手遅れになる前に手放そう! 旧耐震基準の古い不動産の売却方法
2020.06.03
日本は世界でも有数の地震大国とされています。
国土交通省のWebサイトにおいても「世界の0.25%という少ない国土面積と比較して、地震の発生回数の割合は、全世界の18.5%」である旨が紹介されており、大地震への備えが重要であることが解説されています。
こうしたなか不動産業界では、「大地震への備え」の基準となる「耐震基準」によって不動産の売却額が大きく変わるという状況が生まれています。
この記事では、耐震基準の内容と併せて、「旧耐震基準」の古い不動産の売却方法について詳しく解説していきます。
旧耐震基準とは
旧耐震基準について解説する前に、まずは耐震基準そのものについて押さえておきましょう。
耐震基準とは「一定の強さの地震が起きても倒壊または損壊しない建築物が建てられるよう、建築基準法が定めている基準」のことを指します。
この耐震基準自体は従来から存在していたものですが、1978年に発生した宮城県沖地震の被害状況を受けて、建築物の倒壊や家具の転倒による被害を減少させる目的から、より高い耐震性が規定されることになりました。
もともと存在していた基準は「旧耐震基準」、新しく規定された基準を「新耐震基準」と呼ばれています。それぞれ、次のような内容となっています。
旧耐震基準…震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことを検証
新耐震基準…震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことに加え、震度6強〜7に達する程度の地震で倒壊・崩壊しないことを検証
建築基準法では、1981年6月1日以降が建築確認日の建物については、すべて新耐震基準を満たしていなければなりません。
一方、それ以前に建てられた物件は旧耐震基準を満たしていない可能性が高いです。
旧耐震基準の不動産売却を急ぐべき理由
では、なぜ旧耐震基準の不動産売却を急がなければならないのでしょうか。
その理由は、物件価値の下落にあります。
少子高齢化の急速な進展により、日本の減少は2008年をピークに減少し続けています。
総務省の統計(※1)でも、2050年には日本の総人口は1億円を下回ると予測されています。
一方、こちらも総務省の統計(※2)によれば、日本の総住宅数は右肩上がりに増え続けており、1968年以降は総世帯数よりも総住宅数の方が多いという状況が続いています。
これらが示すところは、「日本においては人に対して住宅が多く、その傾向は今後より強まっていく」ということです。
そして住宅が余剰な状態が続けば、その物件価値も下落していく可能性が高いでしょう。
このような状況のなかでも、魅力のある物件には高い価値がつくと考えられますが、旧耐震基準の住宅ではそうはいきません。
というのも、旧耐震基準の住宅は新耐震基準の住宅と比較して強度が高くない物件が多いうえ、住宅ローン控除や贈与の非課税制度、不動産取得税・登録免許税の優遇が利用できないなど、デメリットが少なくありません。
そのため、新耐震基準の住宅に比べて今後の物件価値の下落は大きい傾向にあると考えられます。このような理由から、旧耐震基準の不動産を所有している場合は、可能な限り速やかな売却がおすすめです。
(※1)総務省「平成30年版 情報通信白書」
(※2)総務省「平成 30 年住宅・土地統計調査」
旧耐震基準の一戸建て・マンションを売る方法
旧耐震基準の住宅には前述したようなデメリットがあるため、新耐震基準の住宅と比較して「売りにくい」傾向があります。
一方で、旧耐震基準の住宅が購入する側にまったく人気がないかというと、そうではなく、むしろ好まれる場合も少なくありません。 その理由の一つが、立地に対してのコストパフォーマンスです。
というのも、旧耐震基準の住宅は少なくとも1981年以前に建てられたものですので、好立地の物件が少なくないからです。
そのような物件も旧耐震基準という理由でリーズナブルな価格となっていることがあるのです。
ただ、そうした物件を探している方は、全体で見ると少数派といえるでしょう。
そのため、売り手と買い手をマッチングするのが難しいという課題があります。
そして、こうした課題をクリアするためには、実績のある不動産業者への相談が欠かせません。
特に地域に根ざした不動産業者であれば、売り手・買い手の情報を含め、その地域に関するさまざまな事情に精通しているため、旧耐震基準の住宅に関しても適切な金額で売却できるはずです。
そのうえで、旧耐震基準を売却しやすくするテクニックとしては、たとえば一軒家の場合、解体して土地のみで売却したり、「古屋付き土地」として売却したりという方法があります。
まとめ
このコラムでは、旧耐震基準の不動産売却を急いだ方がいい理由と、その売却方法について解説してきました。
旧耐震基準の家でも、耐震改修をして耐震診断を受け、「耐震基準適合証明書」を取得することでより売却しやすくなるケースもあります。
当社ではこうしたノウハウも豊富に持ち合わせていますので、気になる方は、ぜひご相談ください。