確定申告ってどうやるの?譲渡所得税の申告方法を解説
2020.09.17
家や土地を売却した後、売り主に求められる手続きの一つが、「確定申告」です。
日本では、税金に関して自己申告制を採用しているため、不動産を売って利益が出たり、節税の控除を使ったりする場合、自分の責任で確定申告をする必要があります。
もし、確定申告と納税の必要な人が確定申告をしなかった場合、脱税をしているという扱いになり、罰として追加徴税が発生するので、不動産を売るなら確定申告についても知っておくと良いでしょう。
この記事では、そもそも確定申告とは何なのか、どういったケースで譲渡所得税の確定申告が必要になるのか、譲渡所得税の申告はどのように進めれば良いのかといった、不動産売却における確定申告手続きの疑問にお答えしていきます。
確定申告とは
●前年の収入・所得を自分で申告する手続きのこと
確定申告とは、前年の収入から所得を導き出し、その所得に応じた納税額を計算して、国に納める手続きのことです。
申告期間は毎年2~3月と決められており、約1ヵ月の期間中に税務署や確定申告会場、e-Taxで申告・納税をする必要があります。
税の基本スタンスは、「儲かった金額に対して税がかかる」という考え方です。
ただ、世の中にはサラリーマン以外の仕事をしている人が大勢存在しており、個々人の収入を国がすべて把握するのは決して簡単なことでありません。
そのため、日本では、「年間の所得や納税額は自分で計算し、自分で納税する」自己申告制が採用されています。
サラリーマンなら、会社側で税の計算や納税を代行してくれるため、本来なら確定申告をする必要はありませんが、不動産を売って利益を得たことは会社側も知らないので、自分の手で帳尻を合わせる必要があるのです。
なお、課税の対象になる収入があれば、サラリーマンでも自営業者でも、無職や年金生活をしている人でも確定申告をすることになります。
●不動産を売って利益を得た人が確定申告をしないとどうなる?
譲渡所得税(不動産を売って得た利益に対する税金)の対象者が確定申告をしなかった場合の主な罰則は、延滞金や「無申告加算税」とよばれる罰則金の課税です。
「納税が必要な所得を得ているにも関わらず、申告をしない」状態は、簡単にいうと脱税にあたります。
もちろん、逮捕や法律違反による高額な罰則金といった罰を受けるのは、納税から逃れるため故意に所得を隠しているケースなどごく一部です。
しかし、無申告だと最悪の場合は逮捕もあり得るので、リスクを取るのは避けましょう。
なお、毎年2~3月の確定申告期間中に手続きができなくても、自主的に確定申告をすれば、無申告加算税の対象にならない場合もあります。
基本的には、不動産を売るなら確定申告手続きも忘れずに済ませましょう。
譲渡所得税の申告が必要かどうかの見極め方
譲渡所得税の申告が必要かどうかを見極めるためには、「譲渡所得」を計算する必要があります。
不動産の売却額から、不動産の購入時にかかった費用や売却時の手数料、控除を差し引いても譲渡所得がプラスになるなら、確定申告が必要です。
譲渡所得が0円、またはマイナスになる場合、確定申告をする必要はありません。
そんな譲渡所得の計算は、以下の式で求められます。
・譲渡所得=不動産の売却価格-取得費-譲渡費用
不動産の取得費は、家や土地を買った際にかかった費用全般のこと。
経年劣化分を差し引いた家・土地の購入費用や仲介手数料、登記の費用や不動産取得税なども対象です。
一方の譲渡費用は、不動産の売却時にかかる仲介手数料や印紙税、建物の解体費用といった諸費用のことを指しています。
ただし、売却にあたって負担したリフォーム費用や修繕費は譲渡費用になりません。
また、マイホームを売却する場合、3,000万円分の特別控除を利用できます。
この控除を利用する場合、最終的に譲渡所得がゼロになる場合でも確定申告が必須なので、覚えておきましょう。
譲渡所得税の申告方法
譲渡所得税の申告は、以下の手順で進めます。
- 譲渡所得税の必要書類をそろえる
- 2~3月の申告期間中に確定申告会場へ行く
- 確定申告をして必要なら譲渡所得税を納税する
申告時は、売買契約書の写しや取得費・譲渡費用を証明できる書類なども必要です。
ただし、申告書類は内容が難しいため、ある程度の慣れや知識がないと申告書類の作成だけでかなりの時間を取られます。
自信がない場合は、必要書類を揃えて税理士に申告を任せましょう。
まとめ
不動産を売って儲かった場合、利益に対する譲渡所得税の納税と確定申告が必要です。
ただ、日本の税金は自己申告制なので、「譲渡所得税が発生するかどうか」を自分で調べて、自分で納税する必要があります。
譲渡所得税の申告を忘れていると、罰則金が発生するため、申告手続きに自信がない場合は、不動産業者に相談して必要書類を準備し、税理士に申告手続きを丸投げすることも検討しましょう。
不動産業者の協力を得て早めに必要書類を揃えておけば、確定申告の手間も軽減できます。