知らない内に損をする!?不動産業者による物件の「囲い込み」とは
2023.04.26不動産を売るとき、売り主はできるだけ早く・高く売りたいと思って不動産業者に仲介を頼みます。
しかし、不動産の業界には、「囲い込み」といって物件の内覧申し込みや問い合わせを断ったり、売り主が値引きに同意するまで売れ残らせたりする悪質な行為があるのです。
不動産業者の囲い込みは、知識がないと気付くことすらできません。
ここで、物件の囲い込みに関する基礎知識や、対策を学んでおきましょう。
そもそも囲い込みって何?
囲い込みとは、売り主から物件の仲介を頼まれた不動産業者が、自社で買い主を見つけるまで、ほかの業者や消費者に不動産を売らないよう商談を邪魔する行為のことです。
通常、不動産業者に持ち込まれた売却物件は、レインズと呼ばれる不動産業者向けのデータベースに住所地や価格等を登録されます。
レインズの中身は不動産業者なら誰でも閲覧できるので、不動産市場では、ほかの不動産業者から物件に関する問い合わせが届いて成約するというケースが多いのです。
しかし、囲い込みをする業者は、レインズの登録をわざと遅らせたり、他社からの問い合わせに「ほかの方と商談しておりまして」と返答して紹介を断ったりします。
そして、上記の連絡は業者と業者、または物件に興味を持った買い主と売り主側業者のやり取りです。
売り主がやり取りに関与していないので、業者が囲い込みをしていても、売り主はなかなか気づけません。
売り主の気づかないうちに売却のチャンスを潰されてしまうのが、囲い込みの悪質な点なのです。
不動産業者が囲い込みをする目的は?
不動産業者が囲い込みを行う目的は、売り主と買い主の両方から仲介手数料を取りたいから。
仲介手数料は、不動産の売買を業者が仲介する見返りとして、売り主や買い主に請求できるお金です。
不動産業者は、基本的に仲介手数料以外の費用を売り主や買い主に請求できません。
そのため、「売り主に仲介を頼まれ、他社経由で買い主が見つかる」という取引の流れだと、売り主側の不動産業者は、「売り主の仲介手数料」だけを受け取ることになるわけです。
しかし、売り主側の不動産業者が自社で買い主を見つけられれば、業者は売り主と買い主の両方に仲介手数料を請求できます。
単純計算で倍の利益を得られるため、囲い込みをする業者は後を絶たないのです。
囲い込みをされるとどのようなデメリットがあるの?
●不動産の売却結果が悪くなる
囲い込みによる最大のデメリットは、売り主が知らない間に、売り主が損をするような取引を押し付けられてしまうこと。
囲い込みをする不動産業者は、3,000万円で買ってくれる他社経由の買い主より、2,500万円で希望を出している買い主を自社で見つけた方が、利益が大きくてお得だと考えます。
条件の良い買い主が出てきても商談を進めてもらえないので、結果的に不動産の売却価格が下がったり、売却期間が長引いたりするケースが多いです。
●希望した売却期限までに不動産を売れない場合がある
囲い込みをされた物件が売れるのは、「不動産業者にとって都合の良い買い主が見つかったとき」なので、囲い込み物件は、通常の不動産売却よりも売却時期が遅くなりやすいというデメリットがあります。
たとえば、「相続税の納税期限があるので売却を急いでいる」「半年後には海外へ行くのでそれまでに家を売りたい」といった事情がある場合でも、売り主の希望する期限までに不動産を売れない可能性が高いです。
●「売れない」という理由で不当な値下げを求められることも
囲い込みをしている不動産業者の中には、わざと他社からの問い合わせに対応せずに物件を売れ残らせ、「これだけ売れないのだから値下げをした方が良いですよ」と持ちかけてくる場合もあります。
値下げをして、損をするのは売り主です。
こういったケースでは、関連企業と連携して不動産を買い叩き、リフォームして転売の利益を大きくするといった目的を持っていることが多いので、安易な値下げを防ぐためにも囲い込みの対策が必要になってきます。
売り主として知っておきたい囲い込みへの対策
囲い込みへの対策として効果的なのは、友人や知人に頼み、別の不動産業者経由で売却物件の問い合わせをしてもらうことです。
業者との契約にもよりますが、不動産業者の営業マンには、売却物件に関する問い合わせや営業内容を売り主に報告する義務があります。
問い合わせをしたとき、「商談中」「先約がある」といわれたのに、売り主に報告がなかったら、高確率で囲い込みです。
契約を打ち切り、別の仲介業者を探しましょう。
まとめ
囲い込みは、不動産の売却価格が下がったり、売却期間が長引いたりする要因です。
ただ、囲い込みを売り主が見破ったり、囲い込みを証明したりするのは、決して簡単なことではありません。
できることは、別口で問い合わせを行って業者の対応をチェックし、怪しかったら別の業者に切り替えるといった対応くらいのもの。
囲い込みを事前に防ぐのが難しいからこそ、不動産売却では、最初から信頼のおける業者と契約することが重要になってきます。
不動産を売るときは、不動産業者探しに力を入れましょう。