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所有者が入院しているときに不動産を売却する方法

2022.11.24

所有者が入院しているときに不動産を売却する方法

不動産を売るためには、不動産業者の店舗を回って査定を受けたり、内覧の案内をしたり、売買契約の場に出向いて書類にサインしたりする必要があります。

そのため、所有者が入院している不動産を売却できないと思われがちですが、実は売り主が入院していても不動産は売却可能です。

今回は、売り主が入院しているときに不動産を売却する方法をご紹介します。

不動産業者を病院に呼ぶ

所有者が入院していても、病室に不動産業者や買い主を呼んでしまえば、問題なく不動産を売却可能です。
通常、不動産売却手続きをする場合、不動産業者に仲介をお願いしたり買い主と売買契約を交わしたりする際に、売り主の同席も求められます。

ただ、契約をする場所や時間に関しては、特に決まりがありません。
つまり、関係者の同意さえあれば、入院中の病室に関係者を呼んで契約や交渉をしても構わないのです。

とはいえ、病室に関係者を呼んで不動産売却を進めるためには、売り主の体調が安定している時期を見極める必要があります。
病院によって、また時期によっては親族以外の面会を断られる場合もあるので、病院に不動産業者や買い主を呼ぶときは、あらかじめ病院側に相談し、第三者を招いても問題がないかを確認した上で手続きを進めましょう。

また、不動産業者側から病院での契約を断られる可能性もあります。
入院中はただでさえ身動きが取れず、自分の足で気に入る不動産業者を見つけるのが大変なので、査定結果や対応の良し悪しを含めて、信頼できる不動産業者探しに力を入れることが重要です。

委任状を作って代理人に売ってもらう

本来、不動産を売却できるのは登記簿上の所有者だけですが、不動産の所有者本人が作った正式な委任状があれば、家族や専門家に不動産の売却を依頼できます。
委任状を作る際、相手に任せる権限の範囲を決められるため、「代理人がまとめてきた売買契約に納得できなかったら、売却を拒否する」といった対応も可能です。

なお、委任状を作るときは、書類に以下の内容を記載する必要があります。

  • 委任状であること
  • 不動産所有者の名前・住所・捺印
  • 代理人の名前・住所・捺印
  • 代理人に売却を頼む不動産の情報
  • 不動産売却の委託内容(いくらくらいで売るか、いつ引き渡すかなど)
  • 委任状の有効期限
  • 委任状を作りサインをした日付

書類の形式は、どういったものでも構いません。

しかし、委任内容を明確に決めていなかったり、無期限の委任状を作ったりすると、

  • 代理人が不動産業者からお金を受け取り、不当に安い価格での売却を決めてきた
  • 良い買い主が見つからなかったので一旦売却を取り下げたが、5年後に買い主を見つけたから手放せと代理人が詰め寄ってきた

といったトラブルにつながる可能性も考えられます。
不動産売却を第三者に任せるときは、必ず内容と期限の明確な委任状を作りましょう。

不動産の名義を変えてから売却する

所有者が入院中に不動産を売却するのが難しいのは、本人が動けないからなので、元気な親族に名義変更すれば通常の方法で売却できます。

不動産の名義を変更する一つ目のパターンは、親が持っている不動産を子どもや孫、または親族に買い取ってもらい、それから売却するというもの。
親族間なので安心して取引できますし、買い主を探す必要がないので売却期間も早いです。
また、生前に不動産を整理することで、不動産の分け方を巡る相続トラブルを回避したり、相続税を節税したりできるというメリットもあります。

もう一つのパターンは、親から子に不動産を贈与し、子どもが売却するという方法です。
年間110万円以上の贈与だと、子ども側が贈与税を納めることになりますが、贈与なら売買と違って子どもに十分な資金がなくても不動産の名義を変更できます。
一見すると、親はタダで不動産を手放すことになるため、損をするようにも見えるでしょう。
しかし、贈与した不動産の売却代金を自分の介護や医療に使ってもらうよう約束しておけば、損をしていることにはなりません。

認知症の場合は成年後見人を立てる

入院している不動産の所有者が認知症になっている場合に使えるのが、成年後見人の用意です。
家庭裁判所に申し立てて成年後見人を立てれば、本人が認知症で売買契約に必要な判断能力を失っていても、後見人が不動産を売却できます。

ただし、成年後見人を決めるのはあくまでも家庭裁判所なので、申立人が確実に後見人になれるとは限りません。
認知症の進行度合いによっては申し立ての準備も大変ですし、裁判所の審査にも2ヵ月程度の時間がかかります。

まとめ

不動産の所有者が入院していても、不動産業者を病室に呼んだり、委任状を作ったり、贈与や親族間の売買で名義を変えたり、成年後見人を立てたりすれば不動産を売却可能です。

ただし、どの方法にもメリットやデメリットがあり、準備に時間もかかります。
所有者が最も納得できる形で不動産を売却できるのは、本人が自分の意思で売却手続きを進められるときなので、不動産がある場合は、親が元気な内に家族で不動産の扱いについて話し合っておきましょう。

 

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