column 415.

「どうせ売れないから登記しない」はNG!所有者不明土地を残すリスクとは

2020.10.13

「どうせ売れないから登記しない」はNG!所有者不明土地を残すリスクとは

近年、不動産の世界で大きな問題になっているのが、「所有者不明土地」の増加です。
所有者不明土地とは、「売りたいけど田舎だから売れない」「登記をするのが面倒くさい」「遺産相続トラブルに気を取られて登記するのを忘れていた」といったさまざまな事情から登記されていない土地のこと。
個人の財産である土地は、たとえ国でもむやみに没収できません。
所有者不明土地が増えると、景気が落ち込んだり周囲の人に迷惑をかけたりするので、使う予定のない土地を相続したときは、早めに登記をすませて不売却手続きを進めましょう。

今回は、相続後登記をせずに土地を持っておくリスク、所有者不明土地を売却するメリット等を解説します。

所有者不明土地とは

●何らかの事情で登記されていない私有地のこと

所有者不明土地とは、「だれが所有しているのかわからない、または所有者と連絡が取れない土地」のことです。
基本的には、不動産の相続後、登記されていない土地のことを指します。
どうして相続に限られるのかというと、不動産売買では取引時に売り主から買い主へと登記を書き換えるのが一般的だからです。

そのほか、

  • 登記はされているが所有者がどこにいるのかわからない
  • 相続時に土地を複数人で共有した後、共有者が亡くなり代替わりが起きた結果、権利者が分散している
  • 「相続人○人で共有」など、登記はしてあるが各所有者の名前が登記簿に記載されていない

といった場合も、所有者不明土地になります。

相続税や譲渡所得税といった納税手続きとは違って、相続時に登記をしなくても特に罰則や罰金がないこと、登記手続きにお金と時間がかかることから、所有者不明土地は年々増えているのです。

●日本全体で見ると九州本土よりも広い所有者不明土地が存在する

「所有者不明土地問題研究会」の調査によると、2017年の段階で日本には約410万ヘクタールもの所有者不明土地があることが分かっています。(※1)
410万ヘクタールといわれてもピンとこないと思いますが、沖縄や離島を除く九州本土の面積が約367万ヘクタールです。
国による地籍調査でも、登記簿に存在する土地の20.1%は所有者が判明していません。
不動産の売買には所有者との交渉が必須なので、所有者不明土地は「買いたくても買えない」「企業や国でも開発できない」やっかいな存在だといえます。

所有者不明土地が減り、住宅地や商業地として活用されれば、便利な施設ができたり税収が増えて地域サービスが向上したりすることも考えられるでしょう。
社会全体のためにも、後の世代に所有者不明土地を残すのではなく、登記して売却した方が良いのです。

(※1)一般財団法人国土計画協会:所有者不明土地問題研究会:最終報告 概要
https://www.kok.or.jp/project/pdf/fumei_land171213_02.pdf

所有者不明土地を所有し続けておくリスク

所有者不明土地の所有には、

  • 固定資産税がかかる
  • 建物を放置しすぎると特定空き家に認定され解体費用を請求される
  • 所有地で事故・ケガなどがあったとき賠償責任を問われる

といったリスクがあります。

●固定資産税がかかる

固定資産税は、不動産を持っていると毎年必ず発生する維持費です。
田舎など、地価の安い土地なら固定資産税もそれほど高くはなりませんが、何年・何十年と固定資産税を納め続けると、総額でかなりの額を損してしまいます。

●建物を放置しすぎると特定空き家に指定され解体費用を請求される

特定空き家とは、ボロボロになっており、周囲の迷惑になっている空き家のことです。
近隣住民から相談を受け、自治体によって所有物件が特定空き家に指定された場合、行政側が強制的に土地を更地にしたうえ、解体費用を請求されることになります。

●所有地で事故・ケガ等があったとき賠償責任を問われる

たとえ不法侵入であっても、所有地に入った人がケガをしたり事故を起こしたりした場合、所有者が責任を追求されてしまう点にも注意が必要です。
賠償責任を問われないようにするためには、定期的に土地を整備したり、簡単に侵入できないようフェンスや塀等で封鎖しておいたりする必要があります。

将来のトラブルを避けるためにも不要な土地は登記して売却しよう

管理する気や使う予定のない土地は、持っていても維持費がかかる上に、損害賠償等のリスクもある負の資産です。
管理していない土地を持っている限り、所有者不明土地のリスクからは逃れられないので、土地を相続したら登記を行い、売却してしまいましょう。
登記費用で一時的に損をしても、長期的に見ると不要地を売って処分した方がお得です。
また、自分の代で所有者不明土地を処分しておけば、親族や子どもにも迷惑がかかりません。

まとめ

相続後登記されていなかったり、登記はされていても所有者と連絡がつかなかったりする土地のことを、所有者不明土地と呼びます。
所有者不明土地は、持っているだけで固定資産税がかかり、特定空き家の指定や事故・事件発生時の損害賠償請求等もありえるリスクの高い資産です。
多くの場合、持っていても損をするだけなので、使う予定のない土地を相続したときは、登記をした上で手放しましょう。

 

一覧に戻る

売る

スタッフ紹介

サポート 相続 任意売却 住み替え