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【納税を先延ばしに!? 】自宅の買い換え時に使えるお得な税の特例とは

2020.06.02

【納税を先延ばしに!? 】自宅の買い換え時に使えるお得な税の特例とは

マイホームを買い換える際、最大の関心ごととなるのはやはり金額の問題でしょう。
住宅ローンを支払いつつ、新居のための貯蓄をするのは難しいものです。

そのため、今住んでいる住宅を高額で売却し、新居を安く購入するケースが、買い換えが最もスムーズに進むパターンといえます。
一方、このようなかたちで売却益が発生した際に注意したいのが「譲渡所得税」が課税されることです。

そこでこの記事では、譲渡所得税について解説するとともに、その税金を繰り延べられる特例についても紹介していきます。

家を売って利益が出たら「譲渡所得税」の納税が必要になる

「譲渡所得」とは、土地や建物を売却して得た所得のことを指します。
土地や建物だけでなく株式やゴルフ場会員券などの売却益も同様に譲渡所得と見なされ、毎月会社で働いて得る給与所得とは違った税率が適用されます。

課税される譲渡所得金額は、次の計算式で求めます。

譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)

実際の課税率は、その土地や建物が「長期譲渡所得」か「短期課税所得」かによって異なります。
土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下であれば短期譲渡所得になります。

そして、長期譲渡所得と認められた場合は「所得税15%、住民税9%」、短期譲渡所得と認められた場合は「所得税30%、住民税9%」をそれぞれ納める必要があります。

このように、住宅を売却して利益を得た場合には本来、その金額から多くの税金を支払わなければなりません。
一方で、高額な取引が行われる不動産売買が税制によって滞ってしまえば、経済に深刻な影響を与えかねません。

そこで国は、マイホームを売却した際に発生する譲渡所得を減免、繰り延べするための複数の「特例」を設定しています。ここからは、そんな特例のなかでも特に「マイホームの買い換え特例」について解説していきます。

「マイホームの買い換え特例」を使えば税金を繰り延べできる

「マイホームの買い換え特例」は、正確には「特定のマイホームを買い換えたときの特例」のことを指します。

今まで住んでいた家を売却した金額が、新居を購入した金額よりも高く、結果として利益が出た場合、通常であれば譲渡所得税が発生します。
たとえば、1,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却したケースを考えてみましょう。

譲渡価額5,000万円に対して取得費は1,000万円ですので、差額の4,000万円が課税所得金額ということになり、これに応じた所得税と住民税が課税されます(※)。

一方、「マイホームの買い換え特例」を適用することで、売却した年の分の課税は行われず、買い換えたマイホームを将来譲渡したときまで譲渡益に対する課税が繰り延べられます。つまり、売却した家よりも高い金額で新居を購入すると、その新居を売却するまで譲渡所得税は課税されないことになります。

(※)式の簡略化のため、譲渡費用や特別控除額は含めずに計算しています

買い換え特例を適用するための条件一覧と注意点

買い換え特例は税金の支払いを長期的に繰り延べできるという面で、買い換えを考えている方に非常にメリットのあるものです。
そのため、適用を受けるためには複数の条件を満たす必要があります。

ここでは、その一部を紹介します。

●利用条件

  • 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • 売却代金が1億円以下であること。
  • 売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日において売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること。
  • 買い換える建物の床面積が50平方メートル以上のものであり、買い換える土地の面積が500平方メートル以下のものであること。
  • マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること。また、買い換えたマイホームには、一定期限までに住むこと。
  • 買い換えるマイホームが、耐火建築物の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、又は一定の耐震基準を満たすものであること。耐火建築物以外の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、又は、取得期限までに一定の耐震基準を満たすものであること。

国税庁のWebサイトより引用。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm

●注意点

売却益が3,000万円以下の場合には、「マイホームの買い換え特例」より優先して適用しておきたい特例があります。
それが「マイホームを売った時の特例」です。
名称が似ているので混同しないように注意してください。

「マイホームを売った時の特例」は、マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができるというものです。

「買い換え特例」が譲渡所得税を「繰り延べる」のに対し、「売った時の特例」は譲渡所得分を課税対象から「控除」できます。つまり、売却益が3,000万円以下であれば譲渡所得税を支払う必要がないため、あえて「買い換え特例」を適用するメリットはないということです。

そのため使い分けとしては、売却益が3,000万円以下であれば「売った時の特例」を適用し、3,000万円をオーバーするようであれば「買い換え特例」を検討するということになります。

まとめ

今回は、「マイホームの買い換え特例」について解説してきました。
このように、住宅の買い換えには一見するとわかりづらい制度も少なくありません。
そのため、知らずに買い換えの動きをスタートしてしまうと、結果として損をしてしまうケースも。

こうしたことにならないよう、まずは不動産業者に相談して、どのように動けばお得に買い換えが進められるかアドバイスをもらうことをおすすめします。

 

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