リースバックとリバースモーゲージの違いを解説
2022.12.21不動産を使って現金を用立てる方法には、「リースバック」と「リバースモーゲージ」があります。 両者は名前こそ似ていますが、中身は全く別の手続きです。リースバックが役立つ場面とリバースモーゲージが役立つ場面は違います。 その時々で適したサービスを選択できるように、今回はリースバックとリバースモーゲージの違いを押さえていきましょう。
リースバックとリバースモーゲージの違いを解説
リースバックって何?
リースバックとは、「売却後そのまま賃貸物件にしてもらう」という条件で不動産業者や投資家に家を売り、住宅売却後は家賃を払って元の家に住み続けるという資金調達手段です。 通常、家を売ったらその後住まいがどのように使われるかは買い主次第ですが、リースバック契約を結んだ場合、確実に元の住まいを賃貸として貸してもらえます。 「お金が必要で売れるものは不動産くらいしかないが、できれば引っ越したくない」という方におすすめの方法です。
リバースモーゲージとは
リバースモーゲージは、家を担保として売らずに預け、金融機関からお金を借りる手続きのこと。 借入額は担保にした不動産の評価額までで、上限までお金を借りたり、契約者が亡くなったりしたら家を売ってその代金を返済に回します。 生きている間は元金を返済する必要がなく、利子の返済だけで融資を受けられるので、老後の生活資金確保手段として人気のある手法です。
リースバック・リバースモーゲージのメリットとデメリット
●リースバックのメリット・デメリット
不動産を業者に売って、売った家を賃貸物件として貸してもらうリースバックのメリットは、自宅に住み続けられること、そしてまとまった額の現金を確保できること。 住んでいる家は同じですが、持ち家ではなく賃貸なので、固定資産税や修繕費といった維持費を節約できますし、引っ越しの必要もありません。 契約次第では、数年後に手放した家を買い戻せます。
一方、不動産の買い取り価格は、中古不動産市場の相場よりも安いです。 毎月家賃がかかりますし、家賃自体も同程度の物件よりも高めに提示されます。 オーナーの変更や業者の倒産、契約書の確認不足が原因で、退去するよう求められたり、買い戻しを拒否されたりすることもあるので、契約書の入念なチェックが必要不可欠です。
●リバースモーゲージのメリット・デメリット
リバースモーゲージのメリットは、持ち家から引っ越さなくて良いことと、月々の返済負担が小さいこと。 融資上限に達するまでは、利子の支払いだけで何度も融資を受けられるので、年金代わりに毎月少しずつお金を借りるといった使い方ができます。 本来、返済能力の関係上、高齢者は融資を受けづらいのですが、リバースモーゲージは高齢者向けのサービスなので、60歳65歳を越えていても利用できるのが強みです。
ただし、リバースモーゲージは、契約者の死後持ち家を売却して借りたお金の返済をするので、持ち家を家族に残せません。 長生きして上限額まで借りてしまうと、生きていても返済を求められるというリスクも存在します。
それぞれのサービスはどんな状況で使うべき?
●リースバックをおすすめできるシチュエーション
リースバックをおすすめできるのは、住宅ローンの返済が苦しくなったとき、まとはまとまった資金が必要で他に借り入れできないときです。 通常、住宅ローンを返済できなくなると、家を売ってローンを完済するか、任意売却をすることになります。 どちらの方法でも、基本的に持ち家には住めません。しかし、リースバックなら、住み慣れた環境を手放すことなく売却代金でローンを精算できるのです。 契約次第では家を買い戻せるので、苦しい時期をリースバックで乗り切って、お金に余裕ができたら10年後に買い戻すといった対応もできます。
●リバースモーゲージをおすすめできるシチュエーション
リバースモーゲージが向いているのは、以下のような状況です。
- 年金や預貯金だけだと老後の生活に不安がある
- 最後まで持ち家で過ごしたい
- 子どもたちは別の場所で暮らしており、遺産として不動産を残す必要がない
毎月数万円リバースモーゲージで借りれば、生活にゆとりを持てるようになります。 貯金を崩す必要もありません。 長生きリスクはありますし、相続人に黙ってリバースモーゲージをすると相続トラブルになる可能性もありますが、住み替えが嫌で老後資金を充実させたい方に向いているサービスです。
まとめ
リースバックは、家を業者に売って代金を受け取り、売った家を賃貸として貸してもらうサービス、リバースモーゲージは、家を担保にして長期間少しずつお金を借りられるサービスです。
名前が似ているため混同されることも多いですが、資金難を助けてくれるリースバックと老後の生活費を支えてくれるリバースモーゲージは、役に立つシチュエーションもメリット・デメリットも違います。
詳しい利用条件は業者によって違うので、マイホームに住んでいてローンの返済に困ったり、老後の生活に不安を覚えたりしているなら、まずは不動産業者に相談し、どちらのサービスが自分に合っているのか考えましょう。