と連携を取りましょう。

物件相続後に売却するという手段もある

「代理人契約や法定後見制度を利用するのが面倒」だと感じる場合は、実家を相続するまで定期的な掃除と換気だけをしておいて、相続後に売却するという手もあります。
これは、相続後は実家の所有権も正式に売り主のものになり、売却手続き自体が簡単になるからです。

ただし、物件相続後に実家を売る場合、不動産を売ったときにかかる譲渡所得税以外に、「相続税」の納税も必要になってきます。

築年数の経過によって、不動産の資産価値も落ちてしまうため、基本的には早めの売却を心がけましょう。

介護施設の入所をきっかけに実家を手放すメリット

介護施設の入所をきっかけに実家を手放すメリットは以下のようなことが挙げられます。

  • 実家を売ったお金で施設の入居費や維持費をまかなえる
  • 実家の管理をする必要がなくなる
  • 固定資産税や修繕費の負担も不要になる

入居費用の安い老人介護施設は、希望者が多くなかなか入居できません。
売却によってお金を作っておけば、介護施設の選択肢も広げられるでしょう。

また、両親の財産を両親のために使っておけば、相続手続きや相続税の負担が軽くなるのもメリットです。
実家を管理せずに長年放置した結果、自治体から「特定空き家」に認定されると、固定資産税の優遇も受けられなくなってしまいます。
住まいを放置するデメリットが非常に多いので、実家に住む予定がない場合はできるだけ早く売却手続きを進めましょう。

不動産売却時に知っておきたい税制優遇措置

通常、不動産を売って利益が出ると、利益の額に応じた譲渡所得税の納税が必要です。

しかし、

  • マイホームを売ったときの特例
  • 相続財産の空き家を売ったときの特例
  • 空き家の発生を抑制するための特例措置

といった税制優遇措置を利用すれば、大幅に節税して、手元にお金を残せるようになります。

ただ、上記のような税制優遇措置は、自動的に適用してもらえません。
各自が利用できる制度を調べ、確定申告という手続きをする必要があるので、実家の売却に合わせて節税対策や確定申告の準備も整えましょう。

まとめ

両親が老人ホームに入るときに、住む人のいなくなった実家の売却を検討する人は多くいらっしゃいます。

ただし、財産トラブルを避けるためには、正式な委任状を作ったり、法定後見制度を利用したりする必要があります。
ホームに入った本人の判断能力によっても必要な手続きが変わってくるので、実家の売却では不動産業者を積極的に頼りましょう。

なお、業者選びのポイントは、長年地元で営業している企業を選んでください。
実家の売却自体も不動産業者によるサポートが必要なので、複数の業者に相談し、対応や態度に納得できる不動産業者と契約しましょう。

 

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