不動産売却後に必要な確定申告って何?申告しなかったらどうなるの?
2022.10.18
不動産を売却したら、その翌年に確定申告を行う必要があります。
ただ、サラリーマンだと勤めている会社が本人に代わって確定申告をしてくれるので、確定申告なんて一度もやったことがない、何なのか良く分からないという方も多いでしょう。
そこで今回は、確定申告とはどういう手続きなのか、不動産を売ったら本当に確定申告をする必要があるのか、仮に不動産売却後に確定申告をしなかったらどうなるのかなどを解説します。
確定申告とは
確定申告とは、一年間の収入・経費・控除を税務署に報告し、必要な額の税金を納めるための手続きです。
確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までの約1ヶ月間。
申告をすべき者が期限内に確定申告できなかった場合、延滞税等のペナルティーを負うことになります。
源泉徴収の対象になる勤め人だと、会社が申告も納税も代行してくれるので、普段は保険料の年末調整をする程度で、実は良く分かっていという方も多い手続きでしょう。
しかし、不動産を売ると譲渡所得(所得とは利益から経費を引いた儲けのこと)が発生するので、サラリーマンであっても自分で確定申告をする必要があります。
不動産を売ったら確定申告はすべき?
原則として、不動産を売ったら結果が黒字でも赤字でも確定申告すべきです。
売却結果が黒字なら、譲渡所得の金額分年収が増えることになるため、納めるべき所得税や住民税も上がります。
不動産売却で得た譲渡所得は、プライベートな収入です。
勤め先が代わりに申告や納税をしてくれるサラリーマンであっても、会社が関与していない譲渡所得の申告まではできません。
不動産所得に関しては、自分で確定申告をして、本来の納税額より増えた税金を納める必要があるのです。
赤字が出た場合も、確定申告した方が得をします。
不動産売却の収支が赤字だと納税額は増えませんが、確定申告をすることで、出た赤字を本業の所得から差し引く税の特例を使える場合があるからです。
確定申告をせずにいると、節税や減税の機会を逃してしまうので、どちらにせよ不動産売却後は確定申告を行いましょう。
確定申告をしなかったらどうなるの?
税務署は、納税のきっかけになりやすい不動産の売買情報に目を光らせています。
不動産売却後に確定申告をしなかった場合、税務署からお尋ねの文書が届いたり、最悪の場合過去にさかのぼって納税手続きのミスを探す、税務調査の対象になったりするため、注意が必要です。
また、不動産売却で黒字だったのに申告をしなかったり、利益を少なく申告したりすると、
- 無申告加算税
- 延滞税
- 重加算税
- 過少申告加算税
といった罰則の税金が課税されます。
追徴課税を納めなかった場合、最終的に待っているのは国による財産の差し押さえです。
確定申告をすると節税の特例を利用できる
●3,000万円の特別控除
確定申告をすると、不動産売却の内容に合わせた税の特例を利用できる場合があります。
減税特例はいくつかあり、なかでも一番使いやすいのが、「マイホームを売ったら3,000万円控除できる」という特例です。
不動産売却後にかかる譲渡所得税は、不動産の売却額から不動産を買ったときに使った各種経費を差し引き、さらに控除を引いて残った所得に応じて税額を計算するという仕組みになっています。
つまり、この特例を使うと、売却額3,000万円以下の不動産売却なら無条件で無税にできるのです。
●マイホームの売却で損したときの特例
マイホームを売って赤字になった場合、使える特例は2種類あります。
一つは、「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。
この特例を使うと、不動産売却で出た赤字を最大3年間本業や副業の所得から差し引けるので、翌年以降の所得税と住民税が安くなります。
もう一つは、「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。
家を買い替える際に不動産売却で赤字が出たら、譲渡損失の特例と同じように、赤字を本業・副業の所得から差し引けます。
確定申告が面倒な場合はどうしたら良い?
確定申告が面倒な場合は、不動産売却が終わった時点で申告の必要書類を作ってしまいましょう。
不動産売却後の確定申告には、
- 確定申告書
- 譲渡所得の内訳書
- 不動産の全部事項証明書
- 売買契約書のコピー
- 売った不動産を買うときに支払った経費の証明書(領収書など)
- 不動産売却時にかかった経費の領収書
などが必要です。
全部事項証明書を法務局で発行し、不動産売買時の領収書や契約書を取っておけば、後は申告書を書いて申告期間中に提出するだけ。
必要書類があると、自分で申告をするのも楽になりますし、税理士への依頼もしやすいです。
まとめ
不動産を売ったら、確定申告が必要です。
面倒なだけの手続きに感じるかもしれませんが、確定申告をすれば税の特例や経費を使って節税できます。
確定申告をするメリットが多く、手続きの必要な方が申告しなかった場合のペナルティーは重いので、不動産売却が終わったら早々に申告書類の準備を終わらせて、翌年の確定申告に備えましょう。